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『相続税調査』での申告漏れは8割以上!? 調査官の質問ポイントとその意図を解説    記事

『相続税調査』での申告漏れは8割以上!? 調査官の質問ポイントとその意図を解説

国税庁によると、平成27年中(平成27年1月1日~平成27年12月31日)の相続税の申告件数は10万3043件
そのうちの1割が実地調査の対象となり、その調査で実に8割以上の申告漏れ等の非違が確認されています。
しかし、一般的な会計事務所での相続税申告は年間数件程度であり、その中で調査まで及ぶものはほとんどないため、『相続税調査』に立ち会ったことのある税理士の方はあまりいないと思います。

そこで今回は、実際に税務官からどのようなことを聞かれるのか、またその質問の意図何なのか、といった点を中心に『相続税調査』について解説していきます。
 

相続税の申告漏れを調査するために最もチェックされるのが、金融資産のような隠しやすいものです。
そこで被相続人(相続財産を残して亡くなった方)の財産管理がどのように行われていたかなどが聞かれます。

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Q:被相続人はどのようにお亡くなりになられましたか?
▼意図
事故死か病死の区別、どのような病気だったのか、入院の有無、入院期間の長さなど、意思能力はいつまであったかの確認です。また、もし被相続人の死亡前に預金の引き出しがあった場合、その使途に関しても問われます。

Q:被相続人の職歴や趣味は?
▼意図
被相続人の収入はどのくらいだったのか、蓄財の方法や当然所有しているであろう財産の推定を行います。また、たとえば趣味が“骨董品集め”などお金のいるものであれば、その財産があるのではないかという推測をします。

Q:被相続人の財産は生前、どなたが管理されていたのでしょうか?
▼意図
お金を引き出して自らの預金にしていないかなど、管理者と被相続人の預金の区分がしっかりできているかの確認です。また、本人以外の“名義預金”になっていないかの確認のためにも質問されます。
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非違があった場合によく指摘される事項は“名義預金”と“名義株”。
名義預金とは、親族の名前で預金されているが、実際の管理者が他にいる預金のこと。
名義株も同様に、名義だけを借りて購入しているものをいいます。

名義預金や名義株がよく指摘される理由は、相続税等の国税が、一般的に実際の所有者に課税する『実質課税主義』をとっているためです。
このとき注意してみられるところが、預金通帳などの所持や保管状況は相続開始時点でどうだったかということで、調査官は財産帰属の判断ポイントであると考えているようです。

調査官は、調査で確認した事実から名義預金もしくは名義株かを判断しますが、相続税調査は帳簿などからの証拠を出せないため難しいと言われています。
調査の際は“名義預金”もしくは“名義株”でないかを調べるために相続人に対する質問も行われます。

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Q:どのようなお仕事をしているんですか? また、家族構成も教えてください。
▼意図
預金や株式などが名義預金や名義株でないかどうか。相続人の収入から預金などの有高バランスを検討していきます。

Q:相続税の納税資金はどこから捻出しましたか?
▼意図
多額の相続税を支払った場合、その納税資金はどこかから出ているのか確認し、申告漏れとなっているような金融資産発見の端緒とします。
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このように、調査官がどのような意図でどういった質問をしてくるのかを事前に把握しておき、その上で相続税の申告漏れなどを防いであげましょう。