【第2回】米国会計業界のHRをリードする最重要人物が提唱する 成功する事務所の人材戦略 記事


【マネジメント編】成功する事務所のパフォーマンス管理

テクノロジーが進化して市場がますます変動的になったいま、
自社のパフォーマンスを最大に発揮させる組織とは何か。
米国会計業界で人材開発において、
その手腕を遺憾なく発揮するSandra Wiley氏にお話いただきました。

 

世代間ギャップをなくし組織と意識の変革が急務

より強固な組織を目指すには「何かを変える勇気」を持つことです。
そして、従業員のパフォーマンスを最大限に発揮させるには、組織構造と管理方法の見直しが必要です。



米国会計業界では、平均的に前年比で3〜6%ほど給与が上がってきています。
また、会計学を大学で専攻したのちに事務所に入所した人の割合は
去年と比較して5%ほど上がっています。

一方で、会計業界のアドバイザリー企業『インサイトパブリックアカウンティング(IPA)』の
会計事務所の人口流出の動向調査によると、1人をクビにすると4人が自ら事務所を退職するという
結果が発表されています。1年間の離職率は平均14%です。

テクノロジーの発展で、会計事務所の94%は何かしらの変化がもたらされ、
2020年までに報酬がもらえなくなる仕事が大量にできると
オズボーン氏の論文『未来の雇用』には記されています。

なくなる仕事はあるけれど、その替わりに新たな仕事が生まれます。
ただ、より高度なスキルが求められてくるに違いありません。
例えば、自動化によって作成された財務諸表を読み解いて
コンサルティングをおこなうデータアナリストや、システム開発など。

しかしながら、市場の変化に危機感を持っている人は本当に少ないと感じています。
逆に言えば、5年後の準備をしている人たちが成功すると思っています。

また、職場の世代構成比も変わってきています。
2005年はベビーブーマー世代※1が多く活躍していました。
しかし、2020年をピークに引退を迎え、新たにY世代※2といわれる若者が増えてきます。
彼らはテクノロジーを使ってお金を生みたいという思考が強く、
お金があるからビジネスをしようという発想の持ち主です。

〝一生懸命仕事をすればお金は後からついてくる〞
というベービーブーマー世代とは考え方が異なります。

このように異なる考えを持つ世代が増えていくのですから、
当然組織構造にも変化が求められます。
若者の多くは、何のために何をやらなければいけないのかわかっていません。
きちんとした説明なしに指示を受けることが理由で辞めていく人たちも多いのが現実です。

優秀な人材を退職に追いやらないためにも、
上司は新人の継続的なパフォーマンス管理が必要なのです。

パフォーマンス管理でもっとも重要なことは、タイムリーなフィードバックです。
半年や年末など年に1〜2回の実施では効果がありません。
世代間の考えの相違を理解した上で、こまめに面談を行い、
彼らに何を期待しているのか伝える必要があります。


※1 1946 ~1964年生まれ世代 ※2 1981 ~2000年生まれ世代


「どうすれば昇給するのか」、
「何をすれば評価が上がるのか」をY世代は知りたがっているのです。
また、面談のときにできていないことばかりフォーカスしてフィードバックしてはいけません。
それを嬉しいと思う人はまずいませんよね。

そして、四半期ごとの振り返りの他、2〜4週間ごとに目標と行動がブレていないか
部下とコミュニケーションをとります。ベースになるのは事務所のコアバリューです。
事務所の目指すべき方向を一致させることも重要です。




チームマネジメントは〝スターフィッシュ型〟

以前は階級式で中央集権型の組織で仕事をしていましたが、現在変わりつつあります。
プロジェクトが変わるたびに違う人と仕事を進行。
個人に重きを置く権限分散型の組織をスターフィッシュ型の組織と呼んでいます。
階級(ヒエラルキー)が存在しないことで秩序が乱れてしまうと懸念するかもしれません。
しかし、開かれた組織に身をおくと自律や主体性、リーダーシップが生まれ、
規範は規則より力を持つことになります。

特にIT企業はスターフィッシュ型の組織で著しく成長した企業が多く存在しています。
自由な働き方が可能ないま、
マネージャークラスの人たちは部下のパフォーマンス管理の手法を変えていく必要があります。

仕事が発生し、必要なときだけ部下に声をかけるような仕事の振り方は通用しません。
スターフィッシュ型の組織では、権限が分散されるため1人ひとりの意思決定が重要となります。

個人と事務所全体、プロジェクト全体でのコアとなる価値観、
達成すべき目標にブレが生じてはなりません。
会社の目指すべき方向と部下の目標をブレさせないために、
継続的なパフォーマンス管理が必要となるのです。

手順はいたってシンプル。最初に、目標となるゴールを設定します。
そこから行動指針を定め、何が必要になるのか四半期ごとに設定して行動していきます。

その四半期の間でも2〜4週間の間に進捗や日常生活のことなど軽く確認する時間を設けます。
コーチングで重要なことは目標を具体的にどうやって進めていくか
未来に向かって行動をさせることです。
そのなかには自発的に考察できるように、
期の終わりに部下自身が成果を振り返り、褒めることも重要です。


※月刊プロパートナー2018年8月号より抜粋

いかがだったでしょうか?
『月刊プロパートナー』2018年8月号では、上記人材戦略の特集に加え、
事務所の命運を分ける人的資源についての取り組むべき戦略についてご紹介しています。

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プロフィール

サンドラ・ウィリー氏

リーダーシップ開発、教育分野において高く評価され、
会計事務所にチームビルディング(構築・形成)のアドバイスを行う。
会計業界でもっとも影響力のある人物TOP100 、もっともパワフルな女性TOP25 、
エッジイノベーションアワード受賞など輝かしい功績を持つ。会計事務所の人材開発について著した書籍など多数出版。