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  • 【ビッグファーム】企業が本業に集中できる環境づくりをサポート

    大阪、東京、兵庫、福岡に拠点を構える社会保険労務士法人協心。経営企画本部長の吉村徳男氏に、職員一人ひとりを伸ばす秘訣を聞きました。 4拠点が協力し合い、難局を打開して一致団結社会保険労務士協心は1976年、兵庫県で労働保険事務組合として近畿労務管理協会を設立したのがはじまりです。それに続いて大阪・東京・福岡でも労務管理協会を設立。創業者は同じだったため、大阪が本社的な機能を担いつつも、それぞれ別法人として事業展開していました。私が入社したのは2012年。社労士として会社の役に立ちたいという理由からです。それから一年半ほど経った頃、創業者が不慮の事故に遭遇してしまうという出来事が起こりました。絶対的なカリスマである創業者の不在によって、大阪は危機的な状況に陥りました。当時は12〜13名の規模でしたが、次々と職員が退職。慌てて採用するものの、入社しても試用期間中に辞めてしまうなど、自転車操業のような状態になってしまったのです。そんななか、私に白羽の矢が立ち、大阪の所長を任されることになりました。その後、この難局を乗り越えるには、各拠点が心を一つにしなければいけない。まさに「協心」しないといけないということで、2016年に4拠点がまとまって社会保険労務士法人を立ち上げることになりました。それぞれ独自の進化を遂げていた拠点を一つにまとめることは、いわばM&Aのようなもの。間違いなく、法人化は大きなターニングポイントでした。私は、法人化した当初は4人いる役員のうちの一人でしたが、大阪が本社機能を持つ最も大きな組織だったこともあり、現在では、経営企画本部長として全体をまとめる立場を担っています。 日報を活用して、理念と情報を共有法人全体としての組織づくりの根本は、経営理念「四方笑顔」にあります。ここには、協心、顧客、家族、社会の4つの笑顔を叶えたいという思いが込められており、理念を具体的な目標や人事制度に反映させることで、質の高いサービスをスピーディーに提供できるようにしています。組織づくりにおいて気をつけていることは、いかに理念を共有し、心を一つにするかということ。職員交流と情報共有は重要なテーマですが、そのために日報が欠かせない存在となっています。日報は全職員が毎日書きます。さらに、kintoneでほかの支店の職員も見られるようにしています。すると、誰が何をしているのかが一目瞭然。その日の「所感」を書く欄もあり、「顧問先でこんな対応を受けた」「今日は調子が悪かった」といった書き込みに対し、他支店の職員から助言や励ましのコメントが寄せられることもあります。また、プライベートの話題を交える職員もいて、お互いの雰囲気や人となりが自然とわかるのです。全員分の所感を毎日読んでいると、現在成長中の人や、仕事に不安を抱えている人など、職員が置かれている状況がよく伝わってきます。もちろん、私自身も毎日500字程度で必ず日報を書くようにしています。私がどんなことを考えているのかを、職員に知ってもらうことが大切だと考えているからです。テーマは、業務に関することよりも、事業への向き合い方や社会情勢、業界を取り巻く動き、社労士はこれからどうあるべきかなど、広い視野で書くことを心がけています。私たちは単に、給与計算や手続きがうまくできれば良いわけではありません。社会的に、いかに意義の広い仕事をしているかを伝えたい。仮に、いつか職員が退職したとしても、どこに行っても恥ずかしくない人材として送り出したいのです。士業という狭い世界に閉じこもらず、大きな視野を持ち、自分の仕事が世界とどうつながっているのかを知ってもらいたいと考えています。 個人や支店の個性を重視。適した環境で成長する私は自然農法で農業に取り組んでいるのですが、植物は種を植える場所さえ間違えなければ、ある程度放っておいても自然に育ちます。