【士業連携最前線】クラウド活用で距離と組織の壁を超える!
- 2023.03.27
- プロパートナーONLINE 編集部
クラウドソフトを活用し、「組織の壁」「距離の壁」を超えた連携を実現している
目黒雅和 税理士・行政書士事務所の目黒雅和氏と、ゆめみ労務管理事務所の関口恵太氏。
他士業と連携する際に起こる、「データのやり取りのストレス」
「近隣の士業でないと連携しづらい」といった課題を解消した手法を紹介します。
Before
●顧問先から担当範囲外の相談を受けたときに対応できない/紹介できる他士業がいない
●税理士と社労士で使っているシステムやツールが異なるためデータのやりとりが面倒
●連携先の所長と職員で考え方や事情が異なるため、互いにストレスが生まれる
↓
●顧問先から担当範囲外の相談を受けたときに対応できない/紹介できる他士業がいない
●税理士と社労士で使っているシステムやツールが異なるためデータのやりとりが面倒
●連携先の所長と職員で考え方や事情が異なるため、互いにストレスが生まれる
After
●顧問先の情報収集を一元化して、税理士、社労士、顧問先の負担を軽減
●クラウドソフトでタイムリーかつシームレスに情報を共有
●ちょっとした連絡などの手間が省け、ストレスなく連携が可能に
●顧問先の情報収集を一元化して、税理士、社労士、顧問先の負担を軽減
●クラウドソフトでタイムリーかつシームレスに情報を共有
●ちょっとした連絡などの手間が省け、ストレスなく連携が可能に
所長と職員の意識やスピード感の違い
データ共有の煩わしさが他士業と連携する際の課題
――税理士の先生も社労士の先生も、顧問先から税務以外、労務以外の相談を受けることが多いと思います。
まずは、これまで他士業と連携する際に課題になっていたことを教えてください。
目黒 税理士は、月次訪問する際に定時決定・労働保険料申告書作成などの
サポート相談を受けることがあります。
ただ、法令遵守の観点から作成依頼を受けるのが難しいですし、
何か情報提供するとしても、
その情報収集にかかる手間分の請求ができないというケースは多いと思います。
また、これまでも連携している社労士事務所はあったのですが、
特に組織化している事務所の場合、
所長先生と現場担当者の間で他士業との連携に関する意欲・意識が異なります。
さらに、私たちのような開業間もない税理士事務所のスピード感と、
組織化されている事務所のスピード感にはどうしてもズレが出てしまいます。
――具体的には、どのようなことですか?
目黒 所長先生とは、連携するぐらいなので信頼関係が構築できています。
ですから、たとえば顧問先の給与明細を社労士事務所からもらいたいとき、
「目黒先生のところには融通を利かせて、こちらから送ってあげてほしい」
と職員さんに伝えてくれるのです。
でも、職員さんからすると毎月定期的にメール送信する手間が増えるわけです。
何十件も担当しているなかで、“目黒事務所特例”ができてしまうと、
その担当者や所内の業務フローが変わってしまい効率が落ちるので、
できれば避けたいというのが本音だと思います。
そういったことから、所長先生と現場のズレが出てくるのです。
目黒雅和 税理士・行政書士事務所
目黒雅和氏
東京都内の小規模な会計事務所、大規模事務所に勤務し、さまざまな業務を経験。
2018年8月千葉県浦安市で開業。
一般的な税務会計から組織再編や経営者の相続・事業承継対策のほか、
経営コンサルティング、行政への各種許認可申請手続など幅広くサポート。
MF会計を基盤とする業務効率化・クラウドツール活用の最先端事例として事務所見学会も実施。
https://biz.moneyforward.com/mfc-partner/search/24090/
――なるほど。所長先生と関係ができていても、
それが現場の職員さんの不満につながってしまうのですね。
関口 それは、私も経験しました。
所長先生と職員さんで成長スピードも違うので、
そこが一因となってお客様が求めるものを叶えられないというジレンマがありますよね。
また、お客様は、今抱えている課題が税務の話なのか労務の話なのか、
はっきりとわからないこともあります。
そのため、税理士の先生を紹介しても、
結局は私に税務の相談が来ることも多くありました。
目黒 そうですね。
データや情報の受け渡しでも似たようなことがあります。
お客様は、「税理士と社労士は連携しているはずだから、
どちらかに資料を渡せば、もう一方にも共有されるだろう」と思っています。
ですから、お客様に「この資料をください」と依頼すると、
「もう社労士の先生に渡しています」と言われてしまうのです。
たとえば退職者が出た場合、住民税を特別徴収から普通徴収に切り替える必要があります。
特別徴収のままだと、試算表上はエラー値が出るので、それをお客様に報告すると、
「税理士事務所で普通徴収に切り替えてくれていたと思っていた」
という話になるわけです。
ただ、退職の事実をタイムリーに知るというのは、
税理士事務所からすると結構難しいんです。
関口 情報共有がスムーズにできないと、お客様と社労士事務所、
社労士事務所と税理士事務所それぞれの間で
「渡した、渡していない」というやりとりが発生して、
場合によっては関係が悪化してしまいます。
もちろん、どちらかが共有し忘れていたりすると、お客様に迷惑がかかります。
ゆめみ労務管理事務所
関口恵太氏
大学在学中に社会保険労務士の資格を取得。
卒業後、社労士法人に勤めた後、2018年9月埼玉県本庄市で独立開業。
2020年12月に埼玉県熊谷市に移転。
クラウドツールを積極的に活用し、事務所内はもちろん顧問先の業務効率化もサポート。
MF給与を活用した給与計算を主軸としながら、
業種に応じた給与設計やそれに伴う助成金申請で顧問先の課題解決を図っている。
https://www.yumemiroumu.com/
――確かに、お客様からすれば、「どちらに聞けばいいかわからないし、
どちらかにデータを渡しておけばいいだろう」と思いますよね。
そういった課題を感じていたなかで、お二人が連携したのは、
どのような経緯なのでしょうか?
