数字は友達!萩口義治氏が語る経営コンサルの極意【この本に学ぶ】
- 2023.01.24
- プロパートナーONLINE 編集部
「創業企業を『財務』の力で継続企業に!」をモットーとしたコンサルティングに力を入れている
株式会社HG&カンパニー/はぎぐち公認会計士・税理士事務所。
代表の萩口義治氏が、2022年12月に
『儲かる会社の「しゃべる」数字』を出版し、話題を呼んでいます。
「数字がしゃべる」とは?
数字を使った経営サポートの極意とは?
本に込めた思いと、萩口流の経営コンサルティングについて聞きました。
数字を活かして、数字の力で未来を変えていく
数字の声に耳を傾ければ、やるべきことが見えてくる
――2022年12月に出版された『儲かる会社の「しゃべる」数字』が、八重洲ブックセンターの週間ランキングで総合2位
(ビジネス書では1位 ※2022年12月11日〜12月17日)になるなど、好評です。
まずは、書籍を出版したきっかけを教えてください。
私はこれまで会計事務所として、
「数字を活かして、数字の力で未来を変えていく」という仕事に取り組んできました。
ただ、簿記や会計といった「数字をつくる」ための本、
決算書の読み方など「数字を読む」ための本はたくさんありますが、
「数字を活かす」ための本は、ほとんどありませんでした。
そこで、数字を「つくる」「読む」だけではなく、
「活かす」ことをテーマにした本をつくりたいと思ったことが、出版のきっかけです。
会計そのものが、過去の取引の集計なので、
数字を活かして未来を変えるというようなことは会計の元来の機能ではありません。
そのなかで私自身、どうやったら数字を活かして未来を変えることができるのかという問いを
ずっと持ち続けながら仕事をしています。
――「数字を活かす」というのは、具体的にどのようなことでしょうか?
会社の決算資料をみれば、
「うちの収益性はそれなりに高くて、安全性も問題ないな」といったことはわかります。
でも、それだけでは「で、次は何をすればいいんだっけ?」となってしまいますよね。
この「何をしたらいいの?」の部分が「数字を活かす」ことにつながります。
数字というのは行動の結果なので、欲しい数字があるのなら、
その数字をつくるために見合った行動をしないといけません。
3年後に売上10億円を目指すとしたら、今、何が必要なのか?
人を増やさなければいけないのかもしれないし、経営者が現場を外れて、
やり方を変えなければいけないかもしれない。
つくった数字を読み解いていくと、やるべきことが見えてくるので、
今から未来の行動を変えて、組織を変えていく。
そして、欲しい数字を手に入れる。
数字をもとに、「何をしたら望む未来になれるのか?」を考え、
実行することで欲しい未来が手に入るのです。
――確かに、会計事務所は数字をつくって読むことが得意ですから、
数字を活かすサポートもできそうです。
ところで、「しゃべる数字」というタイトルは、すごくインパクトがありますね。
数字がしゃべるとは、どういうことなのでしょうか?
たとえば、「業績が下がってしまったけれど、どうしたらよいのかわからない」
というとき、数字を要素分解します。
本のなかでは、第3章で詳しく解説しているのですが、たとえば売上なら、
売上=客数×客単価
という要素に分解できます。
すると、「このサービスは客数が減っていないのに売上が下がっている。
ということは、単価が低いのが問題なのかもしれない」
といったことが見えてきます。
事業別の数字からは、
「この事業は売上が上がっているから集中的に投資しよう」
ということが見えてくるかもしれません。
数字はただ並んでいるだけなのですが、
何かしらのメッセージを発しているわけです。
まさに、数字がしゃべっているのです。
そこに耳を傾けることがポイントです。
――なるほど。だから、「しゃべる数字」なんですね。
ですが、数字が良くなかったときなど、結果を突きつけられているようで、
どうしても落ち込んでしまいますよね……。
そうですね。
だけど、数字は一切経営者を責めていないのです。
責められているように感じるのは、数字がしゃべっているのではなく、
経営者自身のなかから出ている声なんです。自分で自分を責めているんですよね。
私は、「数字は友達」だと言っています。
計画より低い数字になったなら、
「自分はダメな社長だ」という自身の声に引っ張られるのを我慢して、
数字がしゃべっていることに耳を傾ける。
そして、「なぜうまくいかなかったのか?」「ここは良かったね」
「ここが足りなかったな」と原因を分析すればいいんです。
その分析をもとに、必要な行動を考えて、実行していく。
そうすれば、だんだん目標に近づいていきます。
目標を達成しないことで数字に心を折られないためには、
「計画通りに行くはずがない」くらいに考えておくと良いのではないでしょうか。
状況は日々変わりますし、状況が変われば計画も変わってくるので、
未達だからといって落ち込む必要はないのです。
もっと言ってしまえば、容易な計画を立ててそれを達成した場合もあれば、
ちょっとチャレンジングな計画を立てて頑張って
ある程度結果も出したけれど、最終的には未達だったという場合もあります。
計画通りに完璧にできたなら、それは計画が低すぎただけかもしれないのです。
計画とは、どんな現実をつくっていくのか、
行動を進めていく際の補助線として引いた線です。
計画通りに行くことが大事なのではなく、
現実が変わることが大事なのです。
私たちのコンサルティングは、経営者の中にある答えを引き出し
未来を変えるための行動を後押しすること
――萩口先生は、「しゃべる数字」をもとにコンサルティングをされていると思うのですが、実際にどのようなコンサルティングをされているのでしょうか?
