令和の社労士革命/五味田匡功氏が見据える社労士の未来
- 2022.06.17
- プロパートナーONLINE 編集部
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いま、「社労士業界は変革期」と話す、キャンバス社会保険労務士法人の創業者・五味田匡功氏。
これからの時代に企業が社労士に求めるものと現状から、未来を語る。
コロナ禍で変容する社労士業界の市場
今、社労士業界は『変革期』に突入しています。というのも、日本は2001年に
「2003年度までにすべての行政手続きをインターネット経由で可能とする」
という目標が示され、20年以上にわたって行政のデジタル化が推進されてきました。
しかし、実際に国が本腰を入れ始めたのは、
新型コロナウイルスによってデジタル化が急務となり、
デジタル庁が創設された2020年から。
20年経っても進まなかったデジタル化が、たったの2年で急進したのです。
日本社会の急激なデジタル革命は、
リモートワークや副業解禁といった働き方の選択肢を一気に広げました。
それには、社労士業界にも大きな影響を与えました。
国が行政手続きの電子化を推進しているわけですから、市場の動きに敏感になって、
対応していかなければ、知らないうちに競争から取り残されてしまう恐れがあります。
社労士業界の市場は約3000億円といわれていますが、
DXによって手続き業務や給与計算などの
アウトソージング業務をサポートするITベンダーの市場参入が、
今後さらに活発化していくと予想できます。
すると、価格競争が勃興し、単価はさらに低下していくに違いありません。
丁寧さ・速さ・正確性から「人」の難題解決へ
加えて、ITリテラシーの高い企業オーナーのなかには、工数処理の負担が減っていることに気づき、
「社労士に払っている金額は適正なのか」と、
シビアな視点を持つ人が増えてくると思います。
どのくらいの工数をかけているか社労士側の手の内が明るみになっていない間は、
手作業と同等の料金を請求していいのかもしれません。
しかし、「50人規模と100人規模で給与計算や手続き申請にかかる工数が
極端に変わるわけがないのに、倍の報酬を請求するのはおかしい」と、
企業オーナーが懐疑的になった場合、果たして納得のいく説明ができるのでしょうか。
このような事態を招く前に、私たち社労士は次の一手を打っておく必要があるのです。
勝つための「型」を定め企業と関係を構築する
価格競争に飲み込まれないために、経営の「型」を確率する必要があります。たとえば、あらゆるニーズを一手に担うワンストップ型なのか、
業界や業種を絞った特化型なのか、
効率を追求して利益を出すローコスト型なのか。
「型」を定めれば、何を主体として事業を展開するべきか、
どんな戦術をとるべきかが見えてきます。
これまで世間の社労士に対するイメージといえば、
「入退社の手続きをする専門家」だったと思います。
さらに、10年ほど昔は、労基署に指摘を受けないギリギリの範囲で、
残業代を支払わないで済む方法を教えてほしいという、
グレーな問合わせが多かったように思います。
しかし、労働力人口の減少によって人材の獲得競争が激化し、
定着率の向上が重視されている時代に、このようなグレーな働き方を、
人事労務の専門家がアシストしていいわけはありません。
いま、企業が社労士に求めていることは、
従業員のパフォーマンスを最大限に発揮させ、
生産性を高める「人」を軸とした経営改善です。
経営者である私自身も「人」や「カネ」について常に考えていますし、
これらの課題を誰かに相談したいというニーズが、絶対的にあります。
これまで手続き業務しか行っていなかった社労士が、
コンサル業務に一気に舵を切るのは困難だと思うかもしれません。
ですが、そんな大袈裟な話ではなく、顧問先に
「何か困っていることはないか」
と聞いて一緒に考えてみることこそ、第一歩だと思うのです。
そして、「人」の視点から評価制度の構築や人材育成のための研修といった
生産性向上のサポートができるようになれば、中小企業の活力が高まり、
やがて日本経済の成長に大きく貢献していくでしょう。
そのためには、自社のノウハウだけでなく、社労士同士が手を取り合い、
知り得た経営ノウハウや事例を共有して実践していく方がよいと考えています。
私自身も、これまで社労士として、そして経営者として培ってきたノウハウや情報を、
これから積極的に共有していきたいと思っています。
私たち社労士が「人の問題」に目を向けて、
企業の生産性を向上させていく提案・サポートを積極的にしていけば、
世間のイメージも「手続き屋」から
「人の問題を解決してくれるプロ」へ変わっていくに違いありません。
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五味田 匡功氏
キャンバス社会保険労務士法人・創業者兼顧問
税理士事務所勤務時代に社労士事務所を立ち上げ、人事労務設計の改善サポートに取り組む。
開業4年で顧問先300社以上、売上2億円超達成。
近年では企業の人を軸とした経営改善や働き方改革に取り組んでいる。
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