• 次世代幹部育成やOKRでチャレンジする組織に変革

    これからの士業事務所経営には、職員と事務所が相互に成長をサポートする関係「エンゲージメント」が重要となります。今回は、職員が経営に参加する仕組みをつくり、〝挑戦する組織〟へと変革した社会保険労務士法人アドバンスの取り組みを代表の伴芳夫氏に伺いました。 組織を縦と横につなぎ〝多能工化〞を目指す社会保険労務士法人アドバンスでは、「職員一人ひとりがプロフェッショナルになる」というテーマを掲げています。以前は、労働保険や社会保険の手続きなど、特定の分野を深堀りする傾向にありました。しかし、IT化により手続き業務はなくなる可能性がありますし、限られた分野に強いだけでは時代の変化に対応しきれません。そこで近年は、〝多能工〞なプロフェッショナル組織を目指すようになりました。組織全体を横につないで連携し、縦と横に人材が混ざり合うことで生まれるシナジーを大切にしています。創業して30年以上経つ事務所ですから、20年近く勤めている職員も多く、平均年齢も高い。福利厚生も比較的充実していますし、働き方改革も積極的に取り組んでいますので、40名超の規模にも関わらず、ここ3年間は退職者ゼロです。一方で、昔ながらの風土が根強く残っていて、変化に対応できない部分もありました。そのマインドを変えてもらう必要があったため、2015年に私が代表に就任し、拠点を統合する2017年のタイミングで、職員に求める『5箇条』を掲げました。「コミュニケーションの徹底」「変化を絶やさない」「助け合いの気持ちを持つ」など、当たり前のことなのですが、改めて宣言したのです。職員も、この5箇条をスムーズに受け入れてくれました。それぞれが問題意識を持っていましたし、私が事務所を承継したことで、「自分たちの事務所は変わっていくんだ」ということを理解してくれていたのだと思います。 参加型組織をつくりチャレンジを仕組み化組織を変えていくにあたり、一番の課題は「チャレンジ精神を持つこと」でした。その取り組みの一つが、2019年から始めた部長の公募制です。それまでは、いわゆる文鎮型の組織だったため部長職を置いていなかったのですが、「自分が部門を変えたい」「チャンジしたい」という思いがある人に立候補してもらい、任せることにしました。勤続年数に関係なく立候補できますので、なかには自分より先輩たちをマネジメントすることになった部長もいます。また、組織全体を横断的につなぐための仕組みとして、4つの委員会を設けています。そのうちの一つである「ジュニアボード委員会」は、管理職ではない職員を集めて、各現場からあがったさまざまな改革のアイデアを検討し、決定、実現していく委員会です。一定の権限を付与することで、経営に参加する意識を持ってもらうことが目的です。もちろん、ジュニアボート委員会に参加している職員以外も、全員が常に改善意識を持つことが大事です。そのため、半年に1個以上改善のアイデアを出さなければ賞与がもらえないルールにしています。このルールも、特定の人しか意見を出さない現状を受けて、ジュニアボート委員会が決定したことです。ほかにも、有給休暇とは別に、誕生日などにアニバーサリー休暇を取得したら5000円支払われる制度なども、この委員会から生まれました。毎月10個前後のアイデアを話し合うので、変化のスピードはかなり早くなりました。経営陣の会議では、現場ベースで出てくる細かいアイデアは後回しになってしまいがちなので、意思決定が早くなった効果はすごく感じます。 OKRを導入して個々の目標を見える化職員一人ひとりのチャレンジに関しては、2020年からOKRを取り入れました。お客様に人事評価制度構築のサービスを提供しているのですが、正直なところ、自社ではそれほど評価制度の必要性を感じていませんでした。