人も同じで、その人に合った仕事やチームに配属すれば、おのずと特性や良さが引き出されてくるように思います。そのために私ができることといえば、一人ひとりの状態を徹底的に見ておくこと。日報や面談などを通して、何を考えているのか、どんな人なのかを理解できるよう努めています。ある程度の自由な環境が確保されてこそ個性を発揮できるというのは、法人においても同様です。協心は別の組織が集まってできたという独特の経緯があるため、法人全体が同じ方向を向きつつ、各支店の独自性や裁量も保っています。一例として、売上など法人全体の目標は設定しているものの、それに応じた支店の目標設定や進捗管理、職員の教育方法などは、各支店長に任せています。拠点それぞれの独立色が強い、カンパニー制に近い組織形態です。また、支店ごとに地域性や顧客層、企業の規模も異なるため、注力する業種や戦略をひとくくりに設定することはできません。大阪支店であれば、社員20〜50人規模の企業を対象に「社長の右腕コース」を設定。人事や教育分野のニーズに対応できるサービスに力を入れています。最近は小規模な企業でも採用や定着のために人事制度を整えたいというニーズが増えており、メインターゲットの一つを50人規模に設定しています。 士業の連携と拡大で日本企業を応援したい画一的なやり方は時代的にも合わないですし、それぞれの特性を引き出せる環境が大切。現在、法人全体で共通する人事制度をつくっているのですが、それも現場に即した管理が支店で可能になるよう調整したいと思っています。法人全体としてのインフラが整いつつある今、各支店の連携を強化しながら、「攻め」に出たいと思っています。全国的に見れば、社労士事務所が近くにない地域もまだありますから、新たな支店展開も考えていきたい。もちろん、過去とまったく同じことの繰り返しではいけませんが、4拠点をまとめてきたノウハウは、今後支店が増えた場合にも活かせるのではないかと思います。また、これからの時代に欠かせないのはデジタル化です。当社でも、kintoneのほか、RPAやBox、KiteRaなど、ひと通りのシステムを導入しています。ただ、業務を効率化するにはデジタル化が必須なのですが、それと同時にアナログ面のさらなる充実も求められているような気がします。私たちの仕事で最も注力するべきことは、お客様と向き合う時間の確保です。社長にとって身近な存在となり、精神的な拠り所として信頼されなければいけない。そのためには、デジタルとアナログの両方を強化していく必要があると思います。私は、すべての日本の会社から、人事・労務機能を引きはがしたいと思っています。さまざまな法改正で給与計算も複雑になるなか、それぞれの会社が自前で給与や労務の担当者を置くのは非効率です。もっと士業を活用してもらうことで、企業が本業に集中できる環境をつくり、国全体を盛り上げていきたい。そのためには、社労士業界全体の気概と、力の結集が必要です。ほかの事務所はライバルでもありますが、それ以上にパートナーだと思っています。方向性が合えば一緒の旗でやっていきたいですし、士業の垣根を越えて会計事務所などとの連携も強化していきたいと考えています。 
  • 【特別対談】社労士生き残りのカギは人事・労務DX

    加速するDX (デジタルトランスフォーメーション)の波。多くの中小企業を顧問先に抱える士業が、DXに取り組む意義とは。社会保険労務士法人スマイングの成澤紀美氏に、株式会社SmartHRの小杉和明氏が聞きます。 社労士がDXに取り組む3つのメリット1. DXを進めることで業務の効率化はもちろん、     場所を問わずに勤務できるようになるため、     事務所と顧問先の働き方が変わる!     また、事務所のBCP対策としても有効2. デジタル化に移行している企業が多く、    「このシステムに対応してくれる士業を探したい」というニーズが増加。     企業側と同じシステムを使えることで新規獲得のチャンスが広がる3.  効率化により、高単価業務への移行が可能に。      