上昇する都心部の路線価、相続マーケットがさらに拡大しビジネスチャンスが到来!
- 2020.05.26
- 株式会社 アックスコンサルティング

国税庁では毎年7月はじめに路線価及び評価倍率を記載した路線価図等をホームページに公開しています。
標準宅地にかかる評価基準額の全国平均は、前年と比べて0.4%アップ、2年連続で上昇しています。(平成29年時点)
相続税課税対象者の増加が見込まれ、税理士にとってビジネスチャンスが拡大したといえるでしょう。
会計事務所は今後増えるであろう相続税の相談者に向けて、どんな対策をとったらよいか、ご紹介します。
銀座・鳩居堂前の路線価は平成4年に次ぐ水準まで上昇
周知の通り、路線価は相続税や贈与税の税額を算定する際に大きな基準となります。課税額に直接影響する点で、路線価は税理士や不動産鑑定士などの専門家はもちろん、一般市民にとっても身近なデータです。
路線価が全国で最も高かったのは、東京都中央区銀座の「鳩居堂前」。
32年連続1位(4,032万円/㎡)で、過去最高だったバブル直後1992年の3,650万円/㎡を上回りました。
まさに都市部の不動産に限れば、取引が増え、価格が上昇していることが読み取れます。
ある不動産鑑定士は次のように語っています。
「路線価上昇は、東京五輪まで続く可能性がありますが、その後は下落するかもしれません。
日本の人口は減少しており、将来的には需要者が減少すると考えられます。
需要は二極化しており、ヒト・モノ・カネが集まる大都市のみ地価が上昇し、その他の地域は上昇が見込めないでしょう。
しかし、マイナス金利が続き、2%のインフレが予測できるようなら、インフレヘッジ特性のある不動産が見直され、全国的に価格が上昇する可能性があるかもしれません」
不動産価格が上昇すると、相続税評価額に大きな影響を及ぼします。
不動産価格が上昇している地域では、相続税の課税対象者がさらに増えることが予想されます。
特に都市部で財産が自宅しかない場合は、平成27年に相続税が改正した時点で課税対象ではなくても、路線価の上昇により、新たに課税対象となる可能性が高まるでしょう。
また、元来からの課税対象者も、当然ながら相続税額がアップします。
都市部では路線価上昇に伴い、相続税の納税額が増加すると思われます。
相続マーケットは一層拡大し、相続への関心が今まで以上に高まることは間違いありません。
「うちは相続税を払わなければいけないのだろうか?」
「路線価が上がると、支払う相続税も増えてしまう。何か節税対策を取れないものか?」
会計事務所が上記のような相談を受ける機会が、今まで以上に増えることが予想されるでしょう。
追い風が吹く相続ビジネスでは入口商品が威力を発揮
平成27年1月1日に相続税が改正され、基礎控除額が下がり、これまで相続税を支払う必要がなかった層も、相続税を納めるようになりました。さらに路線価の上昇で会計事務所が相続ビジネスを行うにあたって、追い風が吹いたとも解釈できます。
しかし、今もなおチャンスへとうまくつなげられないという会計事務所の声も少なくありません。
会計事務所が相続ビジネスに対して、どのような悩みを抱えているのか、次に挙げます。
- 顧問先からの相談が来ない
- 相談が来ても、生前対策や申告の受注につながらない
- プレゼンに適した資料が作成できない
- 相続セミナーを開催しても、受注につなげられない
- 金融機関や他士業へアプローチするツールのデザイン性が低い
それは、「入口商品」がないからです。
入口商品がないと、生前対策や相続税申告までの道筋が見当たらず、会計事務所はビジネスへとつなげられないのです。
また、相談者もどうすればいいのか途方に暮れてしまいます。
そこで、入口商品として相続税のシミュレーションが威力を発揮します。
相続予備軍にとって「相続税申告が必要なのか不要なのか」「相続税額はいくらになるのか」ということは、先の見えない不安です。
