【第2回】平成 31 年度税制改正の概要を徹底解説!遺留分侵害額の金銭債権化とは 記事


 

金銭での請求が原則となった遺留分侵害額請求権と
遺留分の算定方法について紹介

辻・本郷ダイレクトアシストの片ユカ氏が、税制改正のポイントを解説。

民法改正により、これまで現物取得が原則となっていた遺留分侵害額について、
金銭での請求が原則となりました。

遺留分とは、法律によって相続人の相続財産の価額を
法定相続分の二分の一(直系尊属のみが相続人のときは三分の一)まで保障する制度です。

被相続人は、生前贈与や遺言により自分の財産を自由に処分することができますが、
相続人の生活保障や相続財産の公平な分配を行う趣旨から、
遺産をもらえなかった相続人は、遺留分侵害額をほかの相続人に請求することができるのです。

改正前には、同居して面倒をみてくれた娘に自宅を相続させたり、
事業承継税制で自社株を後継者である息子に譲っても、死後に遺留分減殺請求権を申し立てると、
相続財産が相続人たちによる共有状態となってしまうという問題がありました。

この場合、共有状態の解消を巡って新たな紛争が起こるケースが多く見られました。

改正後は、遺留分侵害額請求権となり、相続財産そのものではなく、
金銭の支払いでの解決が原則とされました。

改正前のように共有者の意見が合わずに不動産の処分が困難になったり、
自社株が分散されることで事業経営に支障が出る恐れなく、
故人の意思を尊重することが可能になりました。

一方で、金銭請求を受ける相続人は、金銭を用意する必要性が高まったといえます。
金銭を直ちに用意できない場合は、裁判所に対し、
金銭債務の全部または一部の支払いに一定期間の猶予を請求することができます。

この改正で気をつけるべきは、遺留分の算定方法です。
これまでは、相続人に対する生前贈与についてはどこまでも遡って
遺留分算定の基礎財産に持ち戻されることになっていました。

今回の改正では、持ち戻す期間を相続開始前の10年間の贈与に限定し、
それより前の贈与については遺留分算定から除外する内容となっています。

しかし、これには例外があり、事業承継税制を活用するような一度に多額の贈与を行う場合には
10年以内の期間に限定されません。

事業承継税制を活用する際には、次の点に留意が必要です。

・後継者以外の相続人について遺留分を侵害しない相続財産の確保
・遺留分の事前放棄や、贈与した自社株式を遺留分算定の基礎財産から除く
「除外合意」などの民法特例の活用
・遺留分侵害額を請求された場合の後継者の資金確保


なお、遺留分に関わる改正民法については2019年7月1日より施行されています。


※月刊プロパートナー2019年10月号より抜粋

いかがだったでしょうか?
『月刊プロパートナー』2019年10月号では、上記税務相談に加え、
生産性がアップする仕組みの見直し方、士業事務所の働き方改革2020についてご紹介しています。

『月刊プロパートナー』のバックナンバーも読み放題のプレミアム会員 14日間無料体験なら
その他様々な記事もお楽しみいただけます。
ぜひご事務所の経営にお役立てください。

▼月刊プロパートナーバックナンバー読み放題はこちらから▼



▼辻・本郷審理室ダイレクトアシストについてはこちら▼

プロフィール

片 ユカ氏

辻・本郷税理士法人 審理室税理士
資産課税担当