また、顧問先の人事・労務担当者の業務も効率化すれば、      人事評価コンサルティングや人材開発の提案がしやすくなり、      サービスの幅が広がる DXを推進することで、戦略的な業務に移行する小杉 私たちSmartHRでは、士業事務所がDXを推進していくことで、顧問先の企業に新しい価値提供ができるのではないかと考えています。成澤先生は顧問先にIT企業を多く抱えて、ご事務所でもさまざまなクラウドシステムを活用されていますが、士業事務所がデジタル化を進めていく意義、また顧問先のデジタル化をサポートするメリットは、どういうところにあるとお考えですか?成澤 一番大きいメリットは、〝働き方が変わる〟ことですね。私は、事務所の職員も顧問先の従業員も、みんなが楽しく仕事をしてほしいと考えています。楽しく仕事をするためには、時間とお金が必要です。時間は1日24時間で全員に平等ですから、時間を生み出すには業務の効率化が必須です。士業事務所も顧問先も、効率することで時間が生まれると、さらに価値の高い新たな業務が見えてきます。私は、そこに意義があると思っています。また、コロナ禍で在宅勤務が普及するなど、働き方が大きく変わりましたよね。実は当社でも、以前から在宅勤務を取り入れていたものの、なかなか根付いていませんでした。だけど、5年分くらいの変化が一気に起きて、みんなの意識が変わり、自分の生活スタイルを見直す人が増えました。多様な働き方を実現するためにも、DXは絶対に必要だと感じます。小杉 私たちも、士業の先生方が顧問先とともにDXを進めていくことで、双方に新たに生まれた時間を働き方改革や人事評価のコンサルティング、人材開発など戦略的な業務に使っていただきたいと考えていて、そのために、クラウドサービスで一号業務の効率化に貢献したいと思っています。ところで、成澤先生からご覧になって、士業事務所、特に社労士事務所では、デジタル化はどのくらい進んでいるものなのでしょうか?成澤 都心部と地方での違いもあると思いますが、すごくデジタル化できている事務所、ほとんどできていない事務所で、二極化しているように感じます。もちろん、給与計算や電子申請で何かしらのクラウドサービスを導入している事務所は多いのですが、「使いこなせているか」「クラウドサービスのメリットをしっかり活かせているか」という点で見ると、まだまだ活用や改善の余地がある事務所も多いのではないでしょうか。 効率化で時間が生まれると、より価値の高い業務が見える。そこにDXの意義があります(成澤氏) デジタル化することで BCP対策も可能になる小杉 成澤先生は、士業事務所向けにもクラウドサービス導入のコンサルティングをされていますが、デジタル化が進んでいない事務所は、どんなところがボトルネックになっていることが多いですか?成澤 士業事務所はミスの許されない業務が多いこともあり、トライアンドエラーを嫌う人が多いんです。最初から完璧なものを求める。でも、クラウドサービスは日々バージョンアップを繰り返していくものです。突然サービスがなくなってしまうこともあれば、気がついたら既存のシステムよりも良い機能がたくさん装備されていることもあります。ただ、その感覚に戸惑いを感じる人は多いのかもしれません。また、業務フローが変わることに不安を覚える職員は一定数います。所長が旗を振っても、なかなか動かないケースもあります。小杉 そういった場合、どのようにサポートするのですか?成澤 大事なのは、不安感を取ってあげること。同時にその人たちに「仕事は無くならない」という安心感を与えてあげることです。例えば地方の場合、お客様がまだデジタル対応できていないこともあります。その場合、アナログ専門のチームとして活躍してもらうことも一つの方法です。とはいえ、デジタル化は進んでいきますから、「お客様とのデータ共有の仕方、チェックの仕方が変われば、あなたたちも楽になるんだよ」ということを知ってもらう。そして、「どうしていきたいか?」を自分たちで考えてもらうことも大切です。小杉 答えを見せるのではなく、考えてもらうことが大事なんですね。ほかにも、デジタル化すべき理由はありますか?