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  • 【ビッグファーム】企業が本業に集中できる環境づくりをサポート

    大阪、東京、兵庫、福岡に拠点を構える社会保険労務士法人協心。経営企画本部長の吉村徳男氏に、職員一人ひとりを伸ばす秘訣を聞きました。 4拠点が協力し合い、難局を打開して一致団結社会保険労務士協心は1976年、兵庫県で労働保険事務組合として近畿労務管理協会を設立したのがはじまりです。それに続いて大阪・東京・福岡でも労務管理協会を設立。創業者は同じだったため、大阪が本社的な機能を担いつつも、それぞれ別法人として事業展開していました。私が入社したのは2012年。社労士として会社の役に立ちたいという理由からです。それから一年半ほど経った頃、創業者が不慮の事故に遭遇してしまうという出来事が起こりました。絶対的なカリスマである創業者の不在によって、大阪は危機的な状況に陥りました。当時は12〜13名の規模でしたが、次々と職員が退職。慌てて採用するものの、入社しても試用期間中に辞めてしまうなど、自転車操業のような状態になってしまったのです。そんななか、私に白羽の矢が立ち、大阪の所長を任されることになりました。その後、この難局を乗り越えるには、各拠点が心を一つにしなければいけない。まさに「協心」しないといけないということで、2016年に4拠点がまとまって社会保険労務士法人を立ち上げることになりました。それぞれ独自の進化を遂げていた拠点を一つにまとめることは、いわばM&Aのようなもの。間違いなく、法人化は大きなターニングポイントでした。私は、法人化した当初は4人いる役員のうちの一人でしたが、大阪が本社機能を持つ最も大きな組織だったこともあり、現在では、経営企画本部長として全体をまとめる立場を担っています。 日報を活用して、理念と情報を共有法人全体としての組織づくりの根本は、経営理念「四方笑顔」にあります。ここには、協心、顧客、家族、社会の4つの笑顔を叶えたいという思いが込められており、理念を具体的な目標や人事制度に反映させることで、質の高いサービスをスピーディーに提供できるようにしています。組織づくりにおいて気をつけていることは、いかに理念を共有し、心を一つにするかということ。職員交流と情報共有は重要なテーマですが、そのために日報が欠かせない存在となっています。日報は全職員が毎日書きます。さらに、kintoneでほかの支店の職員も見られるようにしています。すると、誰が何をしているのかが一目瞭然。その日の「所感」を書く欄もあり、「顧問先でこんな対応を受けた」「今日は調子が悪かった」といった書き込みに対し、他支店の職員から助言や励ましのコメントが寄せられることもあります。また、プライベートの話題を交える職員もいて、お互いの雰囲気や人となりが自然とわかるのです。全員分の所感を毎日読んでいると、現在成長中の人や、仕事に不安を抱えている人など、職員が置かれている状況がよく伝わってきます。もちろん、私自身も毎日500字程度で必ず日報を書くようにしています。私がどんなことを考えているのかを、職員に知ってもらうことが大切だと考えているからです。テーマは、業務に関することよりも、事業への向き合い方や社会情勢、業界を取り巻く動き、社労士はこれからどうあるべきかなど、広い視野で書くことを心がけています。私たちは単に、給与計算や手続きがうまくできれば良いわけではありません。社会的に、いかに意義の広い仕事をしているかを伝えたい。仮に、いつか職員が退職したとしても、どこに行っても恥ずかしくない人材として送り出したいのです。士業という狭い世界に閉じこもらず、大きな視野を持ち、自分の仕事が世界とどうつながっているのかを知ってもらいたいと考えています。 個人や支店の個性を重視。適した環境で成長する私は自然農法で農業に取り組んでいるのですが、植物は種を植える場所さえ間違えなければ、ある程度放っておいても自然に育ちます。人も同じで、その人に合った仕事やチームに配属すれば、おのずと特性や良さが引き出されてくるように思います。そのために私ができることといえば、一人ひとりの状態を徹底的に見ておくこと。日報や面談などを通して、何を考えているのか、どんな人なのかを理解できるよう努めています。ある程度の自由な環境が確保されてこそ個性を発揮できるというのは、法人においても同様です。協心は別の組織が集まってできたという独特の経緯があるため、法人全体が同じ方向を向きつつ、各支店の独自性や裁量も保っています。一例として、売上など法人全体の目標は設定しているものの、それに応じた支店の目標設定や進捗管理、職員の教育方法などは、各支店長に任せています。拠点それぞれの独立色が強い、カンパニー制に近い組織形態です。また、支店ごとに地域性や顧客層、企業の規模も異なるため、注力する業種や戦略をひとくくりに設定することはできません。大阪支店であれば、社員20〜50人規模の企業を対象に「社長の右腕コース」を設定。人事や教育分野のニーズに対応できるサービスに力を入れています。最近は小規模な企業でも採用や定着のために人事制度を整えたいというニーズが増えており、メインターゲットの一つを50人規模に設定しています。 士業の連携と拡大で日本企業を応援したい画一的なやり方は時代的にも合わないですし、それぞれの特性を引き出せる環境が大切。現在、法人全体で共通する人事制度をつくっているのですが、それも現場に即した管理が支店で可能になるよう調整したいと思っています。法人全体としてのインフラが整いつつある今、各支店の連携を強化しながら、「攻め」に出たいと思っています。全国的に見れば、社労士事務所が近くにない地域もまだありますから、新たな支店展開も考えていきたい。もちろん、過去とまったく同じことの繰り返しではいけませんが、4拠点をまとめてきたノウハウは、今後支店が増えた場合にも活かせるのではないかと思います。また、これからの時代に欠かせないのはデジタル化です。当社でも、kintoneのほか、RPAやBox、KiteRaなど、ひと通りのシステムを導入しています。ただ、業務を効率化するにはデジタル化が必須なのですが、それと同時にアナログ面のさらなる充実も求められているような気がします。私たちの仕事で最も注力するべきことは、お客様と向き合う時間の確保です。社長にとって身近な存在となり、精神的な拠り所として信頼されなければいけない。そのためには、デジタルとアナログの両方を強化していく必要があると思います。私は、すべての日本の会社から、人事・労務機能を引きはがしたいと思っています。さまざまな法改正で給与計算も複雑になるなか、それぞれの会社が自前で給与や労務の担当者を置くのは非効率です。もっと士業を活用してもらうことで、企業が本業に集中できる環境をつくり、国全体を盛り上げていきたい。そのためには、社労士業界全体の気概と、力の結集が必要です。ほかの事務所はライバルでもありますが、それ以上にパートナーだと思っています。方向性が合えば一緒の旗でやっていきたいですし、士業の垣根を越えて会計事務所などとの連携も強化していきたいと考えています。