障害年金受給から就労まで自立をサポートする
- 2022.02.17
- プロパートナーONLINE 編集部
開業以来、障害年金に特化して成長してきた
社会保険労務士法人ステラコンサルティング。
現在は、就労継続支援B型事業所と就労移行支援事業所も運営し、
障害年金受給後の自立まで支援しています。
代表の坂田新悟氏に、
社労士が運営するメリットや今後の展開について聞きました。
就労継続支援B型事業所とは、
障害や病気があることで一般企業での就労が困難な人に、
働く場所を提供しながら知識や能力向上のための訓練を行う施設です。
この事業を始めたのは、社会保険労務士の仕事がきっかけです。
社労士事務所を開業したのは、2010年。
開業以来、障害年金に特化し、毎年130~150件ほど受任していました。
障害年金を受給する多くの方たちと接しているなかで
気になっていたのが、受給後の生活です。
障害年金を受給することで生活費の補填はできますが、
「それだけでいいのか」という思いがありました。
障害年金の受給者は、約6割が精神障害・知的障害の方です。
実際、当社に相談に来るのも、半分ほどは精神障害の方です。
「今後を見据えていくなかで、受給後の生活が今までと
変わらないのはあまり意味がないのではないか?」
「私たちの仕事は社会保障費を膨らませることにつながるが、
その反対の、お金を生み出す仕事をつくることもしなければいけない」
と感じたのです。
そこで、2017年くらいから就労継続支援事業所の開設に向けて動き出しました。
ですから、開設に向けてその方と合同会社を立ち上げ、
ノウハウを提供してもらったのです。
しかし、大きな壁は、物件探しと人探しでした。
就労継続支援事業所の建物には、自治体独自の要件があり、
埼玉県の場合は訓練スペースだけで一人3.3平方メートル必要です。
ほかにも、相談室や療養室がつくれて、居室内にトイレがある、
建物用途に「児童福祉施設等」が入っているなどの要件があります。
さらに、駅からの距離や家賃など、
条件を満たす物件を探すのが本当に大変でした。
また、施設にはサービス管理責任者を置く必要があります。
私たちの場合は共同経営者の紹介でなんとか採用することができましたが、
ほかの職員も自治体に指定申請をする前に確保しておかなければいけないんです。
もちろん、申請が通ったあとは利用者の募集もしなければいけませんし、
利用者に作業してもらう仕事を見つけるのも事業者の役割です。
現在、てんとうむし上尾では、名刺に点字を入れる作業や、
書店で売れ残った手帳、カレンダーを紙と金属に分けるリサイクルの
分別作業などを行っているほか、
社労士事務所からはタイムカードのデータ入力などを依頼しています。
利用者によってできる仕事のレベルが異なるため、
さまざまな業務を用意しておく必要があるのです。
2021年2月には、就労移行支援事業所『てんとうむし上尾駅前』も開設しました。
こちらは、一般企業への就労を目指している人が、
決まった日時に事業所へ通うことからはじめて、
パソコンスキルなどを身につける訓練を行っています。
まず「他事務所との差別化」があげられます。
社労士事務所を開業した当時は、
まだ障害年金に力を入れている事務所は少なかったのですが、
競合が増えてきたことで、「価格競争が起こるのでは」
という懸念がありました。
当社は法人で従業員もいますから、価格競争の波には乗れない。
しかし、障害年金の相談に来た方が就労支援事業所に通所してもらえれば、
障害年金の請求で報酬をいただかなくても、
事業所のサービス利用料を報酬に相当することができると考えたのです。
これなら、利用者は自分にできる作業をしたり、
就労に向けた訓練をしながら、費用をかけずに障害年金を受給できるため、
メリットが大きくなります。
また、就労継続支援や就労移行支援を受けるためには、
まず相談支援事業所で支援計画を立てることが必要です。
そのため、近隣の相談支援事務所との関わりは自然と深くなりますから、
障害年金の紹介増につながります。
ほかにも、福祉施設やクリニックなど、
関連業種の顧問契約増加なども考えられます。
まずはそれを安定して実現することを目指します。
さらに、その土壌を広げていくために、
社労士事務所では「障害者雇用コンサルティング」を始めたいと考えています。
企業側の就業規則の改訂や、障害者を受け入れるための職場環境整備のアドバイス、
障害者雇用に関する助成金の申請、入社後の定着支援はもちろん、
私たちの事業所からマッチする人材を紹介して、
面接に同行することもできます。
社労士事務所と就労支援事業所が連携することで、
人材紹介から定着まで、一気通貫でサポートできるのです。
現在、障害者雇用促進法により、
民間企業は従業員45.5人あたりに
1人の障害者を雇用しなければいけませんが、
雇用せずに納付金を払うことを選ぶ中小企業も多くあります。
これは、障害者をどう雇用し、就労してもらえばいいのか、
どの障害があるとどんな問題が生じるのか、
何の業務ができるのかがわからない、
といったことも要因だと思います。
しかし、業務を細分化して切り出せば、
障害の特性に合わせて任せられる仕事は必ずあるはずです。
今は年金が受給できる障害であっても、
将来は給付対象にならなくなる可能性がありますし、
病気から回復して社会復帰するという人もいます。
そういった方たちがスムーズに復帰できるサポート、
社会づくりを行っていきたいと考えています。
社会保険労務士法人ステラコンサルティング。
現在は、就労継続支援B型事業所と就労移行支援事業所も運営し、
障害年金受給後の自立まで支援しています。
代表の坂田新悟氏に、
社労士が運営するメリットや今後の展開について聞きました。
生活費だけではなく社会とつながる支援を
就労継続支援B型事業所『てんとうむし上尾』は、2019年3月に開設しました。就労継続支援B型事業所とは、
障害や病気があることで一般企業での就労が困難な人に、
