中小企業でも情報に関するセキュリティ対策は注目されています。しかし、「担当者がいない」「コストをかけられない」などの理由で、十分な対策ができていない企業が存在しているのも事実です。
中小企業にセキュリティ対策を強化してもらうためには、起こりうるリスクを説明し、その必要性を十分理解する必要があります。この記事では顧客企業にセキュリティ対策が必要だと思ってもらうために、どんなリスクが潜むのか、大切な情報を守るためのセキュリティ対策の手段まで詳しく解説します。
中小企業にとってセキュリティ対策が重要な理由
中小企業の担当者にセキュリティ対策の重要性を理解してもらうためには、下記の2つを解説する必要があります。
- 中小企業も大手企業と同じ様に情報は狙われている
- 情報漏洩により経営に影響が出る恐れがある
それぞれ、内容を詳しく解説します。
中小企業も大手企業と同じように情報が狙われている
「ウチは中小企業だけど、自社の情報を狙う人はいるのか?」と考えているセキュリティ担当者もいるかもしれません。現実にはサイバー攻撃は大手企業だけが対象ではなく、中小企業でも狙われる可能性が十分あります。
それはセキュリティ対策が万全ではない中小企業のほうが狙いやすい対象と考えられる可能性があるからです。
実際に、中小企業が情報を漏洩したことで取引先にも被害を及ぼし、経営困難になる場合があります。サイバー攻撃による影響は自社だけでなく、取引先も巻き込む恐れがあることを認識しておかなければいけません。
自社の情報を狙うサイバー攻撃だけでなく、自社をキッカケに他社の情報にアクセスしようとする攻撃からも身を守る必要があります。
情報漏洩により経営に影響が出る恐れがある
情報漏洩は企業の信頼問題にかかわるため、経営に影響が出る恐れがあります。情報漏洩は自社だけでなく、取引先企業にも影響が及ぶ可能性があるため、営業の一時停止などの措置が必要になる場合もあるでしょう。
情報を漏洩してしまった企業だということがわかれば、取引先もセキュリティ対策として取引停止する可能性があります。
情報漏洩が起こると、信頼や見込まれた利益を得られなくなる可能性があります。経営に影響が出ないようにするためにも、セキュリティ対策は必要です。
中小企業のセキュリティ対策と課題
中小企業には、セキュリティ対策に対して大手企業にない課題が存在します。
主な課題は、下記の2つです。
- 対策にかけられるコストに限りがある
- セキュリティ専門の人材がいない
この2つの課題をクリアしないと、中小企業のセキュリティ対策は進まないので詳しく解説します。
対策にかけられるコストに限りがある
大手企業に比べて、セキュリティ対策にかけられるコストがあまり多くないケースもあります。
コストに限りがある場合には、優先順位をつけて段階的に施策を行う必要があります。すべてのリスクから守ろうとすると、リソースが足りなくなってしまう恐れがあるからです。自社のリスクを分析・把握して優先順位を決めていきます。
システム的な対策が必要なもの、運用やルールで対策できるものなど方法によって分類し、優先順位の高いものから対策しましょう。
一番守りたい情報はなにかを明確にして対策し、徐々に範囲を広げるのが中小企業のセキュリティ対策では重要です。
セキュリティ専門の人材がいない
中小企業では、セキュリティを担当できる専門の人材がいない、もしくは採用できない場合があります。
セキュリティ対策を担当する人材は、専門性も高く採用したくても見つからない可能性があるからです。
セキュリティ対策専門の人材が確保できない場合には、外部の専門家やサービスを活用するのがおすすめです。リソースが足りない場合には、適切に外部のサービスを活用することで情報漏洩のリスクを減らすことが可能です。
パソコンの対策はイメージがついても、スマートフォンを会社から社用携帯として従業員に渡す場合、セキュリティ対策をどのように行えば良いのかよく分からないという意見もあるのではないでしょうか。
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中小企業がセキュリティ対策を強化するためにまずやるべきこと
コストをおさえながらでも、効果的なセキュリティ対策は可能です。大きな予算ですべてを対策する訳ではなく、優先すべきものを決めて始めると効果的な対策ができます。
まず、中小企業がセキュリティ対策を強化するためにやるべきことは、下記の3つです。
- 最新のOSやソフトウェアへアップデートする
- 基本的なセキュリティツールを導入する
- パスワードを強化して適切な管理をする
それぞれ、なぜやるべきなのか詳しく解説していきます。
最新のOSやアプリ、ソフトウェアへアップデートする
