サービスマインドで120%の満足度を実現!
- 2020.05.26
- プロパートナーONLINE 編集部
全国9拠点、100名規模の司法書士法人コスモグループ代表の山口里美氏。女性経営者としては最大規模を誇ります。創業から21年経った今もなお脈打つ〝サービスマインド〟の源泉に迫ります。
先生業ではなく、あくまでもサービス業
「士業業界にサービスマインドを持ち込む」。これは開業当初から掲げている信条です。私たちは法的なサービスを提供する〝サービス業〞。なので、定型的な業務はできて当たり前なんです。お客様の満足度を高めるホスピタリティ精神で、120%のサービスを提供する。それがブランディングに直結すると考えています。
現在、グループ全体で111名の規模にまで拡大しました。今後はさらに職員のスキルアップを強化していきたいと思っています。
弊社ではマナー研修を採用しています。単なる〝一般常識〞ではなく、〝おもてなし精神〞を鍛錬する研修です。目の前にいらっしゃるお客様が笑顔になるにはどうすればいいのかを踏まえたマナー研修です。やはり、一朝一夕にはいきませんからね。加えて、OJTで経験を積みながら学んでもらっています。サービスマインドを意識するのは、開業前のある出来事が私のアイデンティティとしてあるからなんです。
挫折を味わったからこそ見出したサービス精神
もともとはキャビンアテンダントになることが夢で、試験対策も万全な状態で準備していました。夢を叶えるためなら、努力なんて苦に思うことはありませんでした。
ところが、予期せぬ事態が起きたんです。航空不況でその年はどこの航空会社も新卒採用を実施しませんでした。自分の努力だけでは叶わないこともあるのか……と、途方に暮れました。
でも、落ち込んでいても前に進めません。そこで、今まで勉強したことがすぐに活かせる旅行代理店に就職し、ツアーコンダクターになりました。挫折を味わって飛び込んだ業界でしたが、人に喜んでもらえることが私の喜びだと感じました。〝サービス業は私に合っている〞と思い、目の前のお客様に誠心誠意向き合ってきました。
そして、さらなるキャリアアップを目指して「旅行業務取扱管理者」の資格取得の勉強をしていたときでした。法律の面白さに触れたんです。
これが転機だったと思います。いつか司法書士として法的サービスを提供したいという気持ちへと変わっていきました。
思い立ったら、すぐ行動。一念発起して6年勤めた旅行代理店を退職しました。まずは法律にどっぷり浸かろうと思い、昼間は法律事務所で働き、夜は専門学校に通って勉強漬け。猛勉強の末、3年で合格しました。
弱みは強み
開業の地には、土地勘もあって製造業が密集している東大阪を選びました。独立したてのときは、お客様のもとへ訪問しても「先生はいらしてないんですか」と、よく言われました。「女の子に任せて平気なの?」なんて言われたこともありましたね。
今でこそ、女性の司法書士は2割強ですが、当時は1割にも満たなかったと思います。キャリアのない私に仕事を依頼することで不安を感じるお客様は多かったと思います。だからこそ、〝いただいた案件はしっかりと丁寧に対応する〞をモットーにしていました。
大晦日に除夜の鐘を聞きながら、お客様と一緒に建物の明け渡しに立ち合ったこともありました。すると「女の子に任せて大丈夫?」から「女の子だから丁寧だ」という見方に変わっていったんです。
ピンチはむしろチャンスなんですよね。当然、女性というだけで目立ってしまうため風当たりは強かったと思います。それでも、〝サービスマインド〞でお客様に真心込めて対応していると、それを応援してくれる方が現れるんです。加えて、旅行代理店時代に培ったサービス精神が後押ししてくれたんだと思います。今でも24時間365日対応ができるように、就寝時も枕もとには携帯電話を置いています。
資格を所得し、司法書士事務所で働いて3年が経ったころ。父の病が発覚したんです。私の夢を応援してくれていた父が、まさか病に倒れるなんて……。元気だった頃のように笑顔を取り戻してあげたい。私に出来ることは何だろうって考えたときに、〝独立して立派にやっている姿を見せたい〞と思うように。
それまでは開業しようだなんて考えてもいませんでした。なので、既存のお客様はゼロ。開業資金はコツコツと貯めた300万円のみ。時間との勝負でしたが、どうにか4月1日に開業することができ、父のもとへ一目散に報告をしに行きました。
すると、こう言ったんです。
「お仕事はいただけるのか」。