それは、文鎮型の組織で、私がある程度全員の状況を把握できていたことが理由です。しかし、部長職を設けたことで、彼らが部下を評価できるようにならないといけない。評価はマイナスの部分も見なければなりませんが、そうしたものよりも、目標を立てて、その目標に向かう姿勢にフォーカスを当てたい。それがOKRだったのです。OKRを始めるために、アックスコンサルティングの『MotifyHR』を導入しました。導入の決め手は、UI/UX(※)が良かったことと、毎月のエンゲージメントサーベイがあることです。OKRは、まず私が事務所全体のO(目標)を立て、部長に共有し、部門の目標を立ててもらう。それを、各職員が自分の目標とKR(成果)に落とし込んでいきます。そして、月1回の1on1面談で部長と進捗を確認しています。部長たちは、「OKRで目標が明確になり、1on1が効率的にできるようになった」「部下とコミュニケーションが取りやすくなった」と話しています。また、職員も、日ごろ不安に思っていることや自分のやりたいことを話す場ができたことで、意見やアイデアをよく出すようになったと感じています。エンゲージメントサーベイは、働きがいに関する調査ができるため、職員がどこに不満や不安を抱いているのかを可視化できます。当社の場合、全体的に評価は悪くないのですが、これまでは年功序列的な昇進だったこともあり、キャリアップの部分を低く評価する職員が多くいました。ここはこれからの課題として、キャリアパスを整えているところです。※UI/UX:ユーザーインターフェース/ユーザーエクスペリエンス。ユーザーの視覚に触れるデザインや、製品・サービスを通じて得られる体験のこと 士業事務所自らが顧客に誇れる組織になる当社は、スーパーフレックス制度や月曜〜土曜の間で好きな日を休みにできる選択休日制度などがあり、かなり働きやすい環境だと思います。さらに現在は、教育カリキュラムを整えて、個々の成長スピードを加速しながら、多能工化を目指しています。まずは、1年間でその部門の基本的な業務を覚えてもらえるようなカリキュラムをつくりつつ、希望者は閑散期に1週間程度、他部門の業務を経験する短期留学制度を取り入れています。また、クライアントのIT支援を行う株式会社を併設しているのですが、従業員はその株を買えるようにしているほか、若手社員を役員に抜擢しています。株主は利益が出れば恩恵がありますし、役員報酬をもらうためには株主の承認が必要です。経営的な視点を養うと同時に、チャレンジ精神のある職員のためのポストを用意し、将来的な幹部を育成しています。士業事務所はお客様をコンサルする立場ですが、実は自分たちはできていないことが多い。でも、もう〝先生商売〞は通用しない。自らが体現できている事務所にしか依頼は来ないと思っています。そのためには、早く一般企業と同じ土俵に乗ることが必要です。特に、私たち社労士が関わるHR分野は、まだまだブルーオーシャンで、規制緩和されれば大手の民間企業が参入してくる可能性も高い。そこに対抗できるようにしておくには、まず自分たちがクライアントに誇れる組織をつくることが重要だと考えています。※月刊プロパートナー2021年1月号より抜粋いかがだったでしょうか?『プロパートナーONLINE』は、士業のための「明日役立つ」記事やセミナー動画などオンラインのコンテンツに加え毎月1冊、士業専門雑誌「月刊プロパートナー」をお届けするサービスです。月額3,000円のサービスを今なら14日間無料でお試しいただけます。▼14日間の無料体験はこちらから▼ 2021.05.06
  • 業務効率化&高収益体質をつくる7つの「やらない」コトと4つのツールの活用方法とは?

