【8月WEB勉強会報告レポート】税理士事務所のRPA活用術
- 2024.05.26
- 株式会社 アックスコンサルティング
8月WEB勉強会では、『税理士事務所のRPA活用術』というテーマで、
RPA導入初年度から年間の作業時間を計500時間削減に成功している、
ブレインパートナー佐久間会計事務所 佐久間 隆氏にご登壇いただきました。
新型コロナウィルスの影響により業種業界問わずさまざまな企業で、
従来の働き方の業務プロセス改善や業務効率化が大きな課題となっています。
その課題解決の手段の一つとして特に注目を集めているのが
RPA(ロボティクス・プロセス・オートメーション)です。
弊社が国内の会計事務所従業員数ランキング上位500に該当する事務所を対象に実施した
「士業業界実態調査アンケート2022」でも、約40%の会計事務所がRPAを導入していると回答するなど、
会計事務所でもRPAを導入し生産性の高い事務所を目指す機運が高まっています。
本記事では、注目のテーマで実施した8月月例会『税理士事務所のRPA活用術』の内容の一部を
特別に公開いたします。
RPAとは?
RPAとは、私たち日々行っているパソコン上での一連の作業を効率化してくれる”ソフトウェアのロボット”です。
RPAで置き換えられる業務としては、下記があります。
例えば、社内システム連携の機能であれば会計・税務システムへの
決済数値の転記作業をミスなくRPAが行ってくれます。
RPAは24時間365に稼働してくれるため、
金曜日の退勤時ロボットを稼働させて、土日も作業を行ってもらい、月曜日にチェックといった運用が可能です。
また、「よくRPAとAIは何が違うのか?」といった質問をよく伺います。
RPAは判断は入ることがない業務(=ルーチン業務)が得意となるのに対して、
AIは人間のように自律的に考えることや判断を行うことができる業務を得意としております。
RPAを選定する際の基準
佐久間氏がRPAを導入したきっかけは、大きく3つあります。
・繁忙期における時間外労働の増加
・採用コストの増加
・顧客数増加による単純業務の負担増
もともと医療機関の顧問先が多く、個人事業主が多い為確定申告時期は時間外労働が発生していました。
また近年の採用難の一方、顧客数が増えていき職員の業務負担を懸念して、RPAの導入を決意いたしました。
RPAといっても、沢山の種類があるためPRAを選定する際の3つのポイントをご紹介します。
1.会計ソフト等既存システムとの相性
2.開発の難易度(専任スタッフやSEはいない)
3.実際に導入した他の事務所の状況
まずは既存システムとの連携がうまくいくかを見ます。
実際の他事務所の活用状況を聞いてみるのも良いです、
また税理士事務所にSEや専任のスタッフを置けるわけではないため、
事務所内のスタッフが操作できる難易度のRPAを導入する事がポイントです。
RPA導入事例
導入事例① 会計データの転記(弥生会計→OMS)〔効率化した業務〕
会計システムの弥生会計から税務システムであるOMS(青色決算書)へのデータ転記を自動化
Before(RPA導入前)
●相当な労働時間を割いてデータの転記作業を行う
↓↓↓
After(RPA導入後)
●RPA導入により100時間の削減に成功!
導入事例② 所得税申告書データ作成(OMS→フォルダ保存)
〔効率化した業務〕
確定申告後にクライアントにお渡しする確定申告書のデータを抽出→pdf化し所定のフォルダに保存する業務を自動化
Before(RPA導入前)
●従来では1件あたり5~10分以上かかっていた
●日常的に発生するルーチン業務
↓↓↓
After(RPA導入後)
●RPA導入により215時間という大幅な業務時間削減を実現(1日あたり100件ほどロボットが代行することも)
RPA活用のポイント
RPAを正しく活用し、業務の効率化に活かしていくためには4つのポイントがあります。
POINT1:スモールスタート
いきなり複雑なロボットを作成しようすると開発に膨大な時間をかけてしまい、費用対効果が低く感じられます。
また、難しいロボットを開発しようとして挫折してしまう事務所も多くあります。
この最初の1つで所内でのRPAの評価が印象付けられてしまいます。
まずは、『簡単なロボットから取り組むこと』、『単純な作業かつ数が多い業務を選ぶこと』が重要になります。
POINT2:運用のポイントは「RPA」ではなく「人」
実際に運用すると想像できなかったエラーが数多く出ます。
中でもロボットの精度が上がるにつれ顕著になるのは「ヒューマンエラー」です。
ロボットがいかに正確でも、ロボットが使用する元データが間違っていたらロボットは正常に稼働しません。
『運用ルールはシンプルにすること』、『ヒューマンエラーは共有してなくすこと』を徹底しましょう。
POINT3:スタッフの負担を減らす
RPAを導入しようとするときに、その運用ルールを複雑にしてしまうと、
スタッフから「業務負担が増える」、「やり方を変えなければならない」など
ネガティブな印象を持たれてしまう可能性があります。
このように、本末転倒の結果にならないためにも、
『スタッフの作業は最小限に』『まずは成果物で作業軽減を実感してもらう』ことが大切になります。
<弥生会計からOMSの転記ロボットの依頼ルール>
- 依頼シートに事業所名を入れる
- 弥生会計のデータを指定フォルダに保存する
- 弥生会計のファイル名を指定のものに変更する
こちらは実際にブレインパートナー佐久間会計事務所で運用していた際のルールです。
いたって単純なルールですが、ヒューマンエラーは発生しました。
POINT4:開発者の時間の確保
導入1年目で開発が進まない一番の要因といっても過言ではありません。
通常業務と並行して開発を行うと開発が片手間になってしまい、
開発が進まず半年間放置…ということにもなりかねません。
『導入1年目は費用と開発時間を先行投資するつもりで確保すること』が最終的な業務効率に繋がります。
まとめ
RPAの活用は、これからさらに注目を浴び、税理士事務所全体で活用が浸透してくる可能性もあります。
ブレインパートナー佐久間会計事務所では、実際に会計事務所用のRPAロボットを開発し、
提供もしていますので、もし気になるようであれば、ぜひ下記HPよりお問い合わせしてみてください。