そうですよね。開業してもお客様がいなければ存続できない。今度は「お仕事をいただいて人様の役に立てているんだ」と胸を張って報告しなきゃと、開業祝いで知人からいただいた自転車に乗って南は八尾市、北は大阪市、東は生駒市と、半径30キロの税理士事務所、金融機関を回りに回りました。
当時は士業が営業してはいけませんでしたが、〝開業の報告は営業じゃない〞と思い込ませて、朝から晩までひたすら飛び込み営業をしていました。「今は間にあっている」。やっと鳴った一本の電話からは「2度と来るんやないぞ」の罵声。
でも辛いなんてまったく思わなかったです。父を喜ばせたいたい一心でしたから。
結果的に4月30日までに4件受任することができ、急いで父に報告しました。喜んでくれている父を見て、とても嬉しい気持ちになりました。そして、受任の報告を待ちわびていたかのように、父は天国へと旅立っていきました。
「喜ぶ顔が見たい」という思いが行動を変え、結果をもたらしました。本当に必死でしたから。このときの必死さがあったからこそ、今があるんだと思っています。
これによって責任と自発性が芽生えて、組織の生産性が向上したと思います。
開業して21年が経つと、当時と時流も異なります。当然〝人〞の傾向も異なります。さまざまな年代の職員たちが同じベクトルを向くために、共通指針を言語化したクレドを職員と一緒につくりました。それぞれのパフォーマンスを最大限に引き出すことができれば、生産性はもっと上がっていきます。
また、コスモでは産休・育休制度を取得した職員は全員復帰しています。中には数度取得した職員もいます。職員満足度を高めることも、お客様の満足度を上げる要因の一つだと考えています。
士業はサービス業だという意識がコスモグループの中で根を張り、幹となっています。これからも、サービスマインドを忘れることのないよう、社内整備をしていきたいですね。今後は相続など高齢者支援のための法的サービスを根幹に、士業の域を超えた社会的使命のあるサービスを、精力的に展開していきたいと思っています。
ところが、予期せぬ事態が起きたんです。航空不況でその年はどこの航空会社も新卒採用を実施しませんでした。自分の努力だけでは叶わないこともあるのか……と、途方に暮れました。
でも、落ち込んでいても前に進めません。そこで、今まで勉強したことがすぐに活かせる旅行代理店に就職し、ツアーコンダクターになりました。挫折を味わって飛び込んだ業界でしたが、人に喜んでもらえることが私の喜びだと感じました。〝サービス業は私に合っている〞と思い、目の前のお客様に誠心誠意向き合ってきました。
そして、さらなるキャリアアップを目指して「旅行業務取扱管理者」の資格取得の勉強をしていたときでした。法律の面白さに触れたんです。
二足のわらじの末、司法書士試験に合格 |
思い立ったら、すぐ行動。一念発起して6年勤めた旅行代理店を退職しました。まずは法律にどっぷり浸かろうと思い、昼間は法律事務所で働き、夜は専門学校に通って勉強漬け。猛勉強の末、3年で合格しました。
弱みは強み
逆境を好転させる発想
開業の地には、土地勘もあって製造業が密集している東大阪を選びました。独立したてのときは、お客様のもとへ訪問しても「先生はいらしてないんですか」と、よく言われました。「女の子に任せて平気なの?」なんて言われたこともありましたね。今でこそ、女性の司法書士は2割強ですが、当時は1割にも満たなかったと思います。キャリアのない私に仕事を依頼することで不安を感じるお客様は多かったと思います。だからこそ、〝いただいた案件はしっかりと丁寧に対応する〞をモットーにしていました。
大晦日に除夜の鐘を聞きながら、お客様と一緒に建物の明け渡しに立ち合ったこともありました。すると「女の子に任せて大丈夫?」から「女の子だから丁寧だ」という見方に変わっていったんです。
ピンチはむしろチャンスなんですよね。当然、女性というだけで目立ってしまうため風当たりは強かったと思います。それでも、〝サービスマインド〞でお客様に真心込めて対応していると、それを応援してくれる方が現れるんです。加えて、旅行代理店時代に培ったサービス精神が後押ししてくれたんだと思います。今でも24時間365日対応ができるように、就寝時も枕もとには携帯電話を置いています。
最愛の父との約束が開業の動機
開業するきっかけは父でした。資格を所得し、司法書士事務所で働いて3年が経ったころ。父の病が発覚したんです。私の夢を応援してくれていた父が、まさか病に倒れるなんて……。元気だった頃のように笑顔を取り戻してあげたい。私に出来ることは何だろうって考えたときに、〝独立して立派にやっている姿を見せたい〞と思うように。
