2023.09.25
インボイス制度(適格請求書等保存方式)への対応に関するお知らせ

2023年10月01日(日)より、インボイス制度(適格請求書等保存方式)が開始されますので、弊社の同制度への対応についてお知せいたします。

弊社ではインボイス制度の対象となる課税取引のご利用について、
2023 年10月以降の決済分より、同制度の要件に対応できるようにいたします。

【当行適格請求書発行事業者登録番号のご案内】
株式会社アックスコンサルティングの登録番号をご案内いたします。

適格請求書発行事業者登録番号
T9011001004344
 

月刊プロパートナー 11月号「士業事務所の給与・評価」 編集こぼれ話:人事評価制度の本当の目的とは



士業事務所の「給与・評価」の仕組みの解説と、
成長事務所の人事評価制度について徹底取材を敢行した月刊プロパートナー 11月特大号。
編集部が取材を通して感じたことや、350を超える士業事務所に実態調査をして得たことを紹介いたします。

 

士業事務所が人事評価制度を導入しづらい理由

人事評価制度とは、事務所の目的と職員のパフォーマンス、労働生産性を比較して、
定量的・定性的に評価を行うことです。
「等級制度」「給与制度」「評価制度」の3要素で構成されており、職員の賃金を決めるためだけではなく、
事務所が目指す経営理念や組織像を実現するための一つの手段として位置付けられています。

しかし、
“「人事評価制度」をどのように設定して、活用していくかは、士業事務所の長年の課題”
だと、これまで編集部がお会いした多くの先生方からよくお話を伺います。

そこで、私たち編集部は、中小企業の賃金コンサルを数多く手がけている先生や、
会計事務所で人事コンサルティングをサービスとして提供している先生に、
士業業界の実態や人事制度の話を聞きにいき、
「士業事務所に人事評価制度は必要なのか」という疑問をぶつけたのです。

すると……「属人的な担当制は評価が難しいんです」と、思ってもいない返答をいただきました。

先生曰く、どんなに真面目で事務所内の取り組みを一生懸命やっていたとしても、
その職員が担当する顧客に対して満足のいくサポートができていなければ、評価は下がります。
逆に、事務所の中での評価が低くても、お客様からの評判が良ければ評価は上がります。
ただ、それらの声を所長が全職員分、正確に把握できていないから評価しにくいのだそうです。

さらに、顧問先や担当者によって業務の進め方や、訪問の頻度、やりとりの仕方がバラバラで、
接触履歴や進捗状況を管理できるものがない状態だと、なおさら正確に評価することは難しいのだと言います。

つまり、属人的になりがちな旧来の士業事務所のビジネスモデルでは、
評価はお客様の声に直結するものの、その評価をすくい上げることが困難なため、
人事評価制度の運用も難しいということです。
最初から、”お客様の声=職員の評価”というように制度として確立していればいいのかもしれません。

ですが、職員に一任してしまった属人的な顧客との付き合い方や、個人プレーを良しとする体制のまま、
いきなり人事評価制度を導入しても、効果を発揮するのは至極困難というわけです。
属人的な担当制はクライアントの意見や要望が目標になってしまうため、
それ以外の目標は後回しになってしまうし、教育もしにくくなってしまいます。
そこで、これらの問題を解決するためにも、組織づくりを推進する必要がでてくるのです。


(上)実際の打ち合わせ風景
 

制度よりも先ずは事務所の経営ビジョンが重要

ある先生は、毎年期末になると、従業員全員で一泊二日の合宿を行って、
来期の経営方針や売上目標を発表されています。
その方針・目標に対して、各チームがどうやって実現していくかを決議するためです。
そして、チームメイトの能力に見合った個人別目標を合宿中に一緒に設定していきます。

そうすることで、個人の目標達成がチームの目標となり、
チームの目標が事務所全体の目標にもリンクされていきます。
個人の目標を管理して達成していくことは、組織を盛り上げていくには最適なのだそうです。

その先生は「自分のお給料は自分で稼ぐ意識が重要」ともおっしゃっていました。
そのため、今期獲得した顧問契約金額をベースに、来期のストック売上プラスαを予算として、
その合宿期間中に自身の年俸を上司と交渉する面談を設けているといいます。

また、別の事務所の先生は、
”中小企業のオーナーに寄り添って、あらゆる課題を解決できる組織”を人事ポリシーに掲げていらっしゃいました。
そのポリシーを実現するため、従業員全員がコンサルティングサービスを提供できるよう定型業務の他に、
人事コンサル、ITコンサルなど、自社で提供しているコンサルティングサービスをプロジェクト化して、
全員が加入する体制をとっています。

定型業務を行う傍ら、コンサルティング業務も行う必要があるため、時間管理能力が求められてくるそうです。
時間を有効活用するために、その事務所では直接業務に割く時間、
自己学習の時間、商品開発に割く時間の比率を設定して、
時間あたりの生産性を細かくチェックできる体制をとっていらっしゃいました。
そうすることで、時間単価を意識しながら仕事に取り組むようになり、
生産性効率を上げる思考に切り替わったと言います。

今回の特集のために、350を超える士業事務所に給与と評価にまつわるアンケート取材をしたり、
足を運んで取材させてもらって感じたことがあります。

それは、ビジョンが明確な事務所ほど、人事評価制度への落とし込みが明確だということです。
そして、「等級制度」「評価制度」「給与制度」と言った諸制度の仕組みは、
従業員の教育や仕事に対するモチベーションに直結していることに気づきました。

とある先生は、個人の頑張りが正当に反映されると、仕事に対するモチベーションも上がり、
モチベーションの高いメンバーに感化され、チームがさらに盛り上がっていく相乗効果があるとおっしゃっていました。
また、職員を育てる観念がないと、職員の業務内容やスキルレベルを無視した制度を導入してしまいがちで、
職員の納得性や理解を得られず「ちゃんと見てくれているのかな」と、不信感を抱かせてしまうというのです。

「人事評価制度は、事務所の目指すべきビジョンを実現する手段」と、
取材させていただいた先生が口を揃えておっしゃっていました。
事務所の経営理念・経営方針によって、目指す組織像や求める人材像は異なりますが、
人事制度を明確に設定し、運用しているということは、
目標や目指すべき人材像がはっきりと見えていると言い換える事ができます。

月刊プロパートナー では、取材をさせていただいた事務所の経営理念、目指すべき組織像、求める人材像から、
それらに落とし込んだ人事評価制度の内容を余す事なくご紹介しています。
さらに、350を超える士業業界の給与・評価の実態調査からわかった組織づくりの秘訣や、
従業員の真の退職理由、給与相場なども解説しています。
他事務所の事例や業界の実態を把握するにはもってこいの特大号となっていますので、
ぜひ事務所づくりの参考にしてみてください。