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【2026年改正】行政書士法改正で税理士が押さえるべき実務リスクと対応策

〜「知らなかった」では済まされない業際の最新動向〜

2026年(令和8年)1月1日より、改正行政書士法が施行されました。

今回の改正は、税理士業界にとっても決して無関係ではありません。
特に、補助金申請支援や各種許認可に関連するコンサルティング業務を行っている事務所にとっては、
業務範囲の整理と体制の見直しが求められる重要なタイミングといえるでしょう。

本記事では、税理士が注意すべきポイントと、実務で活用できるチェックリストを整理しました。

 

1. なぜ今回の改正が税理士に影響するのか?

今回の改正で注目すべき点は、主に以下の2点です。

●罰則規定の強化(両罰規定の導入など)
●報酬概念の整理・明確化


従来は「コンサルティングの一環」として整理されることもあった業務についても、実態が「官公署提出書類の作成」に該当すると判断されれば、行政書士法上の問題となるリスクがあります。
重要なのは、「名目(顧問料やコンサル料)」ではなく「実務の実態」で判断されるという点です。

 

2. 実務で注意したい「グレーになりやすいケース」

① 補助金申請における事業計画書の作成関与

顧問先支援の一環として事業計画策定に深く関与するケースは少なくありません。しかし、

●文章を事務所側で全面的に作成している
●申請フォームへ直接入力(代行送信)している


といった場合は、「書類作成の主体」が誰かという点が厳格に問われる可能性があります。

② 電子申請のID・パスワード管理

デジタル化の進展により、顧客のID・パスワードを預かり、事務所側で代理入力を行う運用が増えています。
しかし、「提出主体」の真正性は今後より厳格に見られる可能性があります。
ID管理のあり方は、コンプライアンス上の重要テーマです。

③ 許認可関連書類の“ついで対応”

建設業関連の決算変更届などは、顧問先から「ついでに」と依頼されやすい分野です。
しかし、これらは行政書士の独占業務に該当します。
「長年やっているから大丈夫」という慣習的な判断は、今後は通用しにくくなる可能性があります。
 

3. 実務リスクチェックリスト(事務所用)

事務所の現状を客観的に把握するためにご活用ください。
【業務内容の確認】
□補助金申請において、事業計画書の文章を全面的に事務所側で作成していないか
□建設業の決算変更届や更新手続きを、資格の有無を確認せず対応していないか
□登記書類や定款、議事録などを「サービス(無償)」として作成していないか

【契約・報酬の確認】
□契約書に「各種申請代行」といった包括的な文言が含まれていないか
□行政書士資格がないにもかかわらず、申請代行を前提とした手数料設定になっていないか
□顧問料の中に、実質的な許認可書類作成業務の対価が含まれていないか

【体制・管理の確認】
□職員に対し「どこからが行政書士業務に該当し得るか」の研修を実施しているか
□ID・パスワード管理ルールを明文化し、本人入力を徹底しているか
□必要に応じて外部行政書士とスムーズに連携する体制が整備されているか

 

4. まとめ:税理士事務所が取るべきスタンス

今回の改正は、「業務をやめるべき」というメッセージではありません。
むしろ、「強みを伸ばすために、境界を明確にせよ」というシグナルと捉えるべきでしょう。

今後も許認可や補助金支援を強みとする場合は、次の選択肢が現実的です。

1.行政書士登録を行い、ダブルライセンス化する
2.行政書士法人を併設、または専門行政書士との提携を強化する
3.業務範囲を明確化し、コンサル業務(助言)と書類作成業務を整理する


法改正はリスクであると同時に、「コンプライアンス体制を整えている事務所」が顧客から選ばれ、差別化できる機会でもあります。

この機会に、行政書士との提携強化やダブルライセンス化といった、より専門性の高いサービス提供の在り方を検討されることをお勧めします。
業務の境界線を明確に整理することは、職員を守り、かつ顧問先に対してより付加価値の高いコンサルティングを提供し続けるための重要な第一歩となるはずです。
プロフィール
鮏川 雄一
2008年アックスコンサルティングに入社。Webマーケティング・システム開発に従事した後、コンサルタントとして士業事務所の課題解決支援を行う。
現在は会計事務所、社会保険労務士事務所を中心に士業の営業・マーケティングから事務所作り、社内制度策定まで士業事務所の課題解決に努める。
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