    今回ののテーマは、「高収益体質をつくるための業務効率化」。FSG税理士事務所の藤田耕司先生が業務効率を上げるために「やらない」と決めていること、士業事務所が高収益体質に移行するために必要な考え方などをお話しいただきました。 最大の業務改善は所長の時間をつくること近い将来、パソコン内で完結できる単純作業は、テクノロジーによって自動化されていきます。技術の進化によって起こることは、低コスト化による相場の下落です。つまり、低コスト化できていない企業は利益が出ず、一方で年功序列的な人件費増が追い打ちをかけることになります。士業事務所も同様で、一件あたりのお客様にかける時間を減らし、低価格で受注しても利益が出る体質をつくると同時に、自動化されにくい高付加価値サービスをつくり、収益率を上げることが必要です。では、高収益な体質をつくるためにはどうするか?それは、「所長の時間を高収益率実現のための仕事に使うこと」です。高収益率を実現するための仕事、例えば戦略立案や新事業の創出、人脈づくりなどは、「緊急性は低いが重要性は高い」仕事です。所長の時間は、この仕事に割くべきですが、どうしても申告書などの作成やお客様との打ち合わせなど、締め切りの見える「重要性は低いが緊急性は高い」仕事に時間を取られがちです。そこで私は毎年、自分が何の業務にどれくらいの時間をかけたかを2週間分、 15分刻みで記録するようにしています。すると、自分がいかに雑務に追われているのかが見えて愕然とします。ですから、高収益率を実現するための仕事をする時間を先に予定表に書き込み、強制的に時間を確保するようにしています。そして、部下を育成してプレイヤーやマネージャーとしての自分の仕事を任せること、業務を効率化することが重要です。また、Chatwork、クラウド会計ソフト、スプレッドシート、Dropboxを活用しながら、「やらないこと」を決めました。例えば、訪問のための移動、仕訳の手入力、資料がぐちゃぐちゃの記帳代行、紙資料の郵送・整理などです。そして、業務効率化のもう一つのカギは、職員の意識の統一。業務を効率化すること、ITツールを使いこなすことについて意識の浸透が必要です。そのために重要なのが経営理念です。経営理念に沿った行動ができているかを随時フィードバックし、できていたら褒める、できていなかったら注意する。所長には、それをやりきる強いリーダーシップが必要なのです。士業は、お客様の経営参謀として、「今後、どういう会社にしていきたいのか?」「経営者としてどんな人生を歩みたいのか?」を聞き出し、お客様にとっての魅力的な未来を共有すること。そして、その未来の実現を支援するための事業の創出、専門業者との提携によるサポートが求められています。・自動化されにくい高付加価値サービスで収益率を上げることが必要・所長の時間を高収益率実現のための仕事に使うこと・ビジネスモデルに合わない仕事は「やらない」と決める・経営理念を浸透させて事務所一丸となって業務改善に取り組む※月刊プロパートナー2021年1月号より抜粋いかがだったでしょうか?『プロパートナーONLINE』は、士業のための「明日役立つ」記事やセミナー動画などオンラインのコンテンツに加え毎月1冊、士業専門雑誌「月刊プロパートナー」をお届けするサービスです。月額3,000円のサービスを今なら14日間無料でお試しいただけます。▼14日間の無料体験はこちらから▼ 2021.04.29
  • 【税理士替えたい110番】決算申告を依頼したら当初の見積りより高額な請求をされた

    顧問先の不満の声から、契約解消を防ぐヒントを紹介。今回は、見積りより多額に請求されてしまったために起きたトラブルです。 説明のない高額請求 もう信用できない......アパレルの会社を立ち上げて今年で3年目になります。自社ブランドも始動して業務自体は順調なのですが、従業員も少なく、会計業務まで手が回らないため、今年度は知人から紹介してもらった税理士に決算申告をお願いしました。最初はレスポンスも早く、融資や節税についての相談にも乗ってくれて、とても信頼していました。しかし、最終的に向こうから届いた請求が当初の見積もりよりもかなり高額で驚いてしまいました。高額になった理由を問いただしても、専門用語を並べるだけで、要領を得ません。紹介してくれた知人にも聞いてみたのですが、「たぶん相談料やオプションの費用が含まれているのではないか」などといいます。私がお願いしたのは決算申告だけで、それ以外の業務はお願いしていません。もし見積り以上の金額を請求してくるのであれば、料金が発生する前に報告してほしかったです。何度かやり取りをしたなかで、その旨もお伝えしたのですが、「支払ってもらわないと困る」の一点張りで、こちらが納得できる説明がないままです。不当な高額請求だとは思ったのですが、知人の手前、これ以上揉めたくなかったので、最終的には全額支払いました。弁護士に相談した方がいいのかとも思いましたが、時間もないため、泣き寝入りしました。業務はスムーズに進めてもらえたので、請求のことさえなければ顧問契約を結ぼうと思っていただけに、残念でなりません。これから会社を成長させていくには信頼できる先生を選びたいので、今後は別の税理士にお願いしようと思っています。 業務の範囲を明確に示し、追加料金は必ず事前に連絡をお客様は、税理士の業務内容をすべて把握しているわけではありません。融資や節税に関する相談に料金設定している場合は、無用なトラブルを避けるためにも、業務内容と受け持つ業務の範囲をあらかじめ決め、メニュー表を用意するなど、明確にしておく必要があります。また、受任したあとに揉めないように、メールや紙などで記録を残しておくと良いでしょう。イレギュラーな対応などが発生して見積りよりも料金が高くなってしまう場合には、お客様へ説明し、確認をとることも重要です。   ※月刊プロパートナー2021年1月号より抜粋いかがだったでしょうか?『プロパートナーONLINE』は、士業のための「明日役立つ」記事やセミナー動画などオンラインのコンテンツに加え毎月1冊、士業専門雑誌「月刊プロパートナー」をお届けするサービスです。月額3,000円のサービスを今なら14日間無料でお試しいただけます。▼14日間の無料体験はこちらから▼ 2021.04.22
  • 高品質のサービスを安定して提供する極意とは?