最新のOSやアプリ、ソフトウェアにアップデートすることは、セキュリティ対策の基本です。アップデートは、セキュリティの脆弱性を修正していることが多いからです。パソコンやスマートフォンなどにはよくアップデート通知が届きます。中にはセキュリティの脆弱箇所を修正したお知らせもあるので、放置せずアップデートをすることをおすすめします。
アップデートを怠るとセキュリティに対して脆弱な部分からサイバー攻撃を受ける恐れがあります。基本的な内容となりますが、大きなコストをかけずにできる対策なので徹底するようにしましょう。
基本的なセキュリティツールを導入する
ウイルス対策ソフトやファイアウォールなどの基本的なセキュリティソフトは中小企業でも気軽に導入できるツールです。セキュリティツールはあまり費用をかけなくても導入できるものがあります。
セキュリティツールはさまざまな脅威から企業の情報を守ってくれます。実際にセキュリティツールを導入していないことで、マルウェアに感染し業務に支障をきたした企業もあります。
ウィルスバスター、ノートン、マカフィなどのツールが有名です。いずれもクラウドタイプのサブスクリプションサービスですので、導入も容易で比較的安価なパッケージもあります。
インストールするパソコンの台数が多い場合は、法人契約もおすすめです。ぜひ導入するようにしましょう。
パスワードを強化して適切な管理をする
パスワードの強化はセキュリティ対策の基本です。わかりやすいパスワードや使いまわしされるパスワードは不正アクセスのリスクを高めてしまいます。
誕生日や電話番号などわかりやすいパスワードにしていると、不正アクセスされる恐れがあります。社内でパスワードの共有をすることもセキュリティ対策の観点からおすすめできません。
離席時には、ロックをかけ、ログインユーザー以外がアクセスできない状態にしておくことが大切です。社内でも不正アクセスがないとは言い切れません。ログインユーザーを限定して、誰がいつ・どの情報にアクセスしたかわかるようにしておくことが、セキュリティ対策では大切です。
パスワードを強化して不正アクセスされないように対策しておきましょう。またウェブサービスを活用する場合は、IDとパスワードだけでなく、更にコードなどを入力する二段階認証もおすすめします。
組織としてのセキュリティ対策の強化
企業を狙ったサイバー攻撃には、下記のような脅威があります。
- ビジネスメール詐欺
- 標的型攻撃(スピアフィッシング)
- バックドア
- エビルツイン
これらは、サイバー攻撃の一部ですが、具体的にどのような手口なのかそれぞれ紹介します。担当する企業にセキュリティ対策の重要性を説明するときに、いくつか手口について解説すると説得力が増すでしょう。
ビジネスメール詐欺
ビジネスメール詐欺では、取引先や自社の経営者を装って偽のメールを従業員に送ります。
たとえば、上司からの指示だと思いこませ金銭をだましとることもあります。
ビジネスメール詐欺は、業務用メールを盗み見したり事前に企業情報を収集したりすることで偽メールを送る手法です。従業員に疑わしいメールには注意を払うよう指導しておくことが大切です。
標的型攻撃(スピアフィッシング)
標的型攻撃(スピアフィッシング)は、特定の企業や組織を狙って機密情報を盗むためのサイバー攻撃です。通常のフィッシング詐欺よりも精度が高いため、だまされやすい特徴があるため注意が必要となります。
受信者が添付ファイルやリンクを開くことでウイルス感染し、情報を盗む仕組みです。派生した「水飲み場型攻撃」や「やり取り型攻撃」などの手口も存在します。
添付ファイルやリンクを開く際には、十分注意が必要です。また心当たりがない添付ファイルは開かないようにしてください。
バックドア
攻撃者が不正侵入するための「裏口」を意味するバックドア。プログラムの脆弱性を利用して設置する場合や、悪意を持った開発者によるもの、機器のメンテナンス目的で設置される場合などがあります。
サイバー攻撃は、必ずしも外部から行われるものではありません。社員の場合や、機器のメンテナンスに来た業者がかかわっている可能性もあります。そのため、社内であってもログインユーザーを限定することは大切なセキュリティ対策です。
特に顧客情報が格納されているクラウドサーバや、スタンドアローンのパソコンは他人が見ている前でログインすることはせず、また気軽にログイン情報を教えてはいけません。それが社内の人間でも、権限を持っていない者に対しては教えない方がいいでしょう。
エビルツイン
リモートワークが普及した中で、カフェや公共施設のWi-Fiを使う場合に注意すべき手口がエビルツインです。カフェや公共施設のWi-Fiで同じ名前のものが2つある場合は「エビルツイン」の可能性があります。
