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地方事務所の生き残り方とは!?若手注目士業が語る業界のこれから【イベントレポート】

地方事務所の生き残り方とは!?若手注目士業が語る業界のこれから【イベントレポート】

2022年7月21日(木)、「DX×相続×経営支援」の視点から新たな士業のあり方を考えるイベント
『Professional Future Forum2022』が開催されました(運営事務局/株式会社TREASURY)。
会場、オンライン合わせて約300名が参加したこのイベントから、
注目の若手士業が登壇したパネルディスカッションの様子をレポートします。


〔イベント概要〕
Professional Future Forum2022
開催日:2022年7月21日(木)
会場:JPタワー(東京都千代田区丸の内)/オンライン配信
https://professionalfutureforum.site/


 

これからのトレンドは「組織化」「専門化」「全国対応」

コロナ禍や世界情勢の変化により、加速するDXの波。
デジタル関連法案や電子帳簿保存法改正、インボイス制度の実施など、
士業にも大きな影響を与えています。
そんな変革の時代に、士業はどのように変わっていくべきなのか?
今回のイベントは、「ReBoot」(再起動)をキーワードに、
「DX」「相続」「経営支援」それぞれに強みを持つ士業、企業が集結。
全14講演が行われました。

「次世代のリーダーが考える士業業界のこれから」と題したトークセッションには、
アイユーコンサルティンググループの岩永悠氏、トリニティグループの磨和寛氏、
弁護士法人GVA法律事務所の小名木俊太郎氏という
業界内外で注目を集める若手リーダーが登壇。
「士業業界の10年後はどうなっているか?」
「自身の事業承継について考えているか?」
などを語り合いました。

 
 

〔参加者〕


小名木俊太郎氏(写真左:弁護士法人GVA法律事務所 代表弁護士)
司法試験合格後、八重洲総合法律事務所に入所。
東証一部上場企業法務部へも出向し、主に上場会社の企業法務を経験。
2016年より弁護士法人GVA法律事務所に入所。
2020年より共同代表弁護士に就任。ベンチャー企業の支援を軸に、
クライアントに応じた法務戦略の構築に従事。


岩永悠氏(アイユーコンサルティンググループ 代表取締役社長/税理士)
2007年、九州の中堅税理士法人に入社。税理士登録後、国内大手税理士法人の福岡事務所設立に参画。
2013年岩永悠税理士事務所として独立、2015年税理士法人アイユーコンサルティングに改組。
これまで500社を越える中小企業・富裕層の事業承継サポート・相続対策を提案・実行。
中堅・中小・ベンチャー企業の成長支援のほか、インキュベート事業も行う。


磨和寛氏(トリニティグループ 代表社員)
都内司法書士事務所にて勤務した後、2009年7月司法書士事務所を開業。
2012年司法書士法人トリニティグループを創業し、代表社員に就任。
2020年トリニティ・テクノロジー株式会社を創業し 代表取締役に就任。
スマート家族信託をローンチ。


 

■地方事務所は規模拡大と事業承継が成長のカギ

司会 まずは、コロナ禍によってご事務所にどのような影響があったか、
またアフターコロナに向けてどのような対策を練っているのかお伺いできればと思います。

 大きな変化は2020年に資金調達をしてトリニティテクノロジーを設立したことです。
もともと私たちの事務所のメイン業務は家族信託だったのですが、
このコンサル領域の比重が大きくなっています。
売上はコロナによる影響はあまりありませんでしたが、
お客様とのやりとりがオンラインになったという変化はありました。
家族信託の場合、初回の面談にかなり時間を割くのですが、
この面談もオンラインで進めるようになりました。

岩永 相続は必ず発生するものなので、当社もコロナで売上が落ちたということはありません。
ただ、移動をしての訪問がしづらくなったことで、職員が社内にいる時間が増えたので、
このタイミングで事務所の基幹システムを変えました。

小名木 当社はスタートアップ企業のお客様が多いので、
お客様の経営に対してコロナ禍の影響は少しありました。
当社自体は、紹介をいただくことが順調に増えていて、
売上などへの影響はほとんどありません。
強いていえば、テレワークを取り入れたことで
社内のコミュニケーションの仕方が変化したことでしょうか。

岩永 テレワークにすると、どうしてもコミュニケーションは落ちますよね。
当社は、スタッフ数が多い福岡事務所に関しては、
特段の事態が起きない限りは社内コミュニケーションを重視し、
オフライン勤務とする方向に決めました。
自社ビルを建てたことも、その決意表明の一つです。

司会 ありがとうございます。
次に、3名の先生が考える「10年後の士業業界」、
そしてご事務所の10年後の構想についてお伺いしたいと思います。
小名木先生、いかがですか?

