2023.09.25
インボイス制度(適格請求書等保存方式)への対応に関するお知らせ

2023年10月01日(日)より、インボイス制度(適格請求書等保存方式)が開始されますので、弊社の同制度への対応についてお知せいたします。

弊社ではインボイス制度の対象となる課税取引のご利用について、
2023 年10月以降の決済分より、同制度の要件に対応できるようにいたします。

【当行適格請求書発行事業者登録番号のご案内】
株式会社アックスコンサルティングの登録番号をご案内いたします。

適格請求書発行事業者登録番号
T9011001004344
 

【特集】座談会:地方で伸びる士業事務所のつくりかた2023〜前編〜



士業事務所はもちろん、中小企業を取り巻く環境が激変している昨今。
特に、地方は都市部よりも労働人口の減少、
高齢化・過疎化が進んでいる現状があります。
そんななかで地方にある士業事務所が伸びていくためには、
どんな取り組みが必要なのでしょうか?
兵庫県朝来市、埼玉県秩父市、大分県佐伯市で活躍する若手士業3名が、
これからの“地方戦略”を語り合います。




――本日は、人口の少ない地方都市(※)で活躍されている3名の先生にお集まりいただきました。
実はこの座談会は、『月刊プロパートナー』2020年10月号で掲載した企画なのですが、
大変好評だったので、2年半ぶりに復活しました!

★前回の記事はこちら
※各市の人口/兵庫県朝来市:28,590人(2023年2月末時点)、
埼玉県秩父市:59,048人(2023年3月1日時点)、大分県佐伯市:66,876人(2023年2月末時点)


この2年半の間に、先生方にもいろいろな動きがあったようなので、
そのあたりもうかがいながら、地方ならではの苦労、
地方だからこそのメリットなどをお話しいただきたいと思います。
まずは石田先生から、最近のご事務所の動きを教えてください。


石田 やはり、ここ数年コロナ禍が続いていることが大きく影響しています。
うちの事務所もコロナ禍を機に原則オンラインでの対応に切り替えましたが、
都会だけではなく地方でもオンライン化の動きが加速したと思います。
また、開業以来、お客様からの依頼に何でも応じてきた方針に少し歪みが出たので、
そこを整理してコンサルティングを主軸にしていこうと決めたのも、
ちょうど2年前くらいです。

社会保険労務士法人リライエ 石田隆利氏
社会保険労務士法人リライエ
石田隆利

20歳からの10年間で社会保険労務士のほか、建築士や土地家屋調査士など10の国家資格を取得。
2009年に30歳で社労士事務所を開業。
「田舎の社会人学校」など地域の発展に貢献するサービスを展開している。

https://www.tajima-sr.com/


――前回の座談会のときには、
「オンラインを活用して全国の田舎にある企業を対象にしたコンサルティングをしていきたい」
とお話しされていましたよね。


石田 そうですね。
当時、3年計画を立てて、オンラインへの切り替えも順調に進んでいました。
ですが実は、2022年の8月に一斉退職という事件が起きまして……。

全員 一斉にですか?

石田 そうです。
金曜までみんな普通に過ごしていたのですが、
月曜になったら10数名いた職員が2名になっていました……。
社労士なのに恥ずかしいのですが、
私は開業3年目にも職員の一斉退職を経験していて、これが2回目なんです。
どちらも即日の退職だったので、なかなか大変でした。
ただ、職員がいなくなったことで手続き業務や
給与計算業務に対応できない状況になり、
必然的にコンサル1本に絞り込むことができました。

――顧問先には、コンサルだけ受けることを説明されたんですか?

石田 はい。
顧問先を全部回って、「手続き関係の業務はやりません」と説明しました。
解約になったお客様もいますが、
「それでもいい」とこれまでより高い顧問契約を結んでいただいたお客様もいます。
もちろん事務所全体の売上は下がりましたが、
やりたくてもできなかったコンサル専門というところにたどり着けたので、
今となってはいいきっかけになったと思っています。


社会保険労務士法人リライエのオフィス


――転んでもただでは起きないところが、石田先生ですね。
かなり衝撃的な出来事なので、いろいろと質問したいところではありますが、
後ほどまた詳しくおうかがいしたいと思います……。
では澤井先生、お願いします。


澤井 石田先生のお話は衝撃的でしたが、
実は、私も同じようなことを経験しました。
うちの事務所は複数の店舗があるのですが、
そのうちの1つで大量離職が起こったのです。
士業事務所で幹部クラスのポジションを担うのは、
やはり資格者でないと難しいのかもしれないと感じました。


司法書士・行政書士法人あす綜合法務事務所
澤井修司

大学在学中に司法書士試験、行政書士試験に合格。
東京都内の司法書士事務所に勤務したのち、2008年、24歳のときに埼玉県秩父郡皆野町で開業。
現在は秩父エリア、寄居エリア、深谷エリア、熊谷エリアの4拠点で埼玉県北西部をカバーする。
https://www.ash-office.com/



――それは、どういった理由からでしょうか?

