【第1回】平成31年度税制改正の概要を徹底解説!新設された配偶者居住権とは 記事

 

家族の絆を法律関係に置き換え、「姥捨て山」を合法化。
現代の「姥捨て山」か?

辻・本郷ダイレクトアシストの八重樫巧氏が税制改正のポイントを3回に渡って解説。

民法改正により、配偶者居住権が創設されました。
これを受けて、平成31年税制改正では、相続税法上の配偶者居住権等の評価方法を新設しています。

配偶者居住権とは、相続開始時に被相続人所有の建物に居住する配偶者が、
相続開始後、終身その建物を無償で使用することができる権利です。
建物の所有権を取得する場合に比べて、居住権はより低い価額で取得できるので、
その分、老後資金を多めに相続できるというメリットがあります。

昨今の高齢化社会の進展、家族の在り方に関する国民意識の変化などの社会情勢に鑑み、
高齢となった配偶者が相続でもめて長年住み慣れた家を出て行かなくても済むよう、
高齢者の生活への配慮などから、約40年ぶりに相続関係の民法が改正されました。

配偶者居住権には、通常の配偶者居住権と短期配偶者居住権があります。
通常の配偶者居住権は、遺産分割または遺贈により取得することができ、
配偶者は終身、建物全体を使用および家賃収入などの収益を得ることができます。

短期配偶者居住権とは、遺産分割によりその建物の帰属が確定するまでの間
または相続開始から最低6カ月間は、無償で建物を使用できる権利のことです。
これにより、配偶者は少なくとも遺産分割が終わるまでの間は、居住を続けることができます。

なお、通常の配偶者居住権については評価方法が定められましたが、
配偶者短期居住権については遺産分割の計算の際にはゼロ評価で計算することとされており、
税法上も特に言及はありません。

注意点として、短期居住権は相続開始時に自然発生するのに比べ、
通常の配偶者居住権は当然に取得できるものではありません。
下記①②に限定される点に気をつけましょう。
①遺産の分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき
②配偶者居住権が遺贈の目的とされたとき


また、配偶者居住権は一身上の権利ですが、合意等により消滅した場合に、
建物の所有者等が配偶者に対価を支払わなかったときやその対価が著しく低いときは、
配偶者から贈与によって取得したものとして取り扱う(相基通9 -13の2)とされています。
この対価は立退料の支払いと見ることができ、家族の関係を経済取引関係とし、
課税の網をかけるものといえます。
なお、配偶者居住権に係る改正民法および評価方法については
2020年4月1日に施行されます(改正法案附則1条7号ロ)。


※月刊プロパートナー2019年9月号より抜粋

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プロフィール

八重樫巧氏

辻・本郷税理士法人 審理室室長

1977~2007年まで東京国税局及び管内税務署勤務。
税務に精通した経験をもとに、辻・本郷税理士法人 審理室長を務める。
東京国税局勤務時代では、資料調査課で公益法人の税務調査を担当。