エビルツインは、情報取得が目的で気が付かずにWi-Fiに接続した利用者の情報を盗みます。
エビルツインを避けるためには、仕事にかかわる内容については公共のWi-Fiを使わないなどのルール化が必要です。カフェなどでパソコンやスマートフォンでWi-Fiを使いたい場合は、できるだけフリーWi-Fiは使わず、自身が持っているポケットルーターなどを使うことをおすすめします。
セキュリティ対策の取り組み方法
中小企業で、セキュリティ対策に取り組む場合には、下記のポイントをおさえておく必要があります。
- 最新のセキュリティトレンド情報を取得する
- 守りたいものは「何か」を明確にする
- 新しい技術に対するリスクマネジメントをする
とくに最新のセキュリティトレンド情報の取得は、大きなコストをかけずにできる内容です。それぞれ、詳しく解説します。
最新のセキュリティトレンド情報を取得する
サイバー攻撃の手口や技術は日々進化しているので、最新情報の取得が欠かせません。最新情報を知っておくことで新しい脅威に対応できます。
自社で最新の情報を取得するのが難しい場合に、外部の専門家やサービスを活用するのがおすすめです。スマートフォンの場合、楽天モバイル法人プランならMDM・Webフィルタリング・ウイルス対策の導入で外部の脅威に対して包括的なセキュリティ対策が可能となります。楽天モバイル法人プランが提供するセキュリティ対策についての詳細は以下をご覧ください。
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最新のセキュリティトレンド情報を入手して、日々進化する手口に対策をしましょう。
守りたいものは「何か」を明確にする
すべての情報を守ろうとすると、コストやリソースの面から難しい場合があります。守りたい情報は「何か」を明確にして、それを中心にセキュリティ対策を行うことが効果的です。
具体的にはリスクアセスメントを行い、リスクの大きさに基づいて優先度を決めます。優先順位の高いリスクから順番に対策していくことで、会社にとって守るべき情報の漏洩を避けられます。
新しい技術に対するリスクマネジメントをする
新しい技術を導入する前に、リスクに対して評価を行い対策することが必要です。新しい技術には未知のリスクがあることを認識しておくことが大切となります。
ここでもリスクアセスメントを行い、考えられるリスクを洗い出す作業が必要です。リスクについて、評価を行い対策しておくことで、セキュリティ対策につながります。
公的なセキュリティ対策サポートについて説明する
支援する企業の地域や自治体に、中小企業に対するセキュリティ対策サポートがあるかどうか調べておきましょう。サポートが活用できる場合には、活用するよう提案するのがおすすめです。
主に提案できるセキュリティ対策サポートは下記の2種類です。
- 各地域・自治体のセキュリティ対策支援活用の提案
- IT導入補助金やセキュリティ対策推進枠の活用の提案
それぞれ、詳しく解説します。
各地域・自治体のセキュリティ対策支援活用の提案
サポートする中小企業に該当する市町村などのセキュリティ対策支援を調べて、使えるものについては提案しましょう。
たとえば、東京都では「サイバーセキュリティ対策推進助成金」があり、セキュリティ対策に必要な設備などの導入経費の一部を助成してくれます。
該当する市町村によって、活用できる支援策には違いがあるので支援策を調べて提案するとセキュリティ対策に活用できるでしょう。
IT導入補助金やセキュリティ対策推進枠の活用の提案
中小企業のサイバーセキュリティ対策に不可欠な各種サービスをワンパッケージで安価に提供するサービスに「サイバーセキュリティお助け隊マーク」を付与して普及を推進しています。
「サイバーセキュリティお助け隊サービス」の導入では、IT補助金による支援の利用も可能です。
このようなIT補助金を活用することで、中小企業でもセキュリティサービスの導入が行える可能性があるので、活用を提案するとよいでしょう。
中小企業のセキュリティ対策の方法について理解して提案できるようにする
中小企業のセキュリティ対策は、大手企業と違い人材やコストの問題によって対策が十分にできていないところもあります。また、セキュリティ対策の重要性について理解していない場合には、重要性の説明から始める必要があります。
中小企業でコストがあまりかけられない場合は、対策の優先順位をつけたり外部のサービスを利用したりしながら対策していくことが大切です。ぜひ、中小企業ならではの対策方法を提案してサポートするようにしましょう。
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