成澤 繰り返しになりますが、圧倒的に業務が効率化できることです。情報をお客様が入力し、その情報を預かって社労士事務所で入力し、また同じ情報を会計事務所でも入力している。それを1カ所に集約すれば、今まで100だった業務が25くらいになります。また、「BCP(事業継続計画)対策になりますよ」ということもよく話します。士業はお客様から重要なデータを預かっていますから、ローカルで管理するのは絶対にダメ。セキュリティのしっかりしたクラウド上で管理することが必要です。セキュリティ対策ができていることをアピールできれば、お客様にも安心してもらえます。 SmartHRは 人事DBとしても有効小杉 先ほど、効率化することで新たなサービスが生まれるという話がありましたが、士業事務所のビジネスチャンスを広げるという意味で、デジタル対応していることのメリットはありますか?成澤 あると思います。特に最近の傾向として、お客様の方が先にクラウドサービスを使っているケースが多いんです。実際当社にも、「SmartHRを導入したいので、対応できる社労士事務所を探しています」というお問い合わせが増えています。すべてが成約になるわけではありませんが、月に10件くらいは来ますよ。小杉 そうですか! それは想像していたよりも多いですね。実際にお問い合わせが来た際やお客様に提案される際に、他社のシステムとも比較されると思うのですが、SmartHRが向いている企業かどうかというのは、どこで判断されていますか?成澤 「従業員に使ってもらいたいか」というのは一番のキーワードです。SmartHRはUI(ユーザーインターフェース/サイトの使いやすさ)が良いので、「従業員に自分で情報を入力してほしい」「管理を簡単にしたい」という場合は特におすすめしています。人事・労務を専門に担当する社員がいない企業や、人事担当者の労務周りの業務を効率化して人材開発や採用に力を入れたい企業などにはハマりますよ。また、最近では人事・労務領域のクラウドサービスがたくさん出てきていますが、多くの企業が悩んでいるのが、「人事データベースの核をどうするか」ということ。その点、SmartHRは勤怠管理や給与計算などでAPI連携しているシステムが多いので、人事データベースの基盤としても使いやすいと思います。小杉 ありがとうございます。私たちも、人事情報の収集のしやすさ、使い勝手の良さという点に関しては、強みを感じています。逆に、SmartHRのデメリットはどのあたりにあると感じていますか?成澤 士業事務所としての視点ですが、電子申請のバリエーションでしょうか。申請の内容によっては、他社のシステムの方が使い勝手が良いこともあります。その場合は、SmartHRからデータを落として、他社のシステムで申請しています。 ただ、公文書などはすべてクラウドサーバー上で管理して、二重管理にならないようにしています。特に当社の場合はいろいろなシステムを使っているので、管理するデータは1箇所に集約することで効率化しています。 事務所で運用するなら UIの良さは絶対必要小杉 ご事務所内での使い方について、もう少し教えてください。SmartHRはUIが良いというお話がありましたが、職員さんからの評判はいかがでしょうか?成澤 とても良いですよ。当社の場合、未経験で入社する職員も多いんですね。それこそ、「事務職は初めてです」という場合もあります。採用する基準は、〝華があること〟と〝自立していること〟なので、実務経験は問いません。もちろん、基本的なパソコン操作ができるかどうかは確認していますが、「労務関係のシステムは使ったことがありません」という人もいます。さらに、使っているシステムの数もかなり多いと思います。だからこそ、UIが良いというのは絶対です。そうでなければ、事務所のなかで根付かなくて、職員からブーイングが出ます(笑)小杉 なるほど。未経験の方でも使いやすいというのは、システムを導入して運用するうえでも重要なポイントですね。評判が良くて安心しました(笑)成澤 あとは、必須入力項目が多いシステムだと、情報が100%集まっていなかったときに業務が止まってしまうんです。