それまでは開業しようだなんて考えてもいませんでした。なので、既存のお客様はゼロ。開業資金はコツコツと貯めた300万円のみ。時間との勝負でしたが、どうにか4月1日に開業することができ、父のもとへ一目散に報告をしに行きました。
すると、こう言ったんです。
開業2カ月目にして2名体制に |
そうですよね。開業してもお客様がいなければ存続できない。今度は「お仕事をいただいて人様の役に立てているんだ」と胸を張って報告しなきゃと、開業祝いで知人からいただいた自転車に乗って南は八尾市、北は大阪市、東は生駒市と、半径30キロの税理士事務所、金融機関を回りに回りました。
当時は士業が営業してはいけませんでしたが、〝開業の報告は営業じゃない〞と思い込ませて、朝から晩までひたすら飛び込み営業をしていました。「今は間にあっている」。やっと鳴った一本の電話からは「2度と来るんやないぞ」の罵声。
でも辛いなんてまったく思わなかったです。父を喜ばせたいたい一心でしたから。
結果的に4月30日までに4件受任することができ、急いで父に報告しました。喜んでくれている父を見て、とても嬉しい気持ちになりました。そして、受任の報告を待ちわびていたかのように、父は天国へと旅立っていきました。
「喜ぶ顔が見たい」という思いが行動を変え、結果をもたらしました。本当に必死でしたから。このときの必死さがあったからこそ、今があるんだと思っています。
事務所拡大の一歩は仕事を任せる勇気
振り返ってみると、10名規模のときは案件の進捗など、すべて把握できていました。しかし、人数が増えて支店展開すると職員に任せないとやっていけない。当然、大切なお客様を任せるわけですから不安でいっぱいでした。でも思い切って「フォローはする!任せた!」と手放すことができたから、規模を拡大することができたのだと思います。最終的な意思決定は行っていますが、現在はセクションごとに権限を委譲しています。これによって責任と自発性が芽生えて、組織の生産性が向上したと思います。
開業して21年が経つと、当時と時流も異なります。当然〝人〞の傾向も異なります。さまざまな年代の職員たちが同じベクトルを向くために、共通指針を言語化したクレドを職員と一緒につくりました。それぞれのパフォーマンスを最大限に引き出すことができれば、生産性はもっと上がっていきます。
また、コスモでは産休・育休制度を取得した職員は全員復帰しています。中には数度取得した職員もいます。職員満足度を高めることも、お客様の満足度を上げる要因の一つだと考えています。
士業はサービス業だという意識がコスモグループの中で根を張り、幹となっています。これからも、サービスマインドを忘れることのないよう、社内整備をしていきたいですね。今後は相続など高齢者支援のための法的サービスを根幹に、士業の域を超えた社会的使命のあるサービスを、精力的に展開していきたいと思っています。
・ コスモグループの沿革 ・ | |
1997年4月
東大阪市に山口司法書士事務所開業
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2011年4月
株式会社コスモホールディングス設立
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2003年7月 司法書士法人プロネックス設立 |
2013年9月 行政書士法人コスモ設立 |
2006年9月 司法書士法人コスモに名称変更 |
2014年2月 広島県広島市にグループ事務所設置 |
2006年10月 東京へ進出。中央区に従たる事務所設置 |
2015年9月 宮城県仙台市に従たる事務所設置 |
2007年7月 東京都中央区八重洲に主たる事務所を移転 愛知県名古屋市に従たる事務所設置 |
2016年10月 北海道札幌市にグループ事務所設置 |
2010年6月 福岡県福岡市博多区に従たる事務所設置 |
2017年 岡山県岡山市にグループ事務所設置 埼玉県さいたま市に従たる事務所設置 |
プロフィール
山口 里美(やまぐち さとみ)氏
司法書士法人コスモ
代表社員
司法書士法人コスモグループ
設立/1997年4月
従業員/111名( グループ全体)
本社所在地/ 東京中央区八重洲2-6-21
拠点数/9
代表社員
司法書士法人コスモグループ
設立/1997年4月
従業員/111名( グループ全体)
本社所在地/ 東京中央区八重洲2-6-21
拠点数/9
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