【注目士業に一問一答】歌も税務も「ラブ&ピース」あなたの幸せが、僕の幸せ
- 2022.10.28
- プロパートナーONLINE 編集部
ミュージシャンとしても活動しながら、
税理士として150件もの顧問先を担当する甲南会計事務所の伊原裕伸(ゆしん)さん。
「歌も税務も根本は同じ」と話すゆしんさんが、30歳になってから税理士を志した理由、
ミュージシャンと税理士それぞれのやりがい、両立するための工夫、これから挑戦したいことは?
一問一答形式でインタビュー!
Q1 ゆしんさんは、ミュージシャン「ゆしん」と
税理士という2つの顔を持っていますが、
税理士を志した理由を教えてください
30歳まではミュージシャン一本で活動していましたが、事務所の所長である母親が体調を崩したことをきっかけに、
「女手一つで育ててくれた母に恩返しがしたい」と、
税理士になることを決意しました。
それまでは、いわゆる放蕩息子でしたから。
当然、税務の知識はゼロでしたが、
勉強を始めて3年で、税理士の資格を取得しました。
本当は2年で資格を取ろうと思っていたので、
ボイストレーナーのアルバイトの合間に四六時中勉強したのですが、
難しかったですね…。
2年目に受けた試験で、一つ凡ミスをしてしまって、
夜中に布団の中で号泣したのを覚えています。
3年目は、税理士事務所に勤めながら猛勉強。
運良く合格することができました。
Q2 ミュージシャンを目指したのは、いつ頃からですか?
小学生の頃から「ミュージシャンになる」と漠然と考えていて、中学生になったきには、
「30歳になる頃には、ワールドツアーをまわっているだろう」
となぜか確信していました。何の根拠もなかったんですけど(笑)
ただ、中学・高校と進学校に通っていたので、
母親は賛成してくれませんでした。
でも僕は、「ミュージシャンになる」という直感を信じて、実現したかった。
それで、母の希望する大学に現役で入ることを条件に、
「卒業後はミュージシャンの活動をしたい。僕の気持ちを理解してほしい」
と説得し続けたんです。
だから、ミュージシャンとしての活動を始めたのは、大学卒業後の22歳頃。
税理士の資格を取るために勉強していた期間は、
無期限休止という形をとっていましたが、
たまにライブなどに呼ばれて歌ったりはしていました。
現在も、ライブを開催したり、YouTubeに投稿したりといった活動をしています。
今では99%が税理士の仕事ですが、「本業は音楽です」と言い続けています(笑)
Q3 税理士としての強みや得意分野は何でしょうか?
得意不得意はあまりありませんが、個性的な経営者とお付き合いするのは好きです。
経営者って、何かに特化したエネルギーを持っている人が多いですよね。
関西弁でいうところの「あかんたれ」が多い。
僕のいう「あかんたれ」というのは、
「何か尖っていて、変わっている人」のこと。
そして、そういう人ほど成功している気がします。
僕、「あかんたれ」が大好きなんです(笑)
Q4 税理士として仕事のやりがいを感じるのはどんなときですか?
また、ミュージシャンとの共通点はありますか?