澤井 私は、“あえて田舎で開業する”という選択をしたこともあり、
地元で雇用を生み出し、職員と一緒に成長していきたいと考えていました。
そこで、資格を持っていない未経験の職員を採用し、
その子を中心にした組織づくりをしてきたのです。
ただ、事務所がどんどん成長するにつれて高付加価値業務も増え、
無理が生じたというか……。
事務所の成長速度や業務内容と、
職員の能力や希望にギャップが出てしまったのではないかと思います。

石田 すごくわかります。高付加価値業務をやっていこうとすると、
どうしても職員とのギャップは起こりますよね。

澤井 そうなんです。
高付加価値業務が増えたことで有資格者を採用したのですが、
そうすると、もともといた職員はポジションが脅かされるのではないかという不安からか、
成長方向への言動が取れなくなっていたように思います。
また、事務所や仕事への不満があれば、スタッフ間で増大させるような動きもありました。
そうしたことが原因で事務所の雰囲気も悪くなり、
新人は辞めていってしまう、といった状況でした。

私がコア職員を信頼し、頼りすぎていたということも大きな原因ですが、
「経験者にいてもらわないと業務が回らない」
ということに縛られすぎていたことが
事務所の成長の阻害要因になってしまっていたのかな、
と今となっては思います。

――なるほど。
石田先生に続いて、澤井先生も離職の事件を経験されていたとは衝撃です……。
澤井先生は、その経験がプラスに働いた面はあるのでしょうか?


澤井 事務所のコア職員が退職したことで、
経験値の高い司法書士を採用できたことです。
人材紹介会社には、「秩父のような田舎では有資格者の採用は難しい」
と言われていましたし、
東京都内や仙台などの大手司法書士法人と競合したのですが、
結果、うちの事務所を選んでくれました。
田舎でありながらも面白い活動をしている事務所として魅力を感じてもらえたことが、
非常に自信になりました。
それがきっかけで、その後ほかにも数名優秀なメンバーが入社してくれたので、
結果的にはプラスに変換できたと感じています。

――澤井先生のご事務所も、結果としては良い方向に転換したのですね。
お二人とも、心が折れそうな出来事を良い方向に転換するきっかけにしているのはさすがですね。
それでは続いて、清家先生お願いします。


清家 この2年半での一番大きな出来事は、
新しいオフィスをつくったことです。
コワーキングスペースなども備えているので、敷地は750坪あります。
おかげで、2年半前から借金がさらに増えて10億円になりましたが、
地域創生にも貢献できているのではないかと思います。


2022年12月に完成した清家巧貴税理士事務所の新オフィス


また、前回の座談会のときにも後継者のいない地元企業を
M&Aでグループ化していると話したのですが、
現在も新たなM&Aの話が進んでいて、さらに借金が増える予定です。
私は事業再生なども請け負っているのですが、
私自身が再生案件にならないように気をつけます(笑)。


清家巧貴税理士事務所
清家巧貴

大分県佐伯市の会計事務所に勤務後、大手監査法人系コンサル会社に転職。
2011年に佐伯市に戻り、開業。事業再生、キャッシュフローコーチ、
経営理念策定支援など、幅広く地元企業をサポートしている。

https://seike-office.com/


――清家先生の肩には、10億円以上が乗っているのですね!想像がつきません……。
ちなみに、2020年時点では職員さんが14名でしたが、
現在は何名いらっしゃいますか?


清家 4月に新卒の職員が入ると19名になります。
でも、うちも職員の出入りはありますよ。
事務所に合わない人は辞めていきますし、
違うことをやりたいと辞める人もいます。
最初に退職者が出たときはつらかったですが、
ある程度そういうことが起こるというつもりで経営するしかないと思っています。
石田先生や澤井先生のような事件はないのですが。

石田澤井 ないに越したことはないですよ(笑)。


 

事務所の方針と職員のギャップが退職の原因に……
所長と職員をつなぐ役割の存在が重要

――職員さんの話になったので、
先ほど深掘りできなかった石田先生の事件を聞いてみたいと思うのですが……。


清家 みんなで一斉に退職したのは、何が原因だったのでしょうか?
続きを読む
プロフィール

社会保険労務士法人リライエ
石田隆利

20歳からの10年間で社会保険労務士のほか、建築士や土地家屋調査士など10の国家資格を取得。
2009年に30歳で社労士事務所を開業。
「田舎の社会人学校」など地域の発展に貢献するサービスを展開している。
https://www.tajima-sr.com/


司法書士・行政書士法人あす綜合法務事務所
澤井修司

大学在学中に司法書士試験、行政書士試験に合格。
東京都内の司法書士事務所に勤務したのち、2008年、24歳のときに埼玉県秩父郡皆野町で開業。
現在は秩父エリア、寄居エリア、深谷エリア、熊谷エリアの4拠点で埼玉県北西部をカバーする。
https://www.ash-office.com/


清家巧貴税理士事務所
清家巧貴

大分県佐伯市の会計事務所に勤務後、大手監査法人系コンサル会社に転職。
2011年に佐伯市に戻り、開業。
事業再生、キャッシュフローコーチ、経営理念策定支援など、
幅広く地元企業をサポートしている。
https://seike-office.com/
関連コンテンツ