    拡大する相続市場で士業事務所に求められるものは何なのか?いま注目の税理士・島根猛氏が相続のトップランナーたちと語り合う特別対談企画です。資産税特化で拡大し、 現在では100名以上の職員を有する税理士法人深代会計事務所の深代勝美氏、花島宣勝氏と、高次元でクオリティを維持するための社内教育について話します。 法人・資産税部門を超えた協力体制がカギ花島宣勝氏、以下:花島2020年は新型コロナウイルス感染症の影響で、4月から2カ月弱はお客様の所へ訪問することができませんでした。深代勝美氏、以下:深代ラインツールも導入しましたが、 それでも限界があります。ただ、 緊急事態宣言の解除後は、少しずつ訪問を再開できるようになってきました。もちろん、感染対策を講じつつですが。島根 猛氏、以下:島根私のところも同じです。やはり直接お会いしないと話せないことも多いですしね。花島 相続では遺産分割協議などもあるので、皆様に集まっていただかざるを得ないですから。深代 相続に関しては、コロナ前からですが、 新規の金融機関や不動産業者との取引が増えてきていますね。  要するに相続というものを皆さんが真剣に考えるようになってきた。  専門的な知識を持っている会計事務所との仕事を  希望されている潮流のようなものは感じています。花島 昔は個人のお客様が中心でしたが、  最近では法人のお客様からの相談も増えていますね。島根 わかります。私のところも金融機関や不動産の仲介会社、 ハウスメーカーとの取引が中心です。  不動産の仲介会社であれば、支店に電話をして、  営業担当者と一緒にお客様のところへと足を運んで  ご挨拶をさせていただくというところから始まります。深代 弊社は基本的に受け身のスタイルでやっていまして、営業部門もないんです。  「仕事は取りに行かない」というのが事務所の方針でして、  お客様からご紹介いただいて、間接的に広がっていくことが多いですね。花島 受け身なので実際にお客様と話してみないとどんな仕事になるかは分かりません。  法人化や遺言書づくり、確定申告まで、  会計事務所ができることは何でもやるというスタンスです。  弊社は資産税部門と法人部門に分かれているのですが、  例えば法人部門の担当者が顧客の不動産管理会社に話を聞きに行ったら、 実は相続の相談だったということもある。  そうなると、資産税部門の出番になるわけです。島根 なるほど、仕事を受けてから各部門に割り振るのですね。花島 さらに今は法人部門が5部まであるので、 仕事をもらってきたときに全体の仕事量を見て割り振り、 偏りが出ないようにしています。深代 完全には分かれていないというか、 資産税部門でも法人の確定申告を手伝ってもらったり、  逆に法人部門の担当者が付き合いのあるお客様の相続を担当したりもします。  お客様も馴染みの担当者が対応してくれる方が助かるはずですから。 チェック表と記録簿でクオリティを担保島根 深代先生のところは、売上高の数字目標を設定しないとお聞きしました。深代 そうですね、こなしてほしい件数などは指標として伝えていますが、  売上高については設定していません。花島 おかげさまで業績も悪くないので、掲げる必要はないと思っています。  全体的に業務は多いのですが、部門をまたいで流動的に仕事を割り振れば対応できる。  同時に、仕事自体の質は300項目ほどあるチェックリストを使って担保するようにしています。深代 相続業務も細かい要点も記載した 独自のチェックリストを活用することで高い品質を維持でき、   お客様に安心感を持ってもらえていると思います。花島 社内にチェックリスト委員会がありまして、年に1回更新を行うんです。  過去のミスや税務調査で指摘されたことなどを盛り込んで、  バージョンアップさせています。島根 規模が大きくなると、  高次元でクオリティを維持するための標準化の体制は重要になりますよね。  私のところは今、正社員と派遣社員を入れて3人で回しているので、  まだチェックリストは必要ありません。  相続の場合だとヒアリングのときにすべて書き出しますし、  これまでに500件以上の相続問題を担当してきたので、  レベルの低い仕事はしていないと思っているのですが。