働く場所を提供しながら知識や能力向上のための訓練を行う施設です。
この事業を始めたのは、社会保険労務士の仕事がきっかけです。
社労士事務所を開業したのは、2010年。
開業以来、障害年金に特化し、毎年130~150件ほど受任していました。
障害年金を受給する多くの方たちと接しているなかで
気になっていたのが、受給後の生活です。
障害年金を受給することで生活費の補填はできますが、
「それだけでいいのか」という思いがありました。
障害年金の受給者は、約6割が精神障害・知的障害の方です。
実際、当社に相談に来るのも、半分ほどは精神障害の方です。
「今後を見据えていくなかで、受給後の生活が今までと
変わらないのはあまり意味がないのではないか?」
「私たちの仕事は社会保障費を膨らませることにつながるが、
その反対の、お金を生み出す仕事をつくることもしなければいけない」
と感じたのです。
そこで、2017年くらいから就労継続支援事業所の開設に向けて動き出しました。
開業までの大きな壁は物件とスタッフ探し
障害年金に特化していたことで、福祉施設の事業者とつながりがありました。ですから、開設に向けてその方と合同会社を立ち上げ、
ノウハウを提供してもらったのです。
しかし、大きな壁は、物件探しと人探しでした。
就労継続支援事業所の建物には、自治体独自の要件があり、
埼玉県の場合は訓練スペースだけで一人3.3平方メートル必要です。
ほかにも、相談室や療養室がつくれて、居室内にトイレがある、
建物用途に「児童福祉施設等」が入っているなどの要件があります。
さらに、駅からの距離や家賃など、
条件を満たす物件を探すのが本当に大変でした。
また、施設にはサービス管理責任者を置く必要があります。
私たちの場合は共同経営者の紹介でなんとか採用することができましたが、
ほかの職員も自治体に指定申請をする前に確保しておかなければいけないんです。
もちろん、申請が通ったあとは利用者の募集もしなければいけませんし、
利用者に作業してもらう仕事を見つけるのも事業者の役割です。
現在、てんとうむし上尾では、名刺に点字を入れる作業や、
書店で売れ残った手帳、カレンダーを紙と金属に分けるリサイクルの
分別作業などを行っているほか、
社労士事務所からはタイムカードのデータ入力などを依頼しています。
利用者によってできる仕事のレベルが異なるため、
さまざまな業務を用意しておく必要があるのです。
2021年2月には、就労移行支援事業所『てんとうむし上尾駅前』も開設しました。
こちらは、一般企業への就労を目指している人が、
決まった日時に事業所へ通うことからはじめて、
パソコンスキルなどを身につける訓練を行っています。
他事務所との差別化で価格競争に打ち勝つ
社労士事務所が就労支援事業所を運営するメリットとしては、まず「他事務所との差別化」があげられます。
社労士事務所を開業した当時は、
まだ障害年金に力を入れている事務所は少なかったのですが、
競合が増えてきたことで、「価格競争が起こるのでは」
という懸念がありました。
当社は法人で従業員もいますから、価格競争の波には乗れない。
しかし、障害年金の相談に来た方が就労支援事業所に通所してもらえれば、
障害年金の請求で報酬をいただかなくても、
事業所のサービス利用料を報酬に相当することができると考えたのです。
これなら、利用者は自分にできる作業をしたり、
就労に向けた訓練をしながら、費用をかけずに障害年金を受給できるため、
メリットが大きくなります。
また、就労継続支援や就労移行支援を受けるためには、
まず相談支援事業所で支援計画を立てることが必要です。
そのため、近隣の相談支援事務所との関わりは自然と深くなりますから、
障害年金の紹介増につながります。
ほかにも、福祉施設やクリニックなど、
関連業種の顧問契約増加なども考えられます。
障害者雇用コンサルでさらなる自立を支援
この事業を通して一番重要なのは、利用者が就職して、定着してもらうこと。まずはそれを安定して実現することを目指します。
さらに、その土壌を広げていくために、
社労士事務所では「障害者雇用コンサルティング」を始めたいと考えています。
企業側の就業規則の改訂や、障害者を受け入れるための職場環境整備のアドバイス、
障害者雇用に関する助成金の申請、入社後の定着支援はもちろん、
私たちの事業所からマッチする人材を紹介して、
面接に同行することもできます。
社労士事務所と就労支援事業所が連携することで、
人材紹介から定着まで、一気通貫でサポートできるのです。
現在、障害者雇用促進法により、
民間企業は従業員45.5人あたりに
1人の障害者を雇用しなければいけませんが、
雇用せずに納付金を払うことを選ぶ中小企業も多くあります。
これは、障害者をどう雇用し、就労してもらえばいいのか、
どの障害があるとどんな問題が生じるのか、
何の業務ができるのかがわからない、
といったことも要因だと思います。
しかし、業務を細分化して切り出せば、
障害の特性に合わせて任せられる仕事は必ずあるはずです。
今は年金が受給できる障害であっても、
将来は給付対象にならなくなる可能性がありますし、
病気から回復して社会復帰するという人もいます。
そういった方たちがスムーズに復帰できるサポート、
社会づくりを行っていきたいと考えています。
プロフィール
坂田 新悟氏
社会保険労務士法人ステラコンサルティング
合同会社こち 代表社員
大手メーカーの営業職などを経て、社会保険労務士資格を取得。2010年に社労士事務所を開業。2019年2月に就労継続支援B型事業所、2021年2月に就労移行支援事業所を開設。
合同会社こち 代表社員
大手メーカーの営業職などを経て、社会保険労務士資格を取得。2010年に社労士事務所を開業。2019年2月に就労継続支援B型事業所、2021年2月に就労移行支援事業所を開設。
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