AIを〝パワースーツ〞にして テクノロジーで法務を支える
- 2020.05.26
- プロパートナーONLINE 編集部
AIによる契約書レビュー支援ソフトを開発している株式会社LegalForce(リーガルフォース)。
約書のチェック時間を大幅に短縮させる注目の〝リーガルテック〞で、弁護士の仕事はどう変わるのでしょうか?
自身も弁護士として活躍する代表の角田望氏に聞きました。
AIの得意分野を活かし契約書のリスクを検出
「テクノロジーで法務を支える」というのが弊社の理念です。そのために、AIによる契約書レビューで、契約書のリスク発見にかける時間を短縮し、かつ精度を上げることを目指しています。私たち弁護士や企業の法務部の方たちは、リスクの発見に時間をかけるより、そのリスクをどう回避するか、契約書に何をどこまで入れるかという取捨選択の判断に時間をかけるべきだと考えているからです。
弊社のサービス『LegalForce』は、契約書のワードファイルをアップロードすると、「競業避止義務」や「違約金」といった自社に不利な条項などを判断し、契約書に潜むリスクを瞬時に指摘します。
AIは、ものを記憶することが得意です。弊社のAIであれば、「この契約書は、こういう部分が危険だ」ということを記憶しています。その項目が、例えば秘密保持契約書なら60項目くらい、業務委託契約書なら委託側で百数十項目くらいあり、それを一瞬で検査するのです。
これは人間には不可能な芸当です。頭の中に何百項目も入っていて、きちんと突合できる人はいないでしょう。人によって重点的に見る点が違ったり、チェックリストがあってもムラが出たりします。また、「大丈夫だろう」という先入観も落とし穴となります。リスクの多そうな条項だけをチェックしたら、そうでないところに大事なことが書いてあった、ということも起こり得ます。
しかし、AIには先入観はありません。もれなく、すべての項目をチェックするため、一定のクオリティーが担保されるのです。
実運用実験を通してサービスを改善、高度化していく。正式版は2019年1月にリリース予定。
取捨選択の判断は人間にしかできない
もちろん、人間の方が得意なこともあります。それが、イレギュラーを発見することです。AIは過去の学習データに含まれていないもの、想定していない表現は見分けられません。例えば、「ただし、第何条と第何条は除く」といった、どんでん返し的な表現は苦手です。また、契約書ができあがるまでには、さまざまな意思決定や判断が積み重ねられています。私たちが契約書の作成を依頼された場合、相手企業の資本金や役員数、有価証券報告書に記載された情報、クライアントとのパワーバランス、リスクが顕在化したときのインパクトなどを踏まえ、最終的に何を入れて何を入れないかの取捨選択をします。その無数の判断の集大成が契約書なのですが、これらの情報をすべてAIにインプットすることはできません。
つまり、この分析や判断、落とし所を探ることは、人がやらないといけません。AIが担うのは、その判断を助けるためのリスクの可視化です。
世の中にないサービスを自分たちでつくる
弁護士になった当初から、こういったソフトを開発しようと考えていたわけではありません。司法修習後は、森・濱田松本法律事務所に勤務し、企業法務に携わっていました。毎日新しい業務をこなす日々のなか、4年目になると仕事の全体像が見え、ほかの世界にも視野が広がってきたのです。続きを読む
プロフィール
角田 望(つのだ のぞむ)氏
株式会社LegalForce 代表取締役CEO 法律事務所ZeLo 代表/弁護士
2010年、京都大学法学部卒業。2010年に旧司法試験に合格。2012年、司法研修所を終了・弁護士登録。2013年に森・濱田松本法律事務所に入所。同僚だった小笠原匡隆氏とともに、2017年に法律事務所ZeLoおよび株式会社LegalForceを設立。法律事務所ZeLoには現在、10名の弁護士が所属している。
株式会社LegalForce
■ 設立:2017年
■ 従業員数:8名
■ 所在地:東京都中央区築地3-13-5 丸促築地ビル6階
2010年、京都大学法学部卒業。2010年に旧司法試験に合格。2012年、司法研修所を終了・弁護士登録。2013年に森・濱田松本法律事務所に入所。同僚だった小笠原匡隆氏とともに、2017年に法律事務所ZeLoおよび株式会社LegalForceを設立。法律事務所ZeLoには現在、10名の弁護士が所属している。
株式会社LegalForce
■ 設立:2017年
■ 従業員数:8名
■ 所在地:東京都中央区築地3-13-5 丸促築地ビル6階
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