また、コンサルするうえで何かポイントはありますか?
私がコンサルティングを続けてきたなかで、
たどり着いた1つの答えが、「行動を変えて、未来を変えていく」ということ。
未来の数字を変えたいのであれば、経営者が今日からの行動を変えなくてはいけません。
私たちがやっているのは、その行動計画をつくるお手伝いと、行動の進捗管理です。
ですから、コンサルティングといっても、私が何か指導したりするわけではありません。
なぜなら、答えは経営者のなかにあるからです。
だから、まずは経営者の話をしっかり聞くこと。
そして、質問をしながら経営者自身が持っている答えにたどり着くお手伝いをするのが
私たちコンサルタントの役割です。
たとえば、「売上目標に対して、どのくらい人を増やす必要がありますか?」と聞きます。
「3人です」というのであれば、「それなら計画上3人分の人件費を増やす必要がありますね」、
「人数が増えた場合、引っ越しは必要ですか?設備投資は何が必要ですか?」
という話に広がります。
それに対して資金が足りるのかも見えてきますから、
「融資について、銀行に相談していますか?」という話もできます。
税理士は税務の専門家ですから、ほかの分野は詳しくないのが普通です。
なのに、税務と同じように「何か答えを出さなきゃいけない」と焦ってしまう。
でも、答えを出すのは私たちではありません。
行動をするのは経営者ですから、経営者が考えて、
経営者が答えを出さない限り進みません。
ですから私たちは、経営者が頭脳を動かすお手伝いをすることに徹するのです。
――経営者のなかにある答えを引き出すということですね。
こういったコンサルティング業務に注目している先生も多いと思いますが、
この本をどのように活かせばよいか、アドバイスをお願いします。
私自身も、初めてコンサルティングにチャレンジしたときは手探りだったので、
「これだとうまくいかないな」
「どうやって未来の売上をつくるアドバイスをすればいいのだろう」
と試行錯誤していました。
実践しながら考えて、だんだんわかるようになってきて、
コンサルティングを始めて7年経った今、本を出せるくらいになりました。
この本は、数字の声を聞くための要素分解の方法や
分解した数字から次の一手を見つける方法などを経営者向けに書いたものですが、
経営者の中にある答えを引き出すために
私が行っているヒアリングを会話形式でたくさん紹介していますので、
これから経営コンサルティングに取り組みたい税理士の先生にも参考にしていただけると思います。
私たち士業がサービスの単価を上げていくには、
お客様にもっと価値を提供しなければいけません。
では、その価値は何か、価値をどうつくるのかというヒントにもなると思います。
儲かる会社の「しゃべる」数字
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プロフィール
萩口 義治氏
はぎぐち公認会計士・税理士事務 所長/株式会社HG&カンパニー 代表取締役
財務コンサルタント。公認会計士・税理士。認定経営革新等支援機関。
1978年、青森県生まれ。横浜国立大学経済学部卒業後、2003年に公認会計士2次試験に合格。
現・EY新日本有限責任監査法人や
コンサルティング会社・税理士法人勤務を経て、2012年に独立開業。
いかにすれば事業は継続し成長するのかを考え続け、
創業補助金採択支援数が東京都の会計事務所で1位(2014年4月採択分)、
マネーフォワードクラウド会計を50社に導入した関東で最初の会計事務所、
早期経営改善計画案件数 東京都の公認会計士で最多(2022年10月末現在)
など、多くの実績を上げている。
その他、資金調達支援・財務コンサルティング・事業計画のコンサルティングなど
数値による新しい価値を創出し続けている。
口癖は「数字はすげー」。
財務コンサルタント。公認会計士・税理士。認定経営革新等支援機関。
1978年、青森県生まれ。横浜国立大学経済学部卒業後、2003年に公認会計士2次試験に合格。
現・EY新日本有限責任監査法人や
コンサルティング会社・税理士法人勤務を経て、2012年に独立開業。
いかにすれば事業は継続し成長するのかを考え続け、
創業補助金採択支援数が東京都の会計事務所で1位(2014年4月採択分)、
マネーフォワードクラウド会計を50社に導入した関東で最初の会計事務所、
早期経営改善計画案件数 東京都の公認会計士で最多(2022年10月末現在)
など、多くの実績を上げている。
その他、資金調達支援・財務コンサルティング・事業計画のコンサルティングなど
数値による新しい価値を創出し続けている。
口癖は「数字はすげー」。
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