それはかなりのストレスです。でも、SmartHRの場合は比較的自由に設定できるので、そういった点でもストレスは少ないですね。小杉 ありがとうございます。おかげさまで、SmartHRは少しずつ認知が広がっているのですが、まだまだ努力が必要です。社労士の先生方が新たな領域に挑戦できるよう、ご事務所へのサポートはもちろん、顧問先企業の人事・労務担当者の効率化にも貢献していきたいと思います。DXを進めることで戦略的な業務に移行できる。そのための効率化に貢献したいと考えています(小杉氏) クラウド達人・成澤氏に聞く! SmartHRのメリット&デメリット●メリットUIが良いため、未経験者でもすぐに使いこなすことができる。また、入力項目なども比較的に自由に設定できるため、操作へのストレスが少なく、事務所でも顧問先でも運用しやすい●メリット勤怠管理システムや給与計算ソフト、タレントマネジメントシステム。採用管理システムなど、多くのサービスとAPI連携しているため、人事データベースの基盤になるシステムとして使える●デメリット電子申請の内容によっては、他社のシステムの方が使い勝手が良いことも。その場合は、SmartHRからデータを落とし、別システムで申請。ただし、公文書などの管理場所は一つにすることがポイント登録社数4万社以上。人事・労務の大幅な業務効率化を実現。SmartHRの詳細はこちらから※社会保険労務士の方は、下記より資料請求が可能です。社労士専用問い合わせフォーム 
  • 提案資料の標準化でアップセル&新規獲得を実現

    「フィット感」を重視し、人事労務にまつわるクライアントの課題解決のためにオーダーメイドのコンサルティング支援を強みとする人財さいだい戦略化.firm。標準化に取り組み、さらなる成長を目指す秘訣について、代表の壽谷将隆氏に聞きました。 脱属人化の実現で人材の定着も図る「経営者と一体となって人事面から経営に参画していく」ことを信条に開業したのが、2014年頃。創業当初は、異業種交流会などに参加して紹介を獲得することが主な営業活動だったのですが 、契約件数が増えるにつれて、顧問先をフォローする時間と新規獲得のための営業活動に割く時間のバランスがとりづらくなってきていました。また、職員を採用したこともあって、事務所を組織的に運営する必要があると考え、『社労士パートナーズ(以下、社P)』の導入を決意しました。まず、課題となっていたのが、属人化でした。例えば、サービスを提案するためのプレゼン資料のつくり込みが担当者によって異なる、資料作成に時間をかけすぎて業務を後回しにしている、顧問先へのコミュニケーションスキルに差があるなど、標準化ができていない部分が多数ありました。社Pのツールには、業務提案のためのパンフレットやチラシのベースが豊富に用意されているため、資料作成の時間を大幅に短縮することに成功。提案の際もツールに沿って説明することで一定のレベルを保つことも可能となりました。また、私たちは市場に合わせて、〝七福神メニュー〞と称した7つのサービスを取り揃えているのですが、これらのサービスから派生した新たな提案も、ツールを活用することでしやすくなりました。今後は同一労働同一賃金による人事労務監査や、リモートワークのためのクラウド導入支援を求めるお客様が増えてくると想定されます。人事労務面から経営者を柔軟に支援していくため、社Pを活用しながら社内標準化を推進していきたいと思っています。 ※月刊プロパートナー2021年3月号より抜粋いかがだったでしょうか?『プロパートナーONLINE』は、士業のための「明日役立つ」記事やセミナー動画などオンラインのコンテンツに加え毎月1冊、士業専門雑誌「月刊プロパートナー」をお届けするサービスです。月額3,000円のサービスを今なら14日間無料でお試しいただけます。▼14日間の無料体験はこちらから▼
  • 顧客と職員に選ばれる成長事務所の人事制度とは?士業事務所の 給与・評価を徹底解説!

