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税制改正

  • 【辻・本郷税理士法人】PE(恒久的施設)の改正動向について

    国外に本店を有する法人・個人が日本国内にPEを有する場合、日本で得た所得につき申告納税が必要となります。PEについての改正動向につき、経緯と概要をお伝え致します。 1、PEPEとはPermanent Establishment(事業を行う一定の場所)であり、日本では国内法上のPEと、租税条約上のPEとで、若干異なるPEの定義が存在していました。2、条約署名による租税条約改正の効率化とPEの改正以前よりPEとしての認定を逃れるための租税回避行為が国際的な問題となっていました。そのため平成27年10月に、租税条約上のPEの定義を変更する事を目的とした取組みであるBEPS行動7にて、PE認定回避の防止措置が報告書としてまとめられました。平成29年6月に、租税条約に関するBEPS防止措置実施条約に日本も署名し、これまで各国間で個別に改正していた租税条約が、この署名により全体的・効率的に改正可能となりました。このBEPS防止措置実施条約には、上記のPE認定回避の防止措置が盛り込まれており、BEPS行動計画7の最終報告書に基づき、OECD加盟国とモデル租税条約と歩調を合わせるため、平成30年度税制改正の大綱にこの取り決めに係るPE関連規定の見直しが明記され、国際的標準に対応する事となりました。3、PEの主な変更概要変更の概要については以下の通りとなります。  2018.07.04
  • 【動画】一流の税理士なら知っている! 平成30年度税制改正を分かりやすく解説!

    辻・本郷税理士法人の審理室・顧問税理士、新井宏氏が平成30年度に改正された税制改正について重要な点を本動画にて詳しく解説します。今回の改正で注目すべきポイントは2つ。 1. 『事業承継税制の特例の創設』こちらは対象の場合に従前と比べ【減税】となる内容です。2. 『小規模宅地等の特例の見直し』こちらの対象になる場合は従前に比べ【増税】となります。『事業承継税制の特例の創設』では【従前】と【改正後】で相続税や贈与税、後継者に係る項目が大きく変化しました。今後5年で70歳以上の高齢経営者が30万人に達しますが、その多くは準備が整っていない状況です。中小企業は日本の経済の底力ですので、これを守るべく減税の手法として税理士は企業の税務を担当するにあたり、必ず押さえるべく項目です。今後、最終的に利用するか否かは顧問先の判断になりますが、提案を一切しないというのは税理士としての責任を問われかねない問題となるでしょう。『小規模宅地等の特例の見直し』につきましては【改正後】増税となる内容です。近年、税金対策として一時的にタワーマンションを購入するなど、税法の本来の目的と外れた趣向の節税が一種ブームとなったため、今回の改正に至りました。その大まかな説明を本文にてご紹介いたします。どちらも詳細に関しましては新井氏の解説動画をご覧ください。 事業承継税制の特例の改正で中小企業の贈与・相続がスムーズに!総務省の統計によると平成28年9月時点で65歳以上の高齢者の人数は3,461万人。実に全国民の27.3%の割合を占めています。この中には、企業の経営者も当然ながら多く含まれており、将来的には大量の事業継承が行われることを示唆しています。しかし、相続や贈与といった手続きには、必ず税金が存在しています。そして恐ろしいことに相続税・贈与税は現金一括払いが基本なのです。さて、これが法人のオーナーとなれば、資産額が個人にいくらか大きくなり、実際に現金はなくとも資産はそれなり、莫大な税金の支払いが! といったことも起こってくる可能性があります。支払いが苦しく、どうせなら、これを機に廃業して……と相続人が次々に事業を畳んでしまったら中小企業はグーンと数が減ってしまい、国力の大幅な減少も容易に想像できるでしょう。そこで、平成21年に事業承継税制の特例を設けました。いくつかの要件をクリアした場合に、相続税・贈与税などの納税を猶予してもらえるシステムです。