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  • 士業の業務改善に書類の電子化は有効か?

    新型コロナウィルスは、私たちの生活様式を一変させました。士業のみなさまにおかれましては、どのような影響がありましたでしょうか?ここ数か月、士業含め多くの企業から「紙書類の扱いをどうしていくべきか」とのご相談をいただいています。・テレワークを始めたが、紙書類へのアクセス環境が整っていない。・テレワークを始めたことで、オフィス縮小を考えている。伴って保管書類を減らしたい。・書類へのアクセスをスムーズにし、顧客対応へのレスポンススピードを上げたい。同じような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか?とはいえ、多くの書類を目の前に何からどう始めたらいいのか…そのような悩みをお持ちのみなさまに、書類の電子化とはから書類電子化で気を付けるべき点や実施手段についてご紹介します。 書類の電子化とは上記でご紹介したように、紙書類においてよく見られる課題は以下3つです。・リモートからの閲覧ができない・保管場所が必要でコストがかかる・検索や共有に時間や手間がかかるこれらを解決する手段は紙書類の電子化です。一般的には次の2つの対応が検討されます。①    デジタルデータでやり取りする(紙の発生を抑える)②    書類をスキャン電子化する(紙の管理方法を変える)可能な限り①を実現するのが理想的ですよね。自らが作成する書類はデジタルデータで管理する、顧問先やクライアントから受け取る書類についても極力デジタルデータで受け取るということです。メールでのやり取りはもちろん、コミュニケーションツールなどを使って簡単に管理・共有を行える環境を整えることも継続的に①を実現する秘訣といえるでしょう。しかしながら、すでに過去発生してしまった紙書類、どうしても紙でやり取りせざるを得ない書類は存在します。その場合は②で対応していくことになります。今回のコラムでは②の対応が必要となっているみなさまに、お役に立てる情報をお届けしたいと思っています。 書類電子化のメリット・デメリットでは、書類電子化にはどのようなメリット・デメリットがあるでしょうか。一般的には以下のようなことが言われています。 【メリット】 検索しやすくなるどこからでも閲覧できるセキュリティ管理が容易になる共有しやすくなる紛失リスクが減る保管スペース・コストが削減できる 【デメリット】 電子化する時間と人手の確保が必要大量の書類への対応が必要な場合がある電子化のルール設定と運用が必要検索しやすく、どこからでも閲覧ができれば、メンバーとの情報共有、顧客への対応もスムーズになります。そして、あまり知られていませんが、情報漏洩の多くは紙書類からといわれており、データで管理することで紛失リスクも軽減できます。また、紙書類が減ることで保管スペースやコストが削減できるのは言うまでもありません。以上のように書類を電子化することは多くのメリットをもたらすように思われます。では、なぜいままであまり取り入れられてこなかったのでしょうか?または定着してこなかったのでしょうか? 書類電子化が進まない・定着しない理由 ~書類電子化で抑えるべきポイント~士業において電子化が進まないひとつの理由として、検索性は低くとも閲覧性が高い紙書類のほうが重宝されてきた面があると考えられます。しかし、行動様式を変えざるを得ないいま、書類電子化は避けられない課題でしょう。ここからはデメリットを紐解きながら、書類電子化を推進するにはどんなことが懸念され、どんなことに気を付けてすすめるべきかをご紹介したいと思います。 ①    想像以上にかかる手間と時間…思うようには進まない。電子化作業をするには「人・機械・時間」が必要となります。電子化を行うには対象となる書類のボリュームに応じた「人・機械・時間」という資源を確保できることが前提となります。特に人手と時間については慎重に検討されないことが多く、想定していたように電子化が進まなくなってしまうケースがあるので注意が必要です。実際にどのくらいの人手と時間が必要となるかをテストすることをおすすめします。 ②    大量の書類をスキャン電子化する必要がある…と思われている。検索メリットを高めるには、対象となる書類数は多いに越したことはありません。しかし、①で述べた通り、電子化作業にはいくつかの資源、つまり多くのコストを必要とします。よって大量の書類の電子化が必要と考えること自体を改める必要があります。