「向き合うお客様をハッピーにすることで、自分もハッピーな気持ちになれること」です。税理士は、経営者に対しても個人に対しても、出会った瞬間に
「財布のなかを見せてください」「家族関係を全部教えてください」
というような仕事なので、実はとても難しいと思うんです。
それを生業としてやっている税理士事務所に勤めてみたら、
最初は何かしっくりこなかった。
一万円を稼ぐのに必死な売れないミュージシャンからしたら、
毎月資料をもらって、数字をまとめて数万円もらうという意味が、
まずわからなかったんですよね。
でも、ある時、「僕はあなたの友達です」という感覚でいると、
できることがめちゃくちゃ増えると気づきました。
どういうことかというと、
「本当の幸せってどこなの?」
という話を一緒にできるようになるんです。
お金の話をするときは、相手やその周りの人が幸せになるために、
先を見据えて今ある資金をどういう形で運用していくかを考える。
もしくは、「今はそんなに稼がなくていいのでは?」
「今はがむしゃらに頑張るときですよ」という話もできる。
何かのために歌を届けてあなたをハッピーにしたいということと、
目の前にいる経営者のあなたの人生、
その向こうにいる家族や周りの人の人生を良くしたいということは、
同じテンションで良かったんです。
ミュージシャンも税理士も、根本は「ラブ&ピース」。
歌なのか税務会計なのかという手段の違いで、
「あなたにハッピーになってほしいし、それで僕もハッピー」
というスタンスは同じです。
また、税理士をしていると、命を懸けて仕事をしている人たちに出会います。
その出会いに刺激を受けて歌ができて、そういう歌がすごく評価が高かったりする。
それぞれの活動から良い影響を受けていると感じています。
Q5 ミュージシャンと税理士の活動を両立するための工夫や、
大変なことを教えてください
ミュージックビデオの撮影やYouTubeへの投稿など、ミュージシャンとしての活動は、事務局、映像チーム、
音響など20名ほどいる「チームゆしん」
のメンバーがサポートしてくれています。
どういうビデオにするか、いつ、どうやって撮影するか、
どこに広告を出すかなども全部彼らが考えてくれて、
僕は最終打ち合わせに参加したり、
指示された時間にスタジオに行って撮影するだけ。
最近は、彼らのアイデアで、
海外向けに花魁の恰好で歌うミュージックビデオを制作して、
YouTubeにあげたりもしました。
税理士としては現在、担当している顧問先が150件ほどあります。
我ながら数えるのが嫌になるくらい多いなと思ったこともありますが(笑)
この件数をこなせているのは、
会計・税務システムのA-SaaSを使ってることが大きいかもしれません。
A-SaaSは、税理士にとって非常に使いやすいシステムなんです。
まだまだ発展途上な部分はあるものの、変化も早いし、
かゆい所に手が届いている感じも好きで、効率的に仕事を進められます。
あとは、どちらの仕事においても、
常に何手か先を見据えて行動する癖がついているかもしれません。
でも、最後は気合です(笑)
Q6 忙しいなかで、どのようにリフレッシュしていますか?
リフレッシュという意味では、税理士かミュージシャンのどちちかをしているときが、どちらかのリフレッシュになっていると思います。
どちらも同じようなテンションでやっていますが、
煮詰まることがないのは、二足の草鞋を履いてるからなのかもしれません。
ステージでも税理士の話をしますし、顧問先さんとミュージックビデオの話もします。
自分のなかでは、使い分けている感覚はありません。とにかく楽しいんですよね。
「さあ、今日はどうしよう。どうなるかな」って、毎日ワクワクして目が覚めるくらいですから。
Q7 今後、チャレンジしたいことを教えてください
ミュージシャンとしてずっと抱いている夢は、「マイケル・ジャクソンを超える」ということ。
それに向けて今、海外展開から日本への逆輸入を目指しています。
花魁の格好で歌うミュージックビデオもその一環です。
なので、「チームゆしん」には、翻訳担当もいます。
僕、ちょっと癖が強いので(笑)、日本よりも海外の方が受けがいいんです。
税理士に関しては、「経営者になりたい」「規模を大きくしたい」
という思いはないのですが、いわゆる塾のような、自分より下の世代に
「ゆしんイズム」を伝えていく活動をしてみたいと思っています。
僕自身、知識ゼロの状態で、まったく違う世界から
敗者復活戦のようにこの業界に入ってきて、
「税理士ってこんなに素晴らしい仕事なんだ」って思えた。
だから、外の世界から来た僕だからこそわかる、税理士の魅力を広めていきたいんです。
もし、共感してくれる子がいれば、いくらでも教えてあげたい。
「ハッピーに生きられるよ」っていうことを伝えていきたいと思っています。
プロフィール
伊原裕伸さん
甲南会計事務所
1979年、兵庫県西宮市生まれ。
2002年、京都大学卒業後、シンガーソングライターとして活動。
身内の大病をきっかけに、30歳で税理士になることを決意し会計業界へ。
2012年に税理士試験合格。
現在もアーティスト「ゆしん」として音楽活動をしながら、税理士としても多くの中小企業をサポートしている。
1979年、兵庫県西宮市生まれ。
2002年、京都大学卒業後、シンガーソングライターとして活動。
身内の大病をきっかけに、30歳で税理士になることを決意し会計業界へ。
2012年に税理士試験合格。
現在もアーティスト「ゆしん」として音楽活動をしながら、税理士としても多くの中小企業をサポートしている。
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