【特別座談会】「社労士×〇〇」で事務所をバズらせる!SNS時代の士業ブランディング Vol.1
- 2022.09.01
- プロパートナーONLINE 編集部
事務所や個人のブランディングが成功すると、
小規模な事務所でも顧問先を獲得しやすくなります。
そこで、「社労士×〇〇」をキーワードにブランディングに成功している3名が集結!
自身のブランドのつくり方や、ブランディングに効果的なSNSの活用方法などについてたっぷり語ります。
〔参加者〕※五十音順
ヨーヨーパフォーマーと社労士を両立する“ヨーヨー社労士®︎”
スピカ社会保険労務士事務所 飯塚知世氏
コンビニから日本を元気にする“コンビニ社労士®︎”
リテールクリエイト社会保険労務士法人 安 紗弥香氏
200以上の資格取得を持つ“デジタル士業®︎&資格ソムリエ®︎”
はやし総合支援事務所 林 雄次氏
司会:株式会社アックスコンサルティング 籾山昇吾
キャリアや強みを社労士としてのブランドにする
――ブランド力を高めるためには、自分の強みや特徴を明確にすることが重要です。そこで本日は、「社労士×〇〇」でブランディングに成功されている
3名の先生方にお集まりいただきました。
まずは、先生ご自身や事務所の強みは何かを、改めて教えてください。
飯塚 私は、2017年5月に開業して現在6年目になりました。
事務所では、クラウドを活用した業務効率化の支援を強みとしています。
SNSなどでは「ヨーヨー社労士®︎」としてブランディングしていて、
社労士になる前に音楽の制作会社で働いていたこと、
そして現在もヨーヨーのパフォーマーとして活動していることから、
エンタメ業界やクリエイティブ業界に強いことも特徴です。
お客様はIT系、映像制作、漫画制作、アニメ制作の企業が多く、
クリエイターの働き方や、人事制度のアドバイスができることも強みです。
スピカ社会保険労務士事務所 代表 飯塚知世氏
税理士事務所、音楽の制作会社での勤務を経て、2017年に新宿で開業。
その後、事務所を横浜市港北区綱島に移転し、労務関連の各種手続きからクラウド導入支援や
ダイバーシティ&インクルージョンコンサルティングまで、幅広くサポートを展開。
また、ヨーヨーの選手としても活躍し、全国大会では2022年に3連覇を達成。
事務所経営と育児と選手活動を両立した働き方を体現している。
安 私は、ディズニーストアと、コンビニチェーンの本部勤務を経て、
2013年の5月に開業しました。
事務所の1番の特徴は、やっぱりコンビニ業界に強いことですね。
お客様も、コンビニオーナーさんや小売店の会社が中心。
私自身、人と接するのが好きということもあり、手続きや給与対応だけではなく、
経営者や社員の人生相談に乗る機会もあります。
最近では、お客様と弊社との合同飲み会など、クロスイベントを計画することもあり、
距離感の近い対応を心がけています。
リテールクリエイト社会保険労務士法人 代表社員 安 紗弥香氏
大学卒業後、ディズニーストアに5年間勤務し、コンビニエンスストアチェーン本部へ転職。
コンビニのより良い労働環境づくりのサポートを行うため、社会保険労務士資格を取得し、2013年に独立。
社労士業務と並行しながら、接客・マナー、コミュニケーション、プレゼンテーションなどの研修を開催。
2017年に、こんくり株式会社を設立。
2022年には、リテールクリエイト社会保険労務士法人を設立し、小売業を中心に労務を総合的にサポート。
林 私は2018年の1月に開業し、現在5年目です。
社労士になる前は、大塚商会に約17年勤めていて、
エンジニアやITコンサルタントとして企業の効率化に携わっていました。
この経験から、「デジタル士業®︎」として企業の効率化をサポートしていて、
最近では、ほかの士業事務所さんの効率化を支援する機会も増えています。
また、資格取得にも力を入れていて、現在は240以上の資格を取得。
中小企業診断士や行政書士なども持っているので、
お客様の悩みにワンストップで対応できることも強みになっています。
はやし総合支援事務所 代表 林 雄次氏
大手IT企業でシステムエンジニアとして勤務する傍ら、
社会保険労務士の資格を取得。エンジニアと社労士を掛け持ちしながら、
社労士業務の効率的なフローを構築。
在職中に行政書士の資格も取得し、2年の兼業の後、2020年に独立。