    今回のテーマは『士業事務所の人事評価制度設計の基本』。人事領域のコンサルティングを数多く手がける社会保険労務士法人ビルドゥミー・コンサルティング代表の望月建吾先生が解説します。 「他社水準」ではなく 自社の適正報酬単価を士業事務所の人事制度・賃金制度設計で重要なポイントは3つ。従業員に支払いたい年収額に応じた報酬単価、賃金バンドに込めたメッセー ジ、何を可視化するのかの決定です。一つ目の単価設定は非常に重要です。まず、みなさんは顧客に提供しているサービスの価格をどのように設定していますか?同業他社の価格をリサーチして、同等・もしくは単価を落とした設定にしているケースがあるかもしれません。しかし、他社水準に引っ張られすぎると、必要工数に対する単価の考え方が破綻し、従業員に支払いたい年収額を捻出できなくなるほか、十分な役員報酬を確保できない、やってもやっても法人利益が残らないなどの悪循環なリスクを孕んでしまいます。なぜなら、他社の水準が適正報酬額であると言い切れないためです。解決のポイントとしては、法人利益として確保しておきたい適正な利益率を決めて、予めその額を捻出する想定で人件費率の適正割合を設定すること。他社のサービス価格を水準にするのではなく、従業員に支払いたい年収額から逆算して、担当者のレベルに応じた単価を決めることです。例えば、売上に対する理想の割合は、営業利益10%以上、実務担当者人件費率が34%、営業マン、間接営業部門の人件費が各8%、事務所の賃料、そのほか諸経費で20%ほどという具合に、です。また、実務担当者の時間当たりの業務単価を正確に算出しておくことも重要です。これをしない限り、業務改善の成果が曖昧になるので必ず算出しておくようにしましょう。次に、賃金バンドの長さです。これは、〝どのグレードに長く滞留してほしいか〞という事務所代表のメッセージでもあります。つまり、各等級の賃金バンドの長さやほかの等級と重なる部分が、従業員に支払いたい年収額や従業員の昇格イメージと合致しているかということです。例えば、新卒からの3年間は一人前に育つ修行期間だから、その等級には3年であるとか、次の等級はより上位の等級のため4年程度で昇格してもらいたいといったメッセージを込めたバンドにするのです。また、人事制度・賃金制度の「何を」可視化するのかをよく考えて決めてください。評価の基準なのか、処遇のしくみなのか、評価のルールなのか。もしかしたら、従業員の望む可視化とは違ったものになるかもしれません。これは他社を真似てもいいとは限りません。代表の先生がよく考えて決めてください。制度設計の前にまずは、提供するサービス報酬額の利益割合を決めることが重要です。・提供しているサービス価格の設定を今一度見直してみる・他社水準に引っ張られすぎると従業員に支払いたい年収を捻出できなくなる恐れも...・入社した従業員をどのくらいの期間でプロモーションしていくか設定しておくこと・給与と評価は腹落ちすることが大切!各等級の役割責任の基準など可視化させておこう   ※月刊プロパートナー2020年12月号より抜粋いかがだったでしょうか?『プロパートナーONLINE』は、士業のための「明日役立つ」記事やセミナー動画などオンラインのコンテンツに加え毎月1冊、士業専門雑誌「月刊プロパートナー」をお届けするサービスです。月額3,000円のサービスを今なら14日間無料でお試しいただけます。▼14日間の無料体験はこちらから▼
  • 【パネルディスカッション】人事コンサルティングが新たな収益源になるために

    『人事コンサルティング』の現状について、各分野のスペシャリスト3名にパネルディスカッションをしていただきました。【内容】・実際の事務所での取り組み方について・報酬はどのようにいただいているのか・バッティングするサービスは?・集客の方法は?【登壇者】社会保険労務士法人アドバンス伴芳夫氏御堂筋税理士法人小笠原知世氏株式会社アックスコンサルティング広瀬元義氏
