『民事信託』とシェア時代を生き抜く感覚。 顧客のために闘い続ける弁護士集団参上!
- 2021.01.06
- プロパートナーONLINE 編集部
2009年の事務所開業から今年で9年目に突入する、弁護士法人Martial Arts(マーシャルアーツ)。
名前の通り代表弁護士の堀 鉄平氏は、総合格闘技大会『ジ・アウトサイダー』で活躍するプロの総合格闘家でもあります。
今回は、氏が6月に上梓した書籍や業界動向などについて伺いました。
私たち弁護士法人マーシャルアーツとは
弁護士になって、12年目に突入しました。また、総合格闘技の『ジ・アウトサイダー』の方も、闘う弁護士として年間1〜2試合に出場しています。
格闘技は、受験生時代から「司法試験に受かったら絶対に始めよう!」と決めていて、合格後すぐにブラジリアン柔術を始めたので、もう丸13年経ちますね。
事務所の名前や理念に繋がるのですが、“依頼者のために闘う”という、弁護士として当たり前のこと。
このシンプルな目的目標を事務所のミッションの一つに掲げています。
また、闘う弁護士たるもの、依頼者のために、“弁護士の限界を超えてチャレンジする”ことも必要です。
今回書いた書籍のテーマなどが、まさにそれにあたります。
顧客の立場にたって、“弁護士の限界を超えたい”
たとえば、『都内に不動産価値1億くらいの土地建物を保有していて、預貯金は数百万だけ、子供が3人いる家庭』というような状況での相続問題。こういったケースはたくさんあると思うのです。
その中で、きちんと解決できている弁護士がどれだけいるか。
子供3人の私利私欲が強く、不動産を共有させると揉める、かといって長男だけに不動産を相続させる遺言を書くと残り2人の遺留分を侵害する。また、相続税の納税はどこからするのか、節税策はないのかなど、弁護士の限界を超えて顧客のためになにができるか。自分にできないことは他の士業の先生と組んででも、解決してあげる。
『民事信託』は少し前から流行りだしていて、関連書籍も複数出ていますが、安易なスキームを紹介して、訴訟になった際に本当に依頼者は大丈夫なのか?と疑問に思わざるを得ない書籍も結構あります。
裁判所の考え方や価値観、リスクなどをしっかり検討できるのは、唯一弁護士だけです。
そこで、“信託契約書を作ることや公正証書の作成は、弁護士の仕事”という基本に立ち返れたらと思いました。
その意味で、この本は、基本的には弁護士向けに書きました。
弁護士業界全体へのメッセージでもあります。
ただ、弁護士に限らず、専門家の士業の方、不動産関係の方などにも読んでいただけたらと思います。
“効果”から逆算して書いた超実践実務本!
世間に流通している『民事信託』関連の書籍は、制度や歴史など教科書的に書かれたものが多い印象があります。私は、“効果”から考えたノウハウ、実務的な側面を重視して書きました。具体的には、
1. 財産の凍結を防止する効果
2. トラブルを防止する効果
3. 相続を円滑にする効果
4. 被相続人の意思を尊重する効果
5. 節税効果
辺りが挙げられます。
民事信託は節税に使えないといった誤解をしている方がいますが、そんなことはありません。
例えば、現金を毎年コツコツ贈与税のかからない範囲で生前贈与をして、相続税を節税する方がいますが、あれと同じ原理でも使えます。
本来、不動産は分けられない物権ですので、生前贈与は「あげる」「あげない」の2択になってしまう。
それだと高額の不動産の場合、生前贈与して多額の贈与税を支払うか、相続時に全額の相続税を支払うほかなかった。
ところが、民事信託を活用することで、不動産という物権も、受益権という債権に分けることができるので、例えば元本受益権のみを生前贈与するなどで(収益受益権は被相続人に留保する)、贈与税を避けることが可能です。
こういった実務に絞った事例などを織り交ぜ、実際の現場で使うところから逆算して書いているというところがこの本の特色です。
コンサル的思考を持つことで、利益率も確実にあがる!