電子化をする必要がある書類はどれであるか、その選定が書類電子化を検討するうえで最も重要な作業となるでしょう。電子化せずに廃棄する、保管は必要だが閲覧頻度が高くないものは外部倉庫に保管する、などの手段も含めて検討しましょう。 ③    気づけば電子のごみ箱に…環境維持には多少の工夫が必要です。データ化することで検索性は上がりますが、管理方法としては紙書類と一緒でルールを設け書類管理をしていく必要があります。容易に電子化でき紙のときよりも多くのデータを保管できることから、気づけば不要なデータであふれているという状況が発生しがちだからです。例えば、次のような管理方法があります。・フォルダの階層一般的に3階層までに収めると管理しやすいとされています。・版管理、廃棄サイクルの設定古いデータは一定期間で削除するなど、誰が見ても最新版がわかるよう版管理のルールを設けましょう。・フォルダへのナンバリングフォルダが複数存在する場合にはナンバリングして管理するとよいでしょう。不要なフォルダを作らせない効果もあります。難しいルールではないですが、維持するのは意外と難しいもの。ルールを明確にし、定期的に教育、棚卸をすることで、いつ誰がアクセスしても保管先が常に同じ状態で保たれているという状況を作ることを心掛けましょう。 書類電子化の実施手段電子化作業は、先に述べた通り、人・機械・時間が確保できれば自社で行うことが可能です。想像以上に手間や時間がかかる作業になりますので、余裕をもって計画的に行うようにしましょう。一方、人手や時間の確保が難しそう、電子化すべき書類の選出方法が分からない…など、なかなか実行が難しそうという印象を持たれた方もいらっしゃるかもしれません。そのような企業・事務所さまには、書類電子化のアウトソーシングの利用をおすすめします。電子化という専門領域で培ってきたノウハウで電子化業務を効率よくデザインし、人・機械・時間を提供してくれます。きっと不安に感じた項目についても多種多様な業界業態のお客様に対応してきたベンダーであれば、適切なアドバイスをしてくれることでしょう。書類電子化でひらける業務の新しい形、書類電子化の注意ポイントと実施手段についてご理解いただけましたでしょうか?生活様式の変化に伴い、働き方だけでなく人々の価値観もさらに多様化することが想像されます。これからはどこからでも繋がれる分、お互いを理解するためにコミュニケーションをとることがさらに重要となってくるのではないでしょうか?良質なコミュニケーションのためにも情報アクセスに不自由を感じない環境を整えることから始めませんか?キヤノンマーケティングジャパンはみなさまの書類電子化を支援します。 キヤノンMJのスキャン電子化BPOサービススキャン電子化で 情報資産のフル活用を実現!長年培ってきたノウハウで、電子化の効果を最大限発揮させるご提案をお届けします。キヤノンマーケティングジャパンの「スキャン電子化BPO」はこちら  2021.01.18
  • 法律の分野でも進む「〜テック」

    最近、新聞やニュースなどで見ない日がない言葉の一つに、「~テック」という言葉があります。これは、ICT技術の急速な進展に伴い、それまでICTと距離のあった分野に、ICT技術を用いて時間やコスト、そして仕事そのものを省略化する技術のことを言います。現在、最も世間で注目されているのは、ブロックチェーン技術に代表されるようなフィンテック(FinTech)ではないでしょうか。一時期は名前を聞かない日がなかった、コインチェック株式会社も、日本におけるフィンテック分野の代表的な企業です。一方で、筆者および士業の皆様に身近な法律の分野でも、ICT技術を使って、裁判、行政、契約などの従来業務の省略化や、士業や企業法務に向けたサービスを提供するリーガルテック(LegalTech)が進展しておりますので、今回はその動向を紹介したいと思います。 日本の法律業務の現状リーガルテックの説明の前に、現在の一般的な法律業務の説明をします。裁判などの法律業務では、膨大な量の証拠を印刷した書面の形式でやりとりをしており、その中から適切な証拠を見つけ出すだけでも一苦労な状況です。 よくある離婚訴訟 ~膨大な書面資料が手間になる~例として、夫の不貞を原因とした離婚訴訟を考えてみましょう。不貞の証拠として妻があげるものには、LINEなどのSNSの履歴のスクリーンショットや、メール、写真などがあります。また、妻の考えなどをまとめた陳述書も証拠となります。