関口 以前から、税理士の先生を紹介してほしいという相談を受けることがありました。
お客様は、事務所がある埼玉県や私の地元である群馬県の方が多いので、
税理士事務所も地元の先生をご紹介していました。
ただ、お客様はオンライン対応を望んでいるけれど、
税理士事務所が対応できていないケースも多くあったのです。
私自身、積極的にIT化を進めていることもあり、
ITに強い税理士の先生を求めているなかで目黒先生に出会いました。
目黒先生のご事務所は、ITに特化していて学ぶことが非常に多く、
開業年が同じで成長スピードが似ている点も連携の大きなきっかけです。
目黒 先ほど、所長先生と職員さんの成長スピードの話をしましたが、
良好な関係を築くためには、
所長同士がイメージしている成長スピードに対する意欲が同じという点も重要だと思います。
あとは、お互いにマネーフォワードクラウドを使っていたという点が、
スムーズに連携できたポイントです。
社労士が入り口となって顧問先の情報を一括収集
クラウドソフトでタイムリーに共有する
――今回の連携はクラウドを活用されているとのことですが、連携のポイントを教えてください。目黒 「顧問先の情報をタイムリーに共有する仕組みをつくった」という点です。
たとえば、給与の支払いが25日の会社であれば、
25日に関口先生の事務所でマネーフォワードクラウド給与の確定ボタンを押します。
すると同時に、マネーフォワードクラウド会計に給与仕訳が自動連携されて起票されます。
この仕訳をどのような勘定科目を使って取り込むかというのは、
顧問先に合わせて最初に税理士側で設定する必要はあるのですが、
その手間さえかければ、現場間での「給与明細をください」
というやりとりが不要になります。
関口 また、私たち社労士事務所側で、
従業員情報を一括で収集するという点もポイントです。
社労士事務所は、入社時に従業員情報をもらうという入り口の部分を押さえることができます。
その際に、社会保険に加入しないパートやアルバイトであっても
マイナンバー・家族情報などの税務手続きに必要となる情報をお預かりすることで、
年末調整の際に税理士事務所側で必要となる情報を事前に収集するようにしました。
この入社時に記入してもらう「従業員情報入力シート」は、
目黒先生の事務所との連名にしてフォーマットにしています。
このシートを渡す際に、社労士と税理士で情報共有することを理解していただき、
漏れなく記入していただくことも効率的に連携する際に重要です。
顧問先に記入してもらう従業員情報入力シート。
社労士事務所と税理士事務所の連名にすることで、顧問先にも情報共有することを理解してもらえる。
――顧問先からこのシートを回収したあとの情報共有は、どのようにしていますか?
目黒 My Komonの共有フォルダを使っています。
My Komonにお客様ごとのフォルダをつくり、そこでデータを共有しています。
このフォルダにデータを上げると自動でメール通知が行くようになっているので、
「資料を入れました」「この資料をください」
といった連絡の手間が省けます。
もちろん、データを入れ忘れていたりすると確認の連絡は必要ですが、
「言った、言わない」のやりとりがなくなったこと、
「資料を入れました」の連絡の手間がなくなったことが大きいですね。
現在、この連携方法で7社の顧問を受任していますが、
細かな時間削減の積み重ねで、かなり効率的になったと実感しています。
My Komonの共有フォルダ画面。
顧問先ごとに「賃金台帳」「入退社情報」「マイナンバー」などのフォルダをつくり、データを共有する。
目黒 また、職員同士で日常的な連絡や確認が必要な際は、
My Komonの電子会議室機能を使っています。
電子会議室のなかに各社のスレッドがあり、そこでやりとりをしています。
関口 こういった業務フローやルールは、
私たちが職員全員で目黒先生の事務所に研修に行き、統一しました。
別事務所でありながら、同グループのような連携が可能に
物理的な距離を超えてマーケットを拡大できる
――基本的には、マネーフォワードとMy Komonで完結するフローだと思いますが、もともとご事務所でマネーフォワードをメインに使っていたのでしょうか?
違うシステムを使っていた場合、職員さんからの反対などはありませんでしたか?
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プロフィール
目黒雅和 税理士・行政書士事務所
目黒雅和氏
東京都内の小規模な会計事務所、大規模事務所に勤務し、さまざまな業務を経験。
2018年8月千葉県浦安市で開業。
一般的な税務会計から組織再編や経営者の相続・事業承継対策のほか、
経営コンサルティング、行政への各種許認可申請手続など幅広くサポート。
MF会計を基盤とする業務効率化・クラウドツール活用の最先端事例として事務所見学会も実施。
https://biz.moneyforward.com/mfc-partner/search/24090/
ゆめみ労務管理事務所
関口恵太氏
大学在学中に社会保険労務士の資格を取得。
卒業後、社労士法人に勤めた後、2018年9月埼玉県本庄市で独立開業。
2020年12月に埼玉県熊谷市に移転。クラウドツールを積極的に活用し、
事務所内はもちろん顧問先の業務効率化もサポート。
MF給与を活用した給与計算を主軸としながら、
業種に応じた給与設計やそれに伴う助成金申請で顧問先の課題解決を図っている。
https://www.yumemiroumu.com/
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