  • 人事管理編

  • 人事コンサルを中心に付加価値向上戦略で事業展開

  • 顧問先の疑問に応える『退職・解雇の実務ポイント』

    「問題社員を辞めさせたい!」顧問先からの疑問に対応!顧問先からよく聞かれる「社員の辞めさせ方」を解説「うちの会社の問題社員を辞めさせたいけれど、どうすればいい?」こんな質問を顧問先から受けるケースは多いと思われます。そこで、中途半端な知識で答えてしまうと、後になってトラブルが起きてしまいます。当動画は社員の退職・解雇について事例を交えて体系的に解説。退職・解雇を行う際の手順と注意点がわかります。また、実際に問題職員の退職勧奨・解雇を考えている会計事務所・一般企業にもおすすめです。 主な内容(1)最近の労使紛争の特徴と傾向・最近の労使トラブルの特徴・退職・解雇の相談内容・退職・解雇に関する社員側の言い分・雇用契約解消後の紛争発展例・他の手段の有力候補=「斡旋」・紛争調整委員会による斡旋の流れ・最近の労使紛争から見える傾向(2)退職・解雇・懲戒の労使紛争事例●事例1(能力不足による中途採用者の解雇)・解雇を行う場合の一般的フロー・能力不足による解雇の実態的要件・中途採用者の解雇基準・期待パフォーマンスと解雇基準の関係●事例2(希望退職募集後の退職勧奨)・人員整理(リストラ)を行う場合のフロー・整理解雇の4要件・会社ごとに異なる解雇回避努力の判断・退職勧奨と退職強要の言動ガイドライン●事例3(有期雇用契約の更新拒絶)・契約期間満了前の中途解除・雇止めできるケース・できないケース・雇止めにあたっての必要手続き●事例4(行方不明社員の懲戒解雇)・懲戒処分の手続きフロー・懲戒処分の種類と内容・失踪社員への対応・懲戒解雇と解雇予告手当(3)労使紛争を回避するためのポイント・退職・解雇・懲戒にあたっての注意点 
  • 女性の雇用で会社が知っておくべき法律ルール

    採用・入社・出産・育児・退職に関する疑問をQ&A形式で解説!!女性の社会進出が進み、男女平等の意識が以前とは比べ物にならないほど強くなっています。 しかし、職場においては未だに男性中心の労務管理手法が中心で、女性社員が妊娠した、出産・育児をするといった場面に出くわしたとき、どう対応していいのかわからず、慌ててしまう企業は少なくありません。当動画では、女性社員の労務管理に携わる企業が、法律上の制度の概要を理解して有効に活用できるよう、採用・入社・出産・育児・退職に関する疑問をQ&A形式でわかりやすく解説しています。顧問先からの女性の労務問題に関する質問に的確に答えられるだけでなく、会計事務所の女性従業員の活用にも役立てることができます。 主な内容【採用】・採用内定者全員が男性というのは均等法違反?・総合職の応募要件に「全国転勤に応じられる」と定めるのは均等法違反?・子育てサポートに積極的な企業とアピールするには?【入社後】・総合職社員で男女で業務分担を分けるのはOK?・職場内で性的な言動が公然と行われるのはセクハラ?・パート社員が「社会保険に加入せず、夫の扶養でいたい」と希望したらどうする?【妊娠/出産】・妊娠している女性に残業をさせてはいけないの?・妊娠中の女性社員から「休憩を増やしてほしい」と言われたら?・産休期間はどれくらい取得させればいい? この間の保険手続きは?【育児】・育児休業中の社員から「子供が保育園に入れそうにないため職場復帰が難しい」と言われたら?・育児休暇中は無給の場合、会社としてどんな保険手続きを行えばよい?・育児休業中の社員が復帰する際「子供が小さいうちは短時間勤務をしたい」と言われたら?・子どもの病気で会社を休みがちで、有給休暇を使い果たしてしまった社員は、今後休めるの?【退職/解雇】・家族の介護のために退職する社員は自己都合退職にしかならないの?・産休中の社員を整理解雇の対象にすると問題はありますか? 