さらには代理人弁護士が作成した書面などがあり、これらは全て、印刷した書面という形で裁判所および相手方に提供しなければいけません。半年以上続く訴訟手続きの中で、証拠の数は膨大なものになり、100を超える場合もあります。その中から提示したい証拠を見つけ出すのも難しい状態になりますし、裁判期日に、代理人弁護士の所属事務所から裁判所まで持参すること自体も一苦労です。また、そのような書面を裁判所へ提出する方法も、特に訴えを提起する段階では、直接裁判所に(もちろん平日の9時から17時の間に)持参するしか方法がなく、その際も訴状と膨大な証拠を複数の部数印刷をして持参する必要があります。 リーガルテックの出現で大幅な工数削減に一方で、リーガルテックとは、法律(リーガル)と技術(テクノロジー)を組み合わせた用語で、法律業務を支援するテクノロジーを総称します。リーガルテックが発展してきた原因は、いうまでもなく、IT技術の進化により、あらゆるデータがデジタル化して来たことです。先ほどの離婚訴訟で証拠として挙げられていたパソコンやスマートフォンでやりとりされる情報である、メール、チャット、Word、PowerPointやPDFなどの文書ファイルは、全てデジタルデータとして蓄積されます。これらのやりとりを、紙を使わずにやりとりできる技術、これもまさにリーガルテックです。 アメリカのリーガルテックの状況他の「~テック」の領域でもそうなのですが、リーガルテック分野でも、最も先進的なのはアメリカと言えるでしょう。すでに2006年には、民事訴訟における電子情報開示制度(一般的に「e-discovery」と呼ばれています)が整備されました。これは、民事訴訟における証拠開示(裁判所および訴訟の相手方への証拠を提出すること)を、電子的手続きによって行うことを意味します。対象となるのは、メールやインスタントメッセージを含むチャット、Word、PowerPointやPDFなどの文書、CADやCAMのファイル、ウェブサイトなど、全ての電子的に保存された情報であって訴訟の証拠になりうるものです。これらは先ほど挙げた離婚訴訟におけるほぼ全ての証拠が該当します。これらの証拠は、電子的に記録され、デジタルデータとして裁判所および相手方当事者に提出されるため、紙で印刷する必要はありません。また、データとして扱えることの特徴として、分類や整理、検索といった作業が非常に容易に可能です。アメリカの民事訴訟手続きのうち、当事者双方の証拠開示は、インターネット上で行われます。E-discoveryと呼ばれるこの手続きは、日系企業もアメリカで訴訟を抱えることが増え、一般的にも知られるようになりました。また、契約書の締結においても、日本よりも数年先んじて、ペーパーレスが進展しています。通常の契約書締結過程では、少なくとも契約書への捺印の時点で、契約書を印刷し、実際に捺印するという作業が発生します。また、社内フローとして、捺印のチェックを、印刷した紙を閲覧する形で行っている会社もまだ多くあります。このような一連の作業をすべてWeb上で完結するサービスが多く展開されています。 日本の行政手続き・司法手続きの電子化日本における行政手続き、司法手続きにおいても、電子化が進められています。これらも、特に司法手続きに関しては、リーガルテックの試みと言えます。行政手続きでは、総務省行政管理局が運営する総合的な行政情報ポータルサイトである電子政府の総合窓口(e-Gov)が、省庁横断的な電子化の取り組みとして注目されます。例えば、健康保険や厚生年金保険、雇用保険や育児休業給付金などに関する諸手続きを行う場合、申請者はe-Gov 電子申請に対応したソフトを利用して、申請データを作成し、必要に応じて電子署名も行います。その上で、一括申請システムを利用すると、全データが圧縮されたZIP形式で一括送信し、申請が可能です。そのほかにも、国税電子申告・納税システム(e-Tax)や地方税ポータルシステム(eLTAX)など、税務分野でも電子化が進んでいます。しかし、これらのインターネット上での電子上の手続きには、Windowsでしか利用できなかったり、利用時間が平日に限られていたりと、使い勝手に大きな問題があります。特に、e-Govについては利用率が1割に満たないなど、普及の点でも大いに問題があります。また、「未来投資戦略2017」(平成29年6月9日閣議決定)に基づいて、裁判手続等のIT化検討会が開催され、2018年3月30日に、「3つのe」の実現を骨子とするまとめが発表されました。「3つのe」とは、民事訴訟手続における① 提出(e-Filing)② e法廷(e-Court)③ e事件管理(e-Case Management)を指します。