さらには、情報処理安全確保支援士や国内旅行業務取扱主任者など多数の資格を保持し、
ニューノーマル時代の企業の働き方改革支援なども多く手がける。
「選んでもらう」要素をつくり、ファンを増やす
――先生たちは自らの強みを活かしたブランディングをされていますが、そもそも、なぜブランディングが必要だと考えたのでしょうか。
林 社労士になったときに不安に感じていたのが、
すでに活躍されている人がたくさんいるなかで、
後発として参入して仕事がもらえるのかということです。
さらに私の場合は、一般企業出身で社労士事務所の経験もなかったので、
「社労士」という肩書きだけで区切ると、
ほかの事務所よりも選んでもらえる要素が少ない。
そこで、「差別化やブランディングが必要だ」と考えるようになったのです。
安 私も同じです。
独立をしたのは約10年前ですが、先輩方がたくさんいるなかで、後発としての不安がありました。
社労士の実務経験がなく、デスクワークすらあまりしたことがなかったので、
「何か1番の強みを持って開業したい」と思っていました。
後発だから必要に迫られてという思いもありましたが、自分もワクワクできて、
困っている人を助けられる強みは何だろうと考えたときに、
コンビニ業界の支援だと考えたのです。
「コンビニ社労士®︎」を最初に思いついたときに、
「私はコンビニから日本を元気にする仕事をしたいんだ!」と、腑に落ちたんです。
そこがまさに、ブランディングの最初でしたね。
飯塚 私も独立時、自分は社労士として無名だと自覚していました。
今まで勤めた会社だけではなく、もっと広く、
さまざまなクリエイティブ関連の会社とつながりを持ちたいなと思っていたので、
どういう方法で自分を知ってもらおうかと考えました。
ヨーヨーは社労士と全く関係ないですが、全国大会で結果を出していたので、
自分の大きな特徴になると確信していました。
一見、関係ないようなもの同士でも、
「組み合わせれば興味を持ってもらえるんじゃないかな」と思ったのがきっかけです。
――ブランディングのためには、ご自身の強みや特徴を棚卸しして、
発信していくことが重要だと思いますが、
実際に、どのような取り組みをされてきたのでしょうか?
また、特に効果を感じたものがあれば教えてください。
安 私は、まず自分の強みを見つけるために、
自分のキャリアや仕事観をブログにまとめていきました。
「コンビニ社労士®︎」は、このブログを通して見つけた強みです。
そして独立前に、ポッドキャストでの配信をスタート。
ほかの社労士の先生方と一緒に、
『秘伝!社労士暗記術』という番組をやってみました。
このポッドキャストをきっかけに、
社労士業界内でのつながりが広がったなと実感しています。
そして、TwitterやFacebookなどのSNSを2011年から開始。
さらに、書籍や雑誌の連載にもチャレンジしてきました。
特に、コンビニ業界でのブランディングに効果的だったのは、
『月刊コンビニ』という業界誌での連載。
現在、第86回(2022年8月時点)まで続いているのですが、
この雑誌はコンビニのオーナーさんや本部の方が読んでいるので、
これをきっかけに問い合わせをいただくこともあります。
林 私も、SNSやホームページ、名刺のリニューアル、
記事や書籍の執筆などを幅広く行いました。
特に効果があったのは、Twitterと書籍です。
Twitterは拡散力があるので、自分の手が届かないところまで
名前を広げることもできるなと思っています。
書籍は、2022年2月に『社労士事務所のDXマニュアル』(中央経済社)を発売。
「効率化やDXに強い事務所」というイメージを定着させることができたと思います。
飯塚 お二人と同じように、私もSNSは開業当初から取り組んでいました。
ヨーヨーをきっかけに興味を持ってもらいたかったので、
ヨーヨーパフォーマーとして活動している様子や、
事務所で撮影したヨーヨーの動画を、TwitterやYouTubeにアップしています。
継続して発信してきたことと、ヨーヨーの全国大会で優勝したこともあり、
テレビ出演の機会をいただいたこともあります。
――皆さん、開業時から積極的に発信を続けているのですね。
ブランディングを続けてきて、仕事の依頼以外でも効果を感じることはありますか?
