【ベンチャーファーム】デジタル化が進む世の中で、顔を合わせることが差別化につながる
- 2022.07.07
- プロパートナーONLINE 編集部
新たな波が起きている今、注目のベンチャーファームの成長の極意を紹介。
今回は、不動産オーナー専門の会計事務所として開業し、
5 年目で職員数27名に急成長したwish会計事務所代表の小林直樹氏に話を聞きました。
無料相談と丁寧な対応で不動産会社とパイプ構築
私は、資産税に特化した2つの事務所に14年間勤務したのち、2014年に独立しました。40歳を機に人生を考えたとき、「失敗しても自分の道でチャレンジしてみよう」と決めたのです。
開業時には、「3年で10名くらいの事務所をつくりたい」と考えていました。
と言っても、お客様も売上もほぼゼロからのスタート。
得意分野である資産税のスキルを活かすため、
不動産オーナー向けにチラシをつくって郵便局に置いたり、
ホームページを手づくりしたりしましたが、集客にはつながりませんでした。
そこで、1年目は紹介のパイプづくりを目標に、
不動産会社を回って「無料で税務相談を受けます」と営業しました。
このとき、「税理士にも専門分野があり、私は不動産専門です」と伝えました。
心がけたのは、お客様からの相談はもちろん、
不動産会社の営業マンからの問い合わせにも丁寧に対応すること。
顧客にならない場合もありますが、「人とのつながりを大切にすること」を理念にしているので、
まずは〝ギブ?を繰り返すことが大事だと考えています。
評価制度を導入し職員の頑張りを見える化
お客様が増えたことで、3年目には目標にしていた職員数10名を実現し、4年目の昨年は17名になりました。
私ひとりで管理できないので、4つのグループに分け、
グループ長がメンバーを育成する形にしましたが、環境が整っていませんでした。
それまでは、昇給などを私の裁量で決めていたので、
一人事務所の環境のまま大きくなった部分があったのです。
そこで昨年、『あしたのチーム』の評価制度を導入しました。
一番の理由は、「正当に評価したい。ちゃんと給料を上げたい」ということ。
「何をどこまでできたら頑張ったことになるのか」の定義を明確にしたかったのです。
全員に共通する目標は、相談に来たお客様との打ち合わせメモの提出枚数、担当件数、申告書の提出日です。
多くのお客様に対応し、自分の担当顧客を増やして、申告書を早く出せば点数が上がるという流れです。
それぞれ、何枚、何件、何日までと数字で指標を決めています。
ほかにも、自己研鑽のために本を読む、業務改善案を提出するなどの目標数値を自分で決め、
1カ月半ごとにグループ長と面談しています。
採用は、未経験の中途に絞りました。
これからルールをつくっていく事務所なので、
経験者だと、ルールがないことがストレスになってしまう場合があるためです。
入社後は、1カ月半ほど総務の仕事をしながら、消費税・法人税のビデオ学習と、
先輩の打ち合わせへの同席で基礎を学びます。
総務は、事務所全体がどういう動きをしているかを知ることができますし、
その間に人柄や仕事の進め方の特徴を見て、
どのグループ長と相性がいいかを見極めることでミスマッチも防げます。
特化しているからこそ〝量から質へ〟が重要
開業時の目標は大きく超えることができましたが、ここまで来たら10年後に100名規模を目指したいですね。
「目標を決めてチャレンジしたい」ということもありますが、
不動産に特化しているからこそ、〝量を質に変える"ことが重要だと思うのです。
私たちは相続対策の知識はありますが、投資方法はお客様の方が得意なケースもあり、
さまざまな視点を持っています。ですから、より多くのお客様の相談を受けることで、
不動産の知識や知見が深まり、次のお客様に、
これまで以上に適切なアドバイスができるようになります。
幅広い不動産の知識に、税務の専門家として数字でのアドバイスを加えることで、
お客様のメリットが高まるのです。
もちろん、お客様が求めているのは税務のアドバイスだけではありません。
「話を聞いてほしい」と思っているお客様も多くいらっしゃいます。
ですから弊社では、定期的に顔を合わせることを大切にしています。
手間はかかりますが、会うことでお互いに気づきがありますし、
デジタル化が進む世の中で、そこが差別化につながるのではないかと思います。
プロフィール
小林直樹(こばやし なおき)氏
wish会計事務所 代表
設立/2014年
従業員数/27名
所在地/東京都板橋区板橋1-53-2 TM21ビル302号室
設立/2014年
従業員数/27名
所在地/東京都板橋区板橋1-53-2 TM21ビル302号室
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