地域密着で人脈を形成!? 人脈ゼロ、営業経験ゼロから学ぶ飛び込み営業の精神とは
- 2020.05.26
- 株式会社 アックスコンサルティング
縁もゆかりもない土地で開業したのにもかかわらず、飛び込み営業でお客さんを増やしていった髙野源弘司法書士。
人とのつながりを大切にし、商店街の理事を務めるなど、地元に密着した活動で、着実にお客様から紹介を得ています。
今回は開業以来忘れずに持ち続ける飛び込み営業の精神について高野氏にお話を伺いました。
髙野氏は、大学を卒業してから約10年間、司法書士事務所や一般企業での勤務を経て、2012年4月に開業。
開業にあたってこだわったのは事務所の物件でした。
「ワンルームマンションを事務所にするのはやめようと思っていました。
ワンルームマンションでエントランスがオートロックだと、特に女性のお客様は入りづらくなってしまいます。
なので誰でも入りやすい事務所として、オフィス用の物件を探していました」
その結果、見つかったのが東京・世田谷の「用賀」のシェアオフィス。
司法書士の数と世田谷区の人口比率などを調べ、価格や広さ、駅からの距離などの条件に合致した、唯一の物件でした。
地道な飛び込み営業と迅速・正確な仕事で顧客を増やす
用賀での開業を決めたのは、髙野氏自身だが、特にこの地にゆかりがあったわけではないのです。お客様がいたわけでもなかったので、開業はゼロからのスタート。
そんな髙野氏が、営業方法として選んだのは飛び込み営業でした。
ちなみに、それまでに営業を経験したことはなかったといいます。
「営業経験はゼロでしたが、不動産業者と金融機関に飛び込み営業を行っていました。
仕事につながる割合は、100件行って1件か2件です。
効率は悪いですが、仕事がなかったので、それしかないと思っていました。
他の方法があるなら教えてもらいたかったですね(笑)。
心が折れたとか、嫌だとか言っていられませんでしたね。
基本的に回るのは事務所の周辺です。
あまり遠いところだと、金融機関によってはエリア外ということで口座を作れないこともあるんですよね。
営業をしてみて初めて気づきました。
金融機関で作った通帳が何十冊にもなりましたね」
同じ士業であれば、同じ業務内容を誰に頼んでも基本的には変わりません。
そこで髙野氏が気を付けたのは素早い対応と接し方でした。
「知らない人が挨拶に来て、仕事をくれと言われても、すぐにはお願いできないですよね。
司法書士を替えるメリットは特にないわけです。
そこをあえて、私に依頼してくれるということは、お客様がなにかしら理由を抱えているからだと思います。
ですから、仕事を紹介してもらったときは、対応の早さや、お客様への接し方に特に気を付けています。
司法書士も客商売ですが、物を売るわけではありません。
感じ悪くて、対応が遅ければ、頼みたいとは思いませんからね」
地道な営業活動が、徐々に実を結び、少しずつではあったが、紹介をもらえるようになっていきます。
地元とのつながりを大切にし商店街の理事を務める
現在、新規紹介をいただく先は、金融機関や不動産業、弁護士、税理士、保険の営業マンなど。人脈は開業当初と比べて確実に広がっています。
「名刺交換をしただけでは、仕事を依頼しようとは思いません。
いろんな場所で何度も顔を合わせることによって関係性を築くことができます。
そうして初めて、仕事を頼もうという気になってくれるのです」
現在、髙野氏は地元商店街の理事を務めています。
出会った人、すべての人との関係性を大切にしたいという気持ちが、就任を後押ししました。
「なかなか理事のなり手がないということもあったのかもしれませんが、頼まれて引き受けました。
入ってみて知ったのですが、商店街の理事には不動産業の方や税理士などもいました」
今ではその税理士と仲良くなり、紹介をいただくこともあるとのこと。
また、一見面倒に思える町内会のお祭りなどのイベントの幹事として運営を行うことで、地元の金融機関の方と、仕事以外でも顔を合わせる機会が増えたそうです。
「仕事の話をするわけではありません。
顔を合わせるだけでいいと思います。
縁もゆかりもない地に来たので、そうやって顔を覚えてもらえれば、いつか仕事につながるかもしれません」
紹介をいただけそうな人たちとの接触頻度が高まることで、商店街にパンフレットを置かせてもらい、そこから相談を受けるようにもなったとのこと。
今はお客様からの紹介をもらえるようになってきているので、飛び込み営業は行っていないが、「そのときの心はいつまでも必要だと思います」と語る髙野氏。
開業したときの強い気持ちが髙野氏の丁寧な仕事につながっています。
これからも、いきなり手を広げていくつもりはなく、既存のお客様の満足度を高めながら、徐々に拡大していくつもり、と語る高野氏。
「今後は、点が線になるように仕事をつなげていくことが大切だと思っています。
単発で受けるものだけではなく、例えば相続対策として遺言を書いてもらったお客様は、実際に相続が発生したときにも相続登記などを頼みやすくなります。
すべてが返ってくるわけではありませんが、そうした案件がひとつ、ふたつと増えていけば、見込みが立つようになっていくと思います」
プロフィール
用賀司法書士事務所(東京都世田谷区)
司法書士
髙野 源弘(たかの ともみつ)氏
2012年4月設立。不動産登記を中心に、法人登記や、債務整理、後見人など、幅広く業務を行っている。開業した用賀の地で、商店街の理事を務めるなど、地元の法律家として活躍。一昨年より東京司法書士会の新人研修室のメンバーとして、後進の育成にも努めている。http://setayoga.jp/72389/
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