ところが……この税制は、決して使いやすいものではなく、税理士はあまり顧問先に勧めることをしませんでした。というのも、そもそもこの税制は【免除】ではなく【猶予】です。一旦猶予はしたものの、一定期間経過後に要件をクリアできず、利子税を含めて納付しなければいけなくなる可能性があるからです。そこで、国は再度、平成30年に特例を改正しました。これにより、大幅に事業承継が進むものと思われます。ちなみにポイントは2点!1.  今回の措置は平成30年1月1日~平成39年12月31日の相続・贈与による財産の移転について10年間に限定した制度。もともとの制度と並行して、新しい制度が時限的に運用される。2.  従来の制度をベースに改良して利用しやすくなっている。では早速、具体的に「相続税・贈与税」の改正を見ていきましょう。 相続税・贈与税が100%猶予される!従前、相続税・贈与税を最大80%猶予してもらえる制度でしたが、今回の改正ではどちらも100%猶予となります。しかも、その様々な事業承継パターンに対応できるよう、制度も柔軟に改正されています。 後継者が取得した株式は全て猶予の対象株式!【従前】は後継者の取得株式のうち、最大3分の2が対象となっていました。【改正後】では、後継者が取得した株式は全て猶予の対象になります。 贈与者・被相続人が代表権者以外の場合も猶予の対象者【従前】は代表者からの贈与、相続のみが特例の対象でしたが、【改正後】は、複数の人間からの贈与や相続も猶予の対象になります。 後継者は最大3人まで猶予の対象に。血族で無くても後継者になれる【従前】は同族関係者で過半数の議決権を有する後継者1人でしたが、【改正後】は最大3人の後継者が猶予の対象になり、たとえ後継者が同族関係者でなくとも猶予の対象となります。これにより、従業員に対しても使うことができます。※ただし、お金のやり取りが発生する売買の場合はこのケースは利用できません。 相続時精算課税制度の適用範囲が拡大【従前】は贈与者の直系卑属に限定されていましたが、【改正後】は相続人以外の後継者も対象になりました。※相続時精算課税制度→生前贈与を行った場合、贈与税を納めなければなりませんが、将来の相続のときにもう一度、精算して課税します。つまり贈与ですが、税金的には相続税になります。※この制度を受けるには特例承認計画書を都道府県に事前に提出が必要 税制猶予制度を継続するには一定の要件のクリアが必要事業承継の特例によって納税が猶予されたとしても、一定の要件をクリアできないと納税が確定となってしまいます。ただし、この基準も大きく緩和されました。【従前】は承継後5年以内に平均8割の雇用を維持が必要【改正後】は平均8割の雇用を確保を下回ったとしても、雇用要件を満たせなかった理由を記載した書類を都道府県に提出すれば引き続き、納税猶予は継続されます。気を付けてほしいのは、理由書には“認定経営革新等支援機関の意見”が記載された書類が必要で、この詳細はこれから(平成30年3月末現在)確定するでしょう。さて、まだまだ事業承継の特例の話は続くのですが、続きは動画でご視聴ください。次は重要な改正点の2つ目になります『小規模宅地の特例』についての改正(増税)について簡単に説明しましょう。 相続対策に乱用されて増税に改正冒頭で述べた通り、『小規模宅地の特例』が見直しとなりました。改正のポイントは相続開始前3年以内に貸付を開始した不動産については、平成30年4月1日以後の相続または遺贈により取得する財産に係る相続税についてが適用になり、特例対象から除外されます。では【従前】にどのような事例が相続税・贈与税において制度の上で問題になり、どういった要件に変わるのかご紹介したいと思います。 問題となったケース例をあげますと、被相続人が亡くなる数ヶ月前に時価1億円の200平米の土地(駐車場)を購入したところ、この路線価評価は8,000万円でした。小規模宅地の特例(貸付事業用)を適用して、200平米まで50%減となります。よって相続税評価額8,000万円-(8,000万円×50%)=4,000万円相続開始直前に現金を駐車場に換価し、6,000万円の相続財産が……圧縮されることになります。➡こういったケースが頻発したため、今回の改正に至りました。 