飯塚 私は今37歳なのですが、この世代は子どもの頃に
ハイパーヨーヨーの爆発的なブームを経験しています。
ヨーヨーだけで幕張メッセに4万人集まったこともあったくらいです。
なので、同世代からは、「懐かしい」「自分もやっていた」
「この人はそれを極めているのか」という、親しみや興味を持ってもらえます。
安 親しみを持ってもらえるファンが増えるのはいいですよね。
私も、一番の効果は、同じ志を持つ仲間にたくさん出会えたことです。
私自身を応援してくださる方はもちろん
「コンビニ業界をもっと良くしていきたい、元気にしたい」
という人たちと出会うことができました。
例えば、中小企業診断士、税理士、コンビニ専門の税理士法人など。
そこから仕事のご紹介や、コンビニオーナーさんとのご縁につながっています。
あとは、私が率先してコンビニオーナーさん同士を紹介でつなぐケースもあります。
自分自身のメリットだけでなく、お客様同士が喜んでもらえるきっかけをつくれて、
すごく嬉しいなと思います。
林 自分だけの活動では、ある程度の距離の人までしか届けられないですが、
ブランディングを行うことで、いろんな人に知っていただけるようになりますよね。
自分が知らないところで自分を紹介してくれる方がいたり、遠方から講演の依頼が来たり。
こちらからアプローチできないような大きいメディアから執筆の話が来たり…。
そういうのは、やはりブランディングの効果だなと思います。
――ありがとうございます。お客様との出会いだけでなく、
ファンをつくることができるということも、ブランディングの大きな効果ですね。
強みを組み合わせて、インパクトを与える
――先生方の取り組みを見ていると「〇〇が強い社労士です」「〇〇が得意です」と説明するよりも、「〇〇社労士」とキャッチーな名前をつけてアピールした方が
ブランディングが成功しやすいのではと感じます。
飯塚 確かに、「ヨーヨー社労士®︎」と名乗ることで、
ぱっと思い浮かべてもらうことができています。
逆に、私の本名は誰も覚えていないかも…(笑)。
でも、一見業務と関係のない「ヨーヨー社労士®︎」ですが、
しっかりビジネスにつながっている実感はあります。
例えば、ヨーヨーの大会には、様々な業種の方が来ているので、
「社会保険や助成金のことを教えてほしい」と言われて、
ご相談につながったこともあります。
自分が好きなヨーヨーと社労士が相互に影響しあうことができるので、
誰にでも覚えてもらえる名前は重要ですね。
安 名前をちゃんとつくるのは、大切だと思います。
2010年くらいに、「コンビニ社労士®︎」という言葉が降りてきたときに
ネットで検索したのですが、同じ名前を使っている方は当時いなかったんです。
ですが、「コンビニを専門にしている社労士」を
強みにしている方は以前よりも増えてきた気がします。
そのため、「この名前はしっかり守ったほうが良い」と考え、
最近、「コンビニ社労士®︎」という名前で商標を取りました。
名前にインパクトがあればあるほど、認知度が上がりますよね。
インパクトでいえば、林先生の「僧侶×社労士」もすごいですよね!
林 僧侶の資格は、2022年の6月に取得しました。
最近では、「デジタル士業®︎」に「僧侶」も加わりましたが、
社労士の資格と僧侶を組み合わせている人は、
私のほかにはほとんどいないですよね(笑)。
今までのキャリアを強みにするのももちろんですが、
資格などで新しい強みを身につけて特徴を増やしていくのも、
ブランディングを成功させるひとつのポイントだと思います。
――僧侶社労士はほかに聞いたことがありませんが(笑)、
最近では「士業×〇〇」というブランディングをしている事務所も増えてきていると感じます。
同じ強みを持った先生が現れたときに、さらに差別化するためのコツはありますか?
林 確かに、IT業界に特化した社労士事務所は、以前より増えていると感じています。
そのなかで私自身の強みは、新卒から17年エンジニアをやってきたこと。
そこを超えてくる方は、そういないですよね。
さらにプラスして、情報処理などの資格があることも強みにしているので
「ITに強い社労士」というよりも、「IT業界の人が社労士資格も持っている」
と認識してもらえるのだと思います。
ひとつのキャリアにこだわらず、持っているものを組み合わせていくことで、
より色濃いブランディングになっていくのではないかと思います。
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