どれくらい財産があり、相続税を申告する必要があるのか否か、申告するなら、どれくらいの相続税を支払うのかをシミュレーションし、その結果を明確に示すことで、顧客の不安を鎮めることができ、満足感を与えられるのです。
顧客満足と会計事務所の業務効率化を実現するシミュレーションソフトを
いわゆる相続税のシミュレーションのソフトは、これまで各社で市販化されてきました。税理士が独自に開発したソフトもあるでしょう。
これら相続シミュレーションのソフトには、会計事務所と顧客の双方が感じる課題があります。
まず、会計事務所の視点では、主に次のような課題が挙げられます。
1.入力作業に時間がかかる
すべての財産情報を入力しないと帳票をアウトプットできないケースが多く、なかには入力だけで60~90分かかることも珍しくない「概算でいいからシミュレーションしてほしい」という顧客のニーズに応えられない場合がある
2.データ保存に限りがある
保存できるデータ容量に限りがあるため、同一顧客の過去のデータを引き出すといった基本的な処理ができないこともある3.全角入力するとエラーになる
情報入力には、全角と半角の双方を使う全角入力したまま数字を打つと、エラーが発生し、入力時にストレスがたまる
4.出力した帳票は修正できない
帳票を修正できないと、事務所の特色を打ち出せない5.案件を獲得するツールとしては使えない
多くのシミュレーションソフトが相続税申告にフォーカスしたもので、案件獲得のためのシミュレーションとは若干趣旨が異なるまた、洗練されていないデザインの帳票が目立ち、顧客に提示しても満足感を与えにくい
一方、顧客の立場になって考えてみましょう。
多くの相続シミュレーションソフトは、表計算をベースにしたもので、見栄えが芳しくありません。
相談時に会計事務所から説明を受けたときには理解したつもりでいても、あらためて持ち帰ってきた帳票を見たら、全然わからないというケースは珍しくないのです。
入口商品として相続税のシミュレーションを行うツールとして選定する要件は下記の通り。
- 顧客のわかりやすさ
- 会計事務所の使いやすさ
マーケットがさらに拡大した相続ビジネスで収益を上げるための強力兵器として役立つことでしょう。
統計で見る「路線価」「不動産」
全国で最も路線価が高く、32年連続1位を記録した東京・銀座「鳩居堂前」の「銀座中央通り」。
グラフ1は同地の1㎡当たりの路線価の推移を示しています。
バブル期の平成4年に3,650万円を記録したが、バブル崩壊後、一気にダウンしました。
平成9年には1,136万円と、ピーク時の1/3以下まで暴落。
その後しばらく、同地の路線価は低空飛行が続きました。
平成17年前後から上昇し、平成20年までのミニバブル期には3,184万円まで回復。
しかし、直後のリーマンショックで再び2,000万円台前半まで下落しました。
平成26年から再度上昇し、平成28年にはピーク時の約88%の水準まで持ち直しました。
同地の路線価の推移は、東京の地価の歴史の縮図とも言えます。
相続ビジネスを行う上で、今後の動向から目が離せません。
グラフ2は、国税庁「統計年報」による「平成26年分の相続税の申告状況」から、相続財産の金額構成比の推移を表しています。
平成26年の相続財産の金額構成比は、土地41.5%(5兆1,469億円)、現金・預貯金等26.6%(3兆3,054億円)、有価証券15.3%(1兆8,966億円)の順となっています。
相続財産のうち土地が占める割合は、バブル崩壊後の平成6年には70%台だったが、そこからダウン傾向にあります。
平成17年には50.4%あったが、翌18年には47.8%と50%を割り込みました。
しかし、土地等の不動産が相続財産の中で依然と高い比重を占めることには変わりありません。
相続対策は不動産対策と言っても過言ではないでしょう。
不動産の価格に目を光らせることが、相続対策では重要です。