①e提出(e-Filing)は、アメリカにおけるe-discoveryの実現のみならず、裁判所に紙媒体で提出することが必要だった訴状についても24時間365日提訴を可能とすることを目指しています。電子的に提訴された裁判を、テレビ会議もしくはウェブ会議形式で行うことを内容とするのが②e法廷(e-Court)であり、その事件の進捗管理および証拠管理を行うのが③e事件管理(e-Case Management)です。これらが実現すれば、かなりの影響が出ると思われますが、残念ながら実現の時期・目処はこれからですので、まだしばらくアナログな時代が続くと思われます。 日本で進む、ベンチャー企業のリーガルテック行政・司法の状況と比較し、進んでいると思われるのが、主にベンチャー企業に主導されるリーガルテックです。先に述べたe-discoveryへの対応や、スマートフォンやパソコンに記録されたデジタルデータを復元するデジタルフォレンジック技術がまず発展しました。しかし、本記事執筆時の2018年6月現在において最も注目されているのは、知的財産・特許の出願や管理関係と、契約書の作成・管理関係と言えます。 特許まわりと契約書の作成・管理に着目した「弁護士ドットコム」前者については、特許庁のデータをAIが分析し、審査官の判断を学習することで、そのアイデアの特許出願が可能かどうかのシステム構築を進めている企業もあります。後者について、現在日本国内で最もシェアを得ているのが、弁護士ドットコムが運営する「クラウドサイン」と言うサービスです。これは、契約締結時に必要な「紙と印鑑」を「クラウド」に置き換え、契約締結作業をパソコンだけで完結させるものです。さらに、契約書締結自体がクラウド上で、ペーパーレスで行われるため、印紙税が課税されません。さらに、クラウドサインで合意締結されたすべての書類には、クラウドサインのみが発行可能な電子署名が付与されますので、それにより真正な書面かどうかを判別することができます。ちなみに、電子署名の仕組みには、強固な暗号化方式によって守られている公開鍵暗号方式に基づくデジタル署名を採用しているそうで、この署名方法のみならず、契約書のやり取りにおいても安全性に配慮されているとのことです。 クラウドサインの導入は2万社を超えるクラウドサインのサービスは、インターネットに接続できるパソコンがあればすぐにでも導入できるため、非常に手軽であり、導入企業も既に2万社を超えています。企業内で契約書に関連する業務を一手に担っていた経験からすると、完全なペーパーレス、印紙税非課税、収納場所不要、というのは、かなり大きな魅力です。 他社サービスとの連携体制も充実また、他に注目されるべきポイントは、他社・他業種との連携です。管理系システムを新たに導入する企業にとっての障壁で最もよく見られるものは、既存システムとの統合可能性ではないでしょうか。クラウドサインは、業務管理系アプリケーション最大手のsalesforceやサイボウズとのAPI連携を実現しているため、そのような障壁を超えることができました。導入により、契約締結についての社内りん議と締結後の文書管理を既存システムで行い、その間の契約締結作業をクラウドサインで行うことが可能です。 他業種との連携例 ~株式会社 LIFULLの例~他業種との連携において最も注目されるのは、不動産情報サイトを提供する株式会社 LIFULLとの提携です。2017 年 10 月から、これまで対面が原則とされていた不動産契約における重要事項説明について、賃貸分野ではオンラインでの実施(IT 重説)が解禁されるなど、ICT を活用した業務効率化の動きが出てきています。両社は、賃貸不動産の選択・ウェブカメラ等による内見・IT重説・契約締結の全てをオンラインで行える不動産会社向けの電子契約プラットフォーム構築を目指して、業務提携しました。自宅にいながら不動産が借りられる時代が、もうすぐそこまで来ています。 まとめまだまだ始まったばかりの日本におけるリーガルテックですが主に民間主導でますます進展していくと考えられます。それとともに、従来士業の仕事と思われていた業務も、そう言ったリーガルテック企業のサービスにますます代替されていくことが当然予想されます。旧態依然としたところが多い法律業界に大きな風穴を開け、利用者への利便性がより向上することは歓迎されるべきです。同時に、士業にとってはますますチャレンジングな時代になったと言えます。  2018.07.13