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  • 自立したチーム制で安心と幸せを提供する

    これからの士業事務所経営には、職員と事務所が相互に成長をサポートする関係「エンゲージメント」 が重要となります。今回は、チーム制を導入し、自立した組織づくりに挑む税理士法人アンシアの取り組みについて代表の斎藤英一氏にお話を伺いました。 ユニット制に挑戦するも一体感のない組織に......当社は開業以来、私の名前が付いた事務所名(斎藤英一税理士事務所。2009年に税理士法人斎藤会計事務所に変更)でやってきましたが、2021年4月1日に名称変更し、『税理士法人アンシア』として新たなスタートを切りました。アンシアには、「お客様だけではなく、従業員に対しても『安心』と『幸せ』を提供したい」という思いを込めています。 この新たなスタートに向けて、数年かけて準備を進めてきました。実は、私は5年ほど前に一度、組織づくりに失敗しているんです。当時、職員は約25名いましたが、いわゆる職人集団で、所長対その他25名というような構造でした。全員が職人としてのプライドを持っていて、提供するサービスの品質は良い。けれど、労働時間を含めて各自の裁量に任せていたので、個人事業主の集まりといった雰囲気だったのです。タイムカードすらありませんでしたから。だから私が、「これからは経営計画の時代だ。経営計画をやろう!」と熱く語っても、反応がない。職員からすれば、「また所長がとんでもないことを言い出したよ」という感じです。しかも、私も業務に追われていて一人ではできませんから、勢いよく宣言をしても、2カ月後くらいにはトーンダウンしてしまう。そんなことの繰り返しだったのです。そこで、ユニット制を取り入れた体制に変更しました。ベテラン職員を核にしたユニットを組み、各ユニットで業務を進めてもらうことにしたのです。経験自体は豊富ですから、業務は滞りなく進みました。でも、ユニットごとにやり方はバラバラで、横の連携もない。全体的に統一感のない組織になってしまったのです。結果、ベテラン職員を含めて数名の退職者が出てしまいました。しっかりとした準備期間もなく、ユニット内に明確なリーダーを置くことができなかったことが原因だったため、次は有資格者をリーダーにすると決めて、税理士の採用を開始。私を含めて2名しかいなかった税理士を、2年間で8名まで増やしました。 チームの経営者としてリーダーを育てるリーダー候補が集まった段階で、1年半後の2021年4月に新体制をスタートさせると決め、準備を進めてきました。前回の失敗を受け、「核となるリーダーたちがまとまっていれば、 個々のメンバーに何かあっても全体は崩れない」と考え、リーダー候補が集まる会議を月に2回、2時間ずつ開催。どういうルールでチームを運営していくか、事務所全体でかかる経費を各チームがどの割合で負担していくかなどを話し合いました。もちろん、私が主導で決めなければいけないこともありますが、それ以外はリーダー全員で決定して、進めていく。売上予算もチームで立ててもらい、 そこから利益や自分たちの給料をどう出すのかまで任せています。「チームを経営する意識」を持ってもらいたいのです。実際は、予算が達成できなかったとしても、報酬をカットするようなことはしていません。2年以内に改善できる案を出してもらい、私を含めた幹部で指導をしていきます。お客様や従業員に安心と幸せを提供するという理念のもとに、チームをどう運営して、どんな行動をしていくのか。リーダーに裁量を持たせながら、サポートしていきたいと考えています。また、営業活動や採用も、リーダーにある程度の裁量を持たせています。これまでは私が事務所の看板としての役割を担っていましたが、これからはリーダーたちが自分の責任で動いてもらう。事務所名から斎藤という名前を外したのは、そのためです。 チームとは何か?研修で職員の意識が変化組織改革を進めていくうえで、 リーダーの育成・連携とともに課題だったのが、職員の意識改革です。リーダーたちは1年半の間、 膝を突き合わせてきましたから、 共通の意識は持っています。けれど、チームのメンバーたちとの温度差が気になっていました。そこで、いま事務所で起きていることを知ってもらうため、職員向けに毎日メルマガを書きました。業務連絡や実務の内容も混ぜながら全部で210回配信したので、私の熱量は伝わったと思います。また、「チームになることで自分にどんなメリットがあるのか」 を知ってもらうため、アックスコンサルティングのエンゲージメント研修を受講しました。グループに分かれて行うワークでは、若手職員も率直に発言していて、なかなか盛り上がりました。でも、研修後のアンケートで、私のチームに所属する職員から、「チームの意味がわかりません」 という意見が出たのです。「これまでは、自分の仕事をしっかりこなせばよかった。もちろん情報共有はするが、チームの実感がわかない」と。ただそれは、反抗的な意見ではなく、「自分のチームがチームとして機能しているのか?」を前向きに考えた結果だったのです。後日、その職員から、「新しい人を採用しませんか?」という提案をされました。私のチームは特に職人的なスタッフが多く、誰かの手を借りたり、ほかの人に仕事を振るのが苦手で、それぞれがキャパ一杯に仕事を抱えています。 そのため、現状の成績は良くても、伸びしろが少ない。「だったら採用して、チームのキャパを増やしましょう」と言うんです。「みんなで人を育てて、目標の数字を達成しましょう。それがチームですよね」と。どうすればチームになれるのか、自分たちのチームが事務所にどう貢献できるかをこんなに考えてくれたのかと、思わず目頭が熱くなりました。実際に採用の面談をチーム全員で行い、内定を出しました。この採用が成功すれば、ほかのチームにも良い影響が出るのではないかと思っています。 みんなの知恵を集めて良いサービスを提供する新しい体制になったからといって、劇的に違う組織になったわけではありません。組織づくりは、仕組みが2割、運用が8割。徐々にチーム力を高めていきながら、働きやすい職場をつくりたいと思っています。私たち士業を取り巻く環境は、 お客様に関与するスタイルも含めてどんどん変わっていくはずです。この激しい時代の潮流に自分一人で対応するのは厳しい。お客様に良いサービスを提供するためには、 みんなの知恵や知識を結集してつくりあげることが必要です。そのためには、組織として人を集めて、いろいろな意見を聞きながら進む集合体であることが大切です。当社は税理士を核にしたチームにすると決めました。採算性という意味では、正直難しいところはありますが、ある程度の規模があることでお客様も職員も心強さを感じてもらえるはずです。また、さまざまなタイプの税理士が増えれば、相乗効果でより良いサービスも生み出せると考えています。風通しの良い柔軟な組織で、お客様と職員の安心・幸せをつくっていきたいと思います。※月刊プロパートナー2021年5月号より抜粋いかがだったでしょうか?『プロパートナーONLINE』は、士業のための「明日役立つ」記事やセミナー動画などオンラインのコンテンツに加え毎月1冊、士業専門雑誌「月刊プロパートナー」をお届けするサービスです。月額3,000円のサービスを今なら14日間無料でお試しいただけます。▼14日間の無料体験はこちらから▼ NEW