社会保険労務士の派遣業ビジネスへの参入は、なぜ注目されているのか?
- 2020.05.26
- プロパートナーONLINE 編集部
労働契約法の改正や、労働者派遣法の改正により、派遣労働者の待遇が改善されてきている昨今。
TVドラマでの大袈裟な描き方などでイメージの低下を招いていた、労働者の派遣労働に対する意識は劇的に変化してきています。
そのため、自分のライフスタイルに合わせた働き方を求め、あえて派遣社員として働くことを選択する人が増加することが予想され、マーケットは今後ますます拡大・変化していくだろうと言われています。
そこで必要となってくるのが、人事・労務の専門化である社会保険労務士(社労士)の存在です。
今回は、社会保険労務士が派遣業ビジネスに取り組むべき理由を解説していきます。
労働者派遣法改正により『特定労働者派遣事業』が廃止に
派遣労働者を扱う派遣企業にとって大きなニュースとなった、2015年の労働者派遣法の改正。これにより、厚生労働大臣への届出のみで事業を行うことができる『特定労働者派遣事業』が廃止となりました。
そもそも労働者派遣事業には、一般派遣と特定派遣の区別があるため、法改正によってこの2つの区分がなくなることになるわけですが、企業側が国に所定の届け出を出せば、平成30年9月29日までは特定派遣事業を行うことが可能なのです。
<一般派遣と特定派遣の違い>
■一般派遣:登録型派遣
- 雇用主は派遣会社(派遣元)
- 就業先の会社(派遣先)は業務の指揮命令権をもつ
- 就業先の会社(派遣先)との契約が切れれば仕事がなくなる
- 雇用が不安定のため、派遣会社は事業を行うには厚生労働大臣の許可が必要
- 雇用主は派遣会社(派遣元)、ただし雇用形態が正社員
- 就業先の会社(派遣先)は業務の指揮命令権をもつ
- 就業先の会社(派遣先)との契約が切れても仕事がなくならない
- 雇用が安定しているため、派遣会社は厚生労働大臣に届出のみで事業を行える
さらに、許可申請をした後も、めまぐるしく改正される制度への対応や、労働者派遣事業報告書の作成、従業員の入退社時の雇用保険及び社会保険の手続きなども行わなければならないのです。
<法改正前>
■一般派遣:登録型派遣
- 事業を行うには厚生労働大臣の許可が必要
- 事業資金・事業所面積などの規定を満たさなければならない
■特定派遣:常用型派遣
- 厚生労働大臣への届出があれば事業が可能
- 事業資金・事業所面積などの規定がない
<法改正後>
■一般派遣:登録型派遣
- すでに許可を受けているため、影響はない
■特定派遣:常用型派遣
- 派遣事業を継続するためには規定を満たさなければならない
派遣業に対応できる社労士は不足しているため、今がチャンス!
先ほどもお伝えしましたが、労働者派遣事業許可は、一定の水準の条件をクリアにしなければならないため、仮に許可要件を満たさない場合、派遣事業を継続することができなくなります。ちなみに、労働者派遣事業の許可申請を行おうとする場合は、下記の書類などが必要となります。
<提出書類(一部)>
- 定款
- 履歴事項全部証明書
- 住民票(代表取締役・取締役・監査役・派遣元責任者)
- 履歴書(代表取締役・取締役・監査役・派遣元責任者)
- 責任者講習の受講証明書のコピー など
そうなった場合、派遣事業所数が減少し、確保していた人的リソースが他の労働者派遣事業所に流れてしまうことが考えられます。
これまで派遣業をやっていなかった未参入事業所の新規参入や請負、準委任から許可への移行が起こり得るのです。
そこで新規適用のマーケットが広がるため、そのサポートを行える社労士の力が必要となってきます。
社労士事務所の市場全体でみると、この派遣マーケットは非常にニッチです。
もちろんマーケットの規模が極端に大きいわけではありませんが、ここの分野に手をつけている事務所や経験のある先生方はまだまだ少ないため、シェアは大きいと言えるでしょう。
派遣業を営む事業所には、以下のような特徴があります。
- 許可要件を満たさないところが多い
- 客先(派遣先企業)から許可をとるように言われて焦っている
- いつ許可がとれるのか気にしている
- 顧問の社労士が派遣業に詳しくなく不満がある
- 申請代行費用を気にしている
そこで、派遣業許可申請に対する知識を身につけ、相談者の方の不安を和らげるようなトークを展開していくことができれば、顧問契約に結びつくチャンスは大いにあるでしょう。
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