小名木 今の弁護士業界は、大型化している事務所が増えていて、
弁護士事務所もこれから組織化がポイントになると思います。
私たちも、所属弁護士100名の事務所を目指しています。また、専門化もポイントです。
Web3やメタバース、宇宙など、クライアントが新しい分野でイノベーションを起こそうとしています。
そこに対応できるチームをつくり、さまざまなニーズに応えていくことが必要だと考えています。

岩永 当社は2019年にグループ化に本格着手し、今では総勢100名を超える規模になりました。
このまま行けば、大きな変革をしなくとも10年後には200名規模になると考えています。
小名木先生から組織化という話が出ましたが、
士業のなかでも税理士は一番組織化しやすいと思います。
ただ、規模を目指すのであれば、50名くらいの規模にならないと採用が難しくなっていくはずです。
また、現在、地方にある50名規模の事務所は、ちょうど事業承継の時期が近づいているところが多い。
そこをどう乗り越えていくのかが一つのポイントだと考えています。

地方の事務所が単独で勝ち残るのは厳しいですから、
各地の事務所が統合して全国規模の事務所になっていくという流れも起こるのではないでしょうか。
一方で、メタバースでコミュニティをつくって、
フリーランスの士業が協働していくことも考えられます。
そういった意味では、私たちのように地方にある事務所にもチャンスはあると思います。

岩永悠氏


 司法書士業界でいえば、不動産登記の流れが大きく変わると考えています。
今、不動産登記の売上は、司法書士業界全体の6割ほどを占めていると言われていますが、
この売上が都市部に集中していくと思っています。
というのも、現在は決済引き渡し時には、対面での立会いが原則となっていますが、
今後は非対面が原則になっていくと考えられます。
そうすると、大手の不動産会社などは、
提携する司法書士事務所を1カ所にまとめていくほうが効率的なので、
地方の事務所は厳しくなっていくかもしれません。

磨和寛氏

 

■マネジメントと中間層の成長・育成が課題

司会 次に、ご事務所の組織づくりについてお伺いしたいと思います。
3事務所とも急拡大していますが、組織づくりにおいてどんなことを課題に感じていますか?
また、採用・教育・定着のために取り組んでいることも教えてください。

岩永 人事担当者を入れたことが大きな変化です。
これまでは拠点長の判断で採用活動を行っていましたが、人事部に一本化しました。
エージェントとの交渉などもすべて人事部が行うので、採用のミスマッチが減りました。
課題は、マネージャー層になりたい職員が少ないことです。
士業の場合、マネジメント能力が高いからといって、管理職としてうまくいくわけではありません。
まずは実務能力があることが大前提となるのですが、実務能力を磨いたら、
人の育成をするより自分で実務をやるほうが楽しくなってしまうんですよね。

 マネジメントは難しいですよね。私も、10数名規模のときに、
退職する職員が「磨先生は、職員が辞めることに対して何も感じていない」
と話していたのを知ってショックを受けたことがあります。
職員が辞めることは腹をえぐられるほどの痛みなのですが、
それが伝わっていなかったのです。
今は当時より職員に向き合っていると思うのですが、まだまだ課題ばかりです。

小名木 当社は、中間層の成長と育成が課題です。
先ほどテレワークでコミュニケーションの仕方が変わったと話しましたが、
シニアアソシエイトとアソシエイトの階層をまたいだコミュニケーションが課題になっています。
人数も増えていますから、経営層の意思を浸透させるためにも
シニアアソシエイトの成長と育成に力を入れようと考えています。

小名木俊太郎氏


司会 最後に、先生たちご自身の引退時期をどう考えているか、お伺いできればと思います。

岩永 税理士としての仕事は50代で区切りをつけたいですね。
今年5月に念願のファンドを立ち上げたので、今後10年でファンドを軌道に乗せて、
その後は経営に専念していきたいと考えています。

 私は、岩永先生と少し違って、死ぬ瞬間まで事業をやっていたいんです。
私にとって、今は夢がかなった状態なので、ずっと事業を続けて、
死ぬ瞬間まで楽しみたいと思っています。

小名木 お二人と違って、私の場合は自分が2代目なので、引退はまだ考えていません。
まずは事務所の経営を軌道に乗せることに集中したいと思っています。

司会 これから業界を引っ張っていく3名の先生方の考え方は、
皆さんの参考になるのではないでしょうか。
本日は、ありがとうございました。

 
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