自宅を意図的に身内へ売却する節税は今後NG従前は、被相続人が自宅を残して死亡した場合に、相続人が居住用の持ち家を所有していない場合は、自宅の面積に応じて、相続税が減額される『小規模宅地の特例』というものがありました。持ち家が無いのならば、最終的にそこに住むため、財産として無駄にならない非常によい制度かと思います。ですがこれが、異なった使い方をされていました。 問題となったケース【従前】例を挙げますと、・被相続人で自宅(敷地面積330㎡、路線価8,000万円)を所有しているA(一人暮らし)・既に自宅を購入・所有しているAの子供B・成人して賃貸アパートに住んでいるAの孫C①Bが自宅をCに売却。②売却後、Cはその家に自身は住まず、Bに賃貸として貸し出す。③5年が経過しAが死亡。BがAの自宅を相続する。すると、『小規模宅地の特例(特定居住用)』が適用され、330㎡まで80%相続財産が圧縮されます。つまり、8,000万円×0.8=6,400万円➡8,000万円-6,400万円=1,600万円Bは自身で購入した自宅に、賃貸という外見で居住しながら、税金において特例の適応を受けることができるのです。これでは、本来の税制の抜け道になってしまいますね。そこで今回は【改正】となり、要件が追加されました。【従前】・被相続人に配偶者および同居法定相続人がいないこと・相続開始前3年以内に日本国内にあるその人又はその人の配偶者の所有する家屋に居住したことが無いこと・当該宅地を申告期限まで保有していること【改正(従前に追加という形になります)】・相続開始前3年以内に、その者の3親等内の親族またはその者と特別な関係のある法人が有する国内に所在する家屋に居住したことがある者・相続開始時において居住の用に供していた家屋を過去に所有していたことがある者上記ケースのように親族に売却する場合や、元々自身の住んでいた家は、小規模宅地の特例が適用されないこととなりました。細かい点は動画にてご確認頂きたいと思いますが、現在、まだ確定していない部分もございますので、今後も随時、平成30年の税制改正を随時、探求して税理士としての知識を深めていきましょう。 2018.04.16
  • タックス・ヘイブン税制の非課税所得と組織再編成税制の関係

     1. 外国子会社合算税制の概要と租税負担割合内国法人などがタックス・ヘイブンに所在する外国子会社を有する場合に問題になる外国子会社合算税制について、平成29年度改正により抜本的な見直しがなされています。この制度の改正前から解釈上疑義が大きかったポイントの一つに、租税負担割合の計算があります。この租税負担割合については、原則として以下の通りの計算を行うことになっています(措令39の17の2①・②)。  (外国子会社の本店所在地国で課される租税の額)/(外国子会社の本店所在地国の法令に基づいて計算される所得金額)+(非課税所得の金額) 抜本的な見直しが実現したとはいえ、上記の算式で計算される租税負担割合が20%以上であれば、その外国子会社については、原則として外国子会社合算税制の対象にならないとされる取扱いは変わっていません。この算式の意味ですが、香港やオランダのように、国外の所得に課税していない国とは異なり、日本の法人税においては原則としてあらゆる所得がその課税対象になることを踏まえたものです。日本の課税ベースに則って外国子会社合算税制の対象を決めるため、単に子会社の所在する国等の表面的な税率で決めまることはなく、子会社が実際に外国に納付した税金(分子)を、非課税所得を加算することにより日本の課税ベースに調整した子会社の所得(分母)で割って計算した割合で、外国子会社合算税制の対象になるかを判断することにしているのです。ところで、この計算上、従来から疑義がある、とされていたのが、租税負担割合の計算上、その分母に加算すべきとされる「非課税所得の金額」の範囲についてです。非課税所得の金額に該当するか否かで、租税負担割合は大きく異なることになる訳ですが、特に大きな問題になっていたのは、外国の子会社が、日本で非課税とされる、「適格組織再編成」を行った場合の計算についてです。  2018.03.23