進まないBCP対策。企業の策定率はわずか17.7%【HOTトピックス2022年7月(1)】
- 2022.07.01
- プロパートナーONLINE 編集部

先の見えない国際情勢やいつ発生するかわからない自然災害…。
企業は、予期せぬ事態に陥った時に被害を最小限にとどめられるよう、準備をしておく必要があります。
帝国データバンクの調査によると、
緊急事態に遭遇したときのためのBCP(事業継続計画)を策定している企業は
わずか17.7%であることが分かりました。
BCP策定企業は全体の2割以下が続く
BCP(事業継続計画)とは、「企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、
事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、
平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、
手段などを取り決めておく計画」(中小企業庁)を意味します。
帝国データバンクが2022年5月に行った調査によると、
「BCPを策定している」と回答した企業は全体の17.7%。
一昨年の同調査では16.6、昨年は17.6%で、数年間ほとんど変化していないことがわかりました。

多様化するリスクへの対応が求められる
また、「どのようなリスクが発生すると事業継続が困難になるか」を尋ねたところ、地震や風水害、噴火などの「自然災害」が最も多い結果となりました。
次いで「感染症」、「情報セキュリティ上のリスク」が続き、「情報セキュリティ上のリスク」、
「物流の混乱」、「戦争やテロ」については、前年の同調査と比べて大きく上昇。
企業からは「特にサイバー攻撃に関しては、対策を考えていきたい」、
「資材高騰、資材不足で備蓄が難しい」、「自然災害だけでなく、半導体不足や資材の値上がり、
物流の混乱なども想定される」といった声が挙がっており、企業を取り巻くリスクは
情勢に応じて多様化していることが伺えます。

BCP策定によって、従業員の意識向上や業務のマニュアル化が実現
次に、BCP を「策定している」「現在、策定中」「策定を検討している」と回答した企業が実施している内容は、「従業員の安否確認手段の整備」が 66.6%で最も高い結果となりました。
そのほか、「情報システムのバックアップ」、「緊急時の指揮・命令系統の構築」が上位となり、
従業員や設備などの経営資源を守るための取り組みが、
半数以上の企業で実施・検討されていることがわかりました。
こうした施策を実施したことによる効果は、「従業員のリスクに対する意識の向上」が53.7%、
「業務の定型化・マニュアル化が進んだ」が31.8%、「事業の優先順位が明確になった」が30.9%。
BCPの策定は、リスク対策だけでなく、業務改善につながるメリットも期待できます。
BCP策定に向けて、スキル習得・ノウハウ構築が重要
一方で、BCPを「策定していない」と回答した企業は42.1%となっていますが、その理由は「策定に必要なスキル・ノウハウがない」、「策定する人材を確保できない」といった
企業の体制に関わる回答が多く、「必要性を感じていない」と回答した企業は2割程度に止まりました。
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近年は各地で地震が頻発し、集中豪雨や台風などの自然災害も、以前と比べて多くなっています。
そのほか、サイバー攻撃によるシステム障害や情報漏えい、
国際情勢による原料の急激な値上がりなど、企業にとってのリスクは質量ともに多様化しています。
このような状況下でも経営を継続するためには、BCPの策定を早期に行うことが重要となります。
経営を脅かす危機に対応できるよう、事務所内で対策を練っておくことはもちろん、
顧問先企業が対策を講じる際にも積極的にフォローしていきましょう。
※図版出典:帝国データバンク『事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査(2022年)』
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