求人広告に反応がない……“売り手市場”の中で打ち勝つ採用活動4つのポイント
- 2020.05.26
- プロパートナーONLINE 編集部
税理士試験の受験者数が年々落ち込んでいくなか、その影響は会計事務所の採用難へと拡がっています。
“顧問”や“相談”といった無形のサービスを提供している税理士業界において、事務所を運営・拡大していく上で最も重要なポイントは、“人材”の確保だと言っても過言ではありません。
採用が難しい“売り手市場”である昨今、会計事務所はどのようにして優秀な人材を獲得していくことができるのでしょうか?
テクノロジーが進んでも肝となるのはやはり“人”
インターネットやAI(人工知能)の発達によって世の中が便利になっていくなか、税理士の業務にも変化が起きています。比較的簡単な作業であれば機械に任せることも可能ですが、税理士にとって重要な“顧問”や“相談”などは“人”にしかできない業務です。
そのため、引き続き優秀な人材をいかに採用していくかが、事務所発展の肝となってくるでしょう。
しかし、“売り手市場”である昨今、
・採用がうまくいかない
・求人広告を出しても効果が薄い
・採用イベントに出展してもなかなか人が集まらない
・優秀な応募者が来ない
など、採用に関する悩みが多く聞かれます。
では、そのような状況のなかで、採用に対してどのような戦略を立てて臨んでいくべきでしょうか?
その具体的なスキームを4つ紹介していきます。
“売り手市場”で打ち勝つ採用活動4つのポイント
1.求める人材はどのようなタイプなのかを明確化する
まずは、事務所にどのような人材が足りないのか、従業員にしっかりとヒアリングし、必要な人材のイメージを明確にしておきましょう。[例]
・雇用形態(正社員、契約社員、パート等)
・勤務条件(勤務時間、勤務日数)
・業務内容(具体的に担当する業務の特定)
・必要な経験、スキル
・提示可能な上限年収
・人柄(協調性、責任感、成長意欲ほか)
2.事務所の規模や募集したい人材によって適切な求人媒体を選定する
業界、雇用形態、かけられる費用によってその事務所に対する有効な求人媒体は変わっていきます。そのため、どのような人材が必要なのかが明確になったら、それに合った適切な求人媒体をしっかりと検討しましょう。
[例]
①ハローワーク
無料で利用することが可能。
②Web
SNS、求人サイト、自社ホームページなど、有料だが閲覧者数は圧倒的に多い。
③紙
有料だが、フリーペーパーは駅、コンビニ、ファミレス等で無料で入手でき、新聞折込広告は確実に手元に届けることが可能。
④人
人材紹介、ヘッドハンティングなど。原則成功報酬のため費用は高額になるが、採用成功率は高い。
⑤その他
直雇用ではなくても、人材派遣、アウトソーシングにより人材不足を解消する手段もある。
3.書類選考時に“見極める項目”を記載していく
履歴書、職務経歴書またはエントリーシートを求職者に提出してもらい、書類選考を進めていくわけですが、その際に選考基準を決めておき、それを見極める項目を履歴書などに記載しておくと効率的に選考が進みます。4.面接は“会社が面接される場”であることを意識する
書類では見極められなかった部分を面接で確認していくわけですが、売り手市場においては“会社が面接される場”であることも意識していなければなりません。しっかりと、会社の魅力をアピールし、内定辞退を回避していきたいところです。
では、魅力のアピールはどのようにするべきでしょうか? その一例をご紹介します。
[例]
・見た目を気にする
初対面の際、最も重要なのは視覚情報です(メラビアンの法則:初対面の人と会ったときの第一印象はわずか3~5秒で決まる。その情報の多くを『視覚情報』から得ているというもの)。
面接官が直接会社のイメージになるため、服装などの身だしなみには気をつけましょう。
・冒頭で名前を呼ぶ
来訪予定時間にはエレベーターホールで待ち、「○○さん、いらっしゃいませ」と挨拶。丁寧な対応且つ名前を呼んでもらえる事で、印象は確実にアップします。
・お茶出しでイメージアップ
待機時間にはお茶を出しましょう。ミネラルウォーター、お茶、コーヒー、紅茶など、選択肢があるとなお良いです。・会社パンフレットは多めに渡す
会社のイメージを上げる為や、認識不足をなくす為に、会社概要や商品パンフレットはなるべく多く渡しましょう。・面接の際は面接官から自己紹介する
面接の際、応募者は自己紹介するのが当たり前ですが、面接官の自己紹介はそれ以上に重要になります。もし自己紹介を忘れた場合は、応募者からは高慢な態度の面接官だと思われるでしょう。・話し始めは気楽な世間話などから
応募者は不安や緊張でいっぱいの状態なため、世間話など、気楽な話題から話し始め、緊張状態を解いてあげると好感を持たれやすくなるでしょう。・会社の詳細を話す時間は長めに
業務内容や勤務条件などの応募者が気になるポイントは詳細に伝えましょう。そして、応募者の疑問や不安を解消する質問時間を長く設けることが重要です。・結果の期日は明確に
面接終了後、エレベーターホールまで見送り、最後に「○日までに返事をいたします」と、明確な結果通知の期日を伝えましょう。インターンシップで心を掴む
面接まで漕ぎ着けても、大手企業と比べられた場合、数人規模の事務所を選んでもらうのはなかなか厳しいところです。そこで注目してほしい戦略が、インターンシップ制度です。
小さな事務所や中小企業にとって、インターンシップ制度は、業務内容はもちろん、その事務所の雰囲気や文化を知ってもらえるという大きなメリットがあります。
学生にとっては、その事務所の社員が実際にどのような業務をやっていて、どのようなスピード感で働いているかなど、イメージできないことも多いため、現場で経験してその魅力を知ってもらう良い機会です。
また、インターンシップというと通常は大学3年生が対象となりますが、4年生を対象として秋冬に行うことで、まだ就職先が決まっていない学生を取り込むことも可能となるでしょう。
小規模な事務所では、求人広告に費用をかけられなかったり、採用活動の時間すらなかなかとれないところが多くあります。だからこそ、採用に関しては相当慎重にならなければならないはずです。
良い人材にめぐり合えても採用につなげられなかったり、採用した新入社員がすぐに辞めてしまったりというミスマッチを防げるよう、事務所に合った人材採用戦略を考えていきましょう。
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