税金のプロフェッショナル、税理士の仕事とは?
- 2020.05.26
- プロパートナーONLINE 編集部
消費税や所得税、法人税、相続税など日本国民が収めるべき税金には様々な種類があります。
この様々な税金を個人事業主や企業などが円滑に納めるべく、サポート業務を行うのが税理士です。
全国に約7万7000人いる税理士は、いわば“税金のプロ”であり、税金に関する書類の作成や申告、相談などの業務で個人事業主や企業から頼られる存在なのです。
今回は、改めて“税理士の仕事”にはどのようなものがあるのか、そして現在の税理士を取り巻く状況について見ていきましょう。
税理士の仕事とは?
病気の悩みなどを、かかりつけの医師に相談することが回復への第一歩であるように、税金の悩みは税理士に相談することが解決への第一歩となるわけです。その税理士が行う業務とは、以下の項目です。
1.税務代理
納税者の代理として、確定申告、青色申告の承認申請、税務調査の立会い、税務署の更正・決定に不服がある場合の申立てなどを行います。2.税務書類の作成
納税者に代わり、確定申告書、相続税申告書、青色申告承認申請書、その他税務署などに提出する書類を作成します。3.税務相談
納税者が税金のことで困ったとき、わからないとき、知りたいときに相談に応じます。“事前”の相談が有効です。4.e-Taxの代理送信
納税者の依頼でe-Tax(国税電子申告・納税システム)を利用して申告書を代理送信することができます。この場合には、納税者自身の電子証明書は不要です。5.会計業務
税理士業務に付随して財務書類の作成、会計帳簿の記帳代行、その他財務に関する業務を行います。
6.補佐人としての役割
税務訴訟において納税者の正当な権利、利益の救済を援助するため、補佐人として、訴訟代理人である弁護士とともに裁判所に出頭し、陳述(出廷陳述)します。
7.会計参与としての役割
中小株式会社の計算関係書類の正確さに対する信頼を高めるため、“会計参与”は、株式会社の役員として、取締役と共同して、計算関係書類を作成します。税理士は会計参与の有資格者として会社法に明記されています。
8.コンサルティング業務
書類分析や節税対策、資金繰りに関することなど、企業の経営に関するアドバイスや税金に対するアドバイスを行います。
9.その他
金融機関との折衝やM&Aに関するアドバイザリー業務を担ったり、他士業との連携によって企業の裏方事業を引き受けることもあります。以上のような業務を行うなかで、税理士が特に多忙となるのは確定申告の時期です。
確定申告とは、自営業の方やダブルワークをしている方、年金で生活している方が1年間の収入や経費を計算して税務署に申告する作業のことです。
この申告を行うことによって課せられる税金の額が決定するため、とても重要な作業となります。
しかし、この申告作業は会計の専門知識も必要となるため、決して楽なものではなく、忙しい自営業の方などは書類の作成や税務署への申告を税理士に依頼することが多くなるのです。
知識を活かした社会貢献
また、税理士としての知識や経験を活かした社会貢献なども積極的に行われています。日本税理士会連合会が発表している現在の取り組みは以下の通りです。
1.租税教育
税についての正しい知識と理解を深めるために、特に将来を担う子供たちに対しての“租税教育”に積極的に取り組んでいます。
2.高齢化社会に向けて
各地域の税理士会に『成年後見支援センター』を設置し、『成年後見制度』に積極的に参画しています。
3.適正な申告支援
『税理士記念日(2月23日)』や『税を考える週間(11月)』など、各地で無料税務相談を行っています。
4.税制を国へ提言
税制及び税務行政の改善に寄与するために、国に対し『税制改正建議書』を提出しています。
5.行政・司法支援として
国税不服審判所で『国税審判官』として、地方公共団体においては『監査委員』として活躍しています。税務の専門家として『法テラス(日本司法支援センター)』に協力しています。
また家庭裁判所で“民事・家事調停員”として紛争解決に携わっています。
新規参入が伸び悩む税理士業界
国税庁の発表では、平成29年度の税理士試験の受験者数は32,974人で、そのうち合格者数は6,634人、合格率は20.1%となったそうです。前年と比較すると合格率は4.3ポイント上昇し、近年のなかでは高い合格率ですが、受験者数で見ると前年比較で2,615人減少。平成10年代で5万人いたことを考えると、ここ数年での受験生の減少に歯止めがかかっていない現状が窺えます。
そのため、税理士名簿への登録者数は伸び悩み、平成22年度に7万人台に達して以降、平成30年1月末時点までで約5千人程度しか増えていません。
最近ではAI(人口知能)の導入などで、「税理士の仕事がなくなっていくのではないか?」「税理士がそもそも必要とされなくなるのではないか?」と危惧されることも多くなり、結果的に税理士業への新規参入が減ってきている現状があります。
しかし、ただ数字の計算をしていることが税理士の仕事ではないことは前述の通りであるため、これからも“税金のプロ”としての助言が求められ続けるでしょう。
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