事務所のマーケティングという側面で考えたとき、我々はマスに向けての大量の広告を打ったりはしていません。対象を絞って広告を出し、『相続の1日無料相談会』を開く、など本当に当たり前のことを愚直に行っています。
ただ、1件1件、お客様の抱えている問題に対して、トータルで対応することは徹底しています。
「遺言書を書いて終わりです」「相続税を申告して終わりです」「信託契約書を作って終わりです」ではダメなのです。
顧客の真の需要を満たすためには、弁護士であることを生かしつつも、弁護士の限界を超えてチャレンジしないといけない。節税の提案や不動産や保険の組み替えの提案など、総合的にコンサルティングしていきます。
そのような相続対策を提供している専門家も業者も当然いることと思いますが、そのなかで強いて言えば、我々は弁護士が窓口であるということ。
営利目的ではなく、中立公正な立場で窓口になり、しかも法律や裁判のバックボーンを持っている。
そうすることで、単なる手数料収入から、コンサル報酬という考え方で、自由に、自信をもって報酬をいただくことができる。
今までの既存のやり方にとらわれずに、発想を切り替えていくことが大切だと思っています。
シェア時代を生き抜く“目”を持ちたい!
今の時代って“シェアの時代”だと思うのです。カーシェア、タイムシェア、ルームシェア、民泊……様々なものをシェアする時代です。マンション1室をそのまま賃貸にだすと、たとえば家賃10万円、これを一泊7000円で1ヶ月のうち20日間貸し出すと14万円になる。
シェアをすることで利回りをあげているんですね。
海外のリゾートホテルのタイムシェアなんかもそういう考え方ですよね。
高級リゾートホテルの一週間分の宿泊権(厳密には所有権であり、区分登記もされて、相続の対象にもなるようです)を1000万くらいで売りに出す。
一泊分の宿泊費にもよりますが、だいたい9~10年くらいしたら「元は取れるよね!」という考え方で買う人が多い。
ただ、これは、主催者がボロ儲けするビジネスモデルになっています。
1部屋を分譲するとせいぜい2億円程度の部屋なのですが、これを5億円超(1000万円×53週)で売っているわけです。
シェアで儲かる時代とは、逆に言うと“そうしないと利益がでない時代”とも言えます。
大規模な金融緩和や東京オリンピックに向けた地価の上昇などで、不動産の投資利回りは著しく低下しています。
東京の都心部では、表面利回りで4%を切って取引されることもあります。
そのような中、高利回りを謳って不動産を販売するビジネスが横行しています。
『シェアハウス、10年間賃料保証、利回り8%!』という話です。
本来、賃料収入で年間500万円程度が入ってくる程度のアパートについて、民泊やシェアハウスで運用することで、収入を倍にする。
そうすると、年収1000万円ですので、『利回り8%! 1億2500万円』で売りに出せば、買う人がいるのです。
高収入のサラリーマンが買ってますよね。
年収1000万円くらいの方が、「年収が2倍になる!」と意気込んで。
融資も付くし、売主がサブリースで賃料保証するというので安心するのでしょう。
ただ2年くらいで無理がでてくるケースがあります。
そもそも仕組みに無理があって、シェアハウスや民泊の運営というのは、“事業”です。
ほったらかしでも満室の不動産投資とは異なります。
うまくいけば収入は増えますが、競合も出てくるでしょうし、とてもリスクが大きい。
そこで、サブリースを解除されてしまう。
それはそうですよね。本来の賃料収入は500万円程度が相場だったのですから。
売主はアパートの売却時に利益確定していますので、サブリースで儲けられなくても関係ありません。
しかし、買い主は悲惨です。年収500万円の物件を1億2500万円で買わされたわけです。
郊外のアパートなのに表面利回り4%です。
銀行への返済もままならないでしょう。
私は、こういった業者を責めるつもりはありません。
重要なことは、物事の本質を見極めることです。
『シェア』というのは、本来の価値以上のものを叩き出すための方便なのです。
そういった意味でも、不動産の物件価値を見極めるための勉強も必要ですよね。
シェアの時代、“そのままだと利益が出ないからシェアして利益を出す時代”とは、さらに突き詰めて考えると“物事の本質を見抜かないと騙される時代”とも言えます。
本質を見抜くための勉強と、感覚。
目の前に並べられた数字だけで判断せず、俯瞰的に物事を見る感覚。
私たちは日々、顧客の総合的な利益のために、トレーニングを続けていきます。
プロフィール
弁護士法人Martial Arts(マーシャルアーツ)(東京都港区)
代表弁護士 堀 鉄平(ほり てっぺい)氏
2009年開設。大企業からの債権回収で独自のポジションを築き、中小企業の顧問や一般個人の民事事件を通して、顧客のために“闘う弁護士集団”として奮闘している。最近は、民事信託や不動産投資のノウハウを生かして、資産家・不動産オーナーの相続対策に積極的に取り組んでいる。
拠点数:2拠点
弁護士数:9名
書籍紹介
相続対策イノベーション! 家族信託に強い弁護士になる本
単行本:478ページ
出版社:日本法令
発売日:2017/6/20
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