  • M&Aで雇用を守る 人事労務のパイオニア

    〝雇用確保〞を信条に、M&Aの人事労務マネジメントにおいて高い専門性を誇る社会保険労務士法人野中事務所。人事労務デューデリジェンスからM&A後の人事戦略の重要性について代表の野中健次氏に聞きました。 企業の成長を左右する人事労務マネジメント「労務顧問というビジネスモデルの礎を築いてくれた社会保険労務士の諸先輩方に恩返しをする意味で、未来を担う社労士に新たな道を見せたい」と語るのは、社会保険労務士法人野中事務所代表の野中健次氏。同事務所は2011年の法人化から今日までM&A関連の人事労務サービスに特化し、累計100件以上の実績を誇ります。事業を継続したいものの、後継者不在で泣く泣く廃業に追いやられてしまう経営者と従業員の雇用を守る出口戦略の一つとして、M&Aは有効です。しかし、顧問先のオーナーにM&Aを提案する社労士は極めて少ないといいます。「社労士はどうしても顧問先の総務部など、現場レベルの社員とやりとりすることが多いんです。入退社などの手続き業務に留まるのではなく、何とかオーナーへ承継の提案をする必要があります」。M&Aというと、企業価値評価や成立までの過程が注目されがちです。しかし、M&Aの成功を左右するのは、合意後にシナジーを生み出せるかどうかです。企業価値や成長を支えるためのマネジメントが非常に重要になります。M&A成立後の統合プロセスであるPMI(PostMergerIntegration)を考慮した人事労務マネジメントにおいて、野中氏はその手腕を遺憾なく発揮します。 リスクの早期発見早期解決が〝カギ〞企業価値を高めるには、人事が非常に重要な役割を持つと野中氏はいいます。「M&Aのプロセスでは、財務や法務を先行し、人事は後回しにされることが多いのですが、これは大間違い。合併した後、新たな環境で成果を生みやすくするためにも、人事労務デューデリジェンスは不可欠です。そして、初期の段階でPMIを見据えた現状把握とリスクの抽出がカギを握るのです」。企業の経営実態を把握する調査をデューデリジェンス(以降、DD)といいますが、野中事務所では労働に関わる定量的な項目の調査を「労務DD」と定義。未払い残業代、社会保険の未加入といった潜在債務のあぶり出しが主たる調査です。この潜在債務を経費計上漏れの「簿外債務」と、想定外の出来事によって生じる「偶発債務」に分類。簿外債務は、DDレポートに指摘漏れがあり、買手側が当該債務を負担することになった場合、損害賠償を請求される恐れがあります。そのため、調査は必ず実施しています。また、労働法制の遵守度合をはじめとする人事制度や就業規則の運用、退職事由、組織風土など定性的な項目の調査を「人事DD」と呼んでいます。人事DDは対価に大幅な影響を及ぼすものではないため注目されていませんでしたが、買収した途端に労働法制上の違法性が見つかると途端にブラック企業になってしまいます。それを回避するためにもスピーディな人事DDの実施で早期発見・早期解決がカギとなります。 社労士だからできる専門性の高いDDあくまでもDDは買手企業の判断材料。「タイムカード、給与基準、労災の記録などの関連資料から売手企業の潜在債務の端緒を掴む。ここでのポイントはスピードと感覚です。労務監査のように隅々まで調査できる猶予は一切ありません」と、野中氏が言うように、短期間で専門性の高いDDレポートを作成するには、人事労務の実務経験がものを言います。一般的に、人事労務の潜在債務の調査は法務DDの延長で弁護士が担当することが多いです。しかし限られた期間の中で細部までDDを実施することは極めて困難であるため、難度の高いDDを別途実施するケースが増えてきているといいます。「まず、給与基準や部署ごとの離職率、退職事由など過去3〜5年ほど遡って仮説をたてます。〝なぜこの社員の給与だけズバ抜けて高いのか、もしくは低いのか〞など、疑問を持って組織構成を見ると会社のキーパーソンや問題社員、ハラスメントの有無など、人の動きの目星をつけることができます。次に、これらの仮説をもとに売手企業の人事担当者にインタビューを行います」。これらの手順を的確に行うことで、法務DDの延長では明るみにならない潜在的なリスクのあぶり出しが可能となります。それができるのは人事のエキスパートである社労士しかいないと野中氏は言います。  不安を抱かせない印象操作のアドバイスM&Aの局面では、然るべきタイミングで適切な情報を開示しなければ、従業員に余計な不安を抱かせてしまいます。特に中小企業においては、オーナーの求心力が強いため、人事労務上、買手企業の経営者は細かく気を配って売手企業側の従業員へ接触する必要があります。
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