
平成28年度(第66回)税理士試験の申込者は4万4044人と昨年から3千人近く減少。
2010年の6万2996人からわずか6年で2万人近くも減りました。
これは会計業界にとって未曾有の危機といってもよいでしょう。
同時に会計業界は現在、 深刻な人材難に陥っています。
人材確保で悩んでいる会計事務所所長は、採用に関するパラダイムシフトを図る時期に差し掛かっています。
それは「未経験者・新卒採用」です。
人材難がもたらす負のスパイラル
「人が全然採れない」この言葉が、今では会計事務所所長同士のあいさつ代わりになっているように、会計業界の人材難は深刻化しています。
税理士試験申込者数は、わずか6年で2万人近く減少しています。
(グラフ「税理士試験申込者数の推移」参考)

税理士を目指そうとする人材が激減しているということは、税理士業務そのものと、職場としての会計事務所に魅力を感じる人が減っていることを示しています。
これは、業界全体としての危機です。
会計事務所の人材難は、特に小規模事務所ほど深刻です。
小規模事務所は、次のような悩みを抱えているのではないでしょうか。
「採用サイトに求人広告を掲載しても、小規模事務所にはなかなか応募や問い合わせがなく、費用対効果が悪い」
「ハローワークに求人を出しても、なかなか応募が来ない。
条件に年齢や性別を出せないことから、希望しない人材の応募が多く、選考に多大なコストがかかる」
「実務に忙しく、採用に多くの時間を割けない」
このまま会計事務所が思うように採用できなくなると、どうなるのでしょうか。
次のような負のスパイラルに陥ってしまうでしょう。
「求人をかけてもなかなか応募が来ない」
↓
「欠員状態が続き、職員の業務負担が増え、心身が疲弊する」
↓
「サービスの品質に影響が出る」
↓
「顧問先が減少する」
↓
「慌てて採用できた人材は能力不足」
↓
「仕事と事務所になじめず短期間で辞めてしまう」
↓
「職員に業務のしわ寄せが来る」
↓
「さらなるサービスの低下」
↓
「顧問先が減少し、職員の給与水準が上がらない」…
このような負のスパイラルが続くと、事務所の成長はおろか、存続もおぼつかないでしょう。
下記のうち、1つ以上チェックが入ったら、採用体制のあり方を見直す必要があります。
[採用に関するチェックリスト]
- □なかなか良い人材を採用できない
- □所長が面接で意気投合した人を採用しても、事務所の仕事と雰囲気になじめず、すぐ辞めてしまうことが多い
- □未経験者や新卒を採用したことがない
- □職員教育の体制が整備されていない
- □採用に関する仕組みが整っていない