深代 なるほど、島根先生の経験が質の担保になっているわけですね。 確かに相続案件は経験がものを言う場合もありますから。 経験を積むことはとても大切です。島根 あと、細かい業務は社員がやりますが、 最終的にはすべて私がチェックしているのも、質の担保につながっていると思います。花島 そうなんですね。弊社でも担当者のほかに、上司と審査部がチェックしています。 もちろん、実務的な動きに関しては、ある程度、担当者に一任しています。島根 担当者がヒアリングからお客様に関わるということですよね。  とても素晴らしいですね。それを上司がフォローするイメージでしょうか?花島 そうですね。 例えば、お客様にマストで聞くことなどもチェックリストの項目に入っていて、  それを上司が毎回、確認していきます。  また、お客様との打ち合わせ後は、どんな話をしたのかを複写の記録簿に付けてもらって、  1枚は上司に、もう1枚はお客様に渡します。  お客様にとってはそれが議事録代わりになりますし、上司にとっては報告書になる。 それを確認することで、次回にプラスαで聞くことなどを指示できるというわけです。深代 お客様にも「今回はこういうご説明をしました」ということが記録に残るので、 やりとりも遡ることができて好評なんです。島根 お客様と事務所の双方で記録簿を保管することで、  過去のやりとりの記録を遡ることができますね。  細やかなチェックリストと 記録簿があれば、  経験が浅くても安心して業務を遂行できる体制になっているんですね。 知識が身につく研修で未経験でも実務に対応深代 弊社は新卒も採用しますしもともと会計事務所にいたけれど、 資産税を手掛けたことがないという人にも来てもらっています。花島 まず、入社1年目に行う研修では、簡単な仕訳や消費税、  不動産収入の明細の見方など、すべてを教えるんです。  それも長いスパンではなく、 2〜3週間で学び、あとは実務で経験を積んでもらう。  1〜2年経つと、仕訳が完璧に理解出来るようになるので、  そこからは資産税研修を別で行います。 新卒でだいたい3年目から、  資産税が未経験の中途社員は、入ったときから受けてもらいます。深代 この研修に関しては、外部講師ではなく、近くの先輩が教えるようにしています。  教わる立場の人に近い人が指導するのがいちばんだと思うんですよ。 島根 確かに年次の近い先輩が、  自分自身がつまずいた要点を踏まえたうえで指導するのはとても効果的ですよね。  研修は教育テキストがあるのでしょうか?花島 あります。相続税の基礎知識、土地の評価、非上場株式、  法人シミュレーション、遺言書の5つが基礎として、  これを実務と行して学んでもらいます。  同時に月に数回ですが会議の前に勉強会なども行っていて、  法改正があったときなどは、私や深代が講師になって教えたりもしますね。深代 全部を外部に任せることもできますが、  やはり内部で行うことで意思統一もできるし、全体の能力も把握できる。  個人のレベルアップにもつながっていくことなので、そこは力を入れていますね。島根 社員のレベルは顧客の満足度に直結しますからね。  結局、どれだけお客様のニーズに応えられるのかが重要なのだと思います。 私も経験しましたが、こちらの仕事に満足していただければ、 何年も前に担当したお客様から連絡が来ることもありますから。深代 おっしゃる通りです。これからの会計事務所に求められているのは、 小さな相談でも対応できる柔軟性だと思っています。  「ここに相談すれば安心だ」と思ってもらえることが、  生き残るうえで大切なのではないでしょうか。島根 そうですね。相続は次の世代へのバトンのようなもの。 お客様の記憶に残る仕事ですから、 満足していただけるよう柔軟な姿勢が大切です。 花島先生、深代先生、 ありがとうございました。ー 対談を終えて ー100名を超える職員全員の知識の底上げや、業務の標準化が確実に行われていることに大変驚きました。また、職員の方の事務所や業務に対する満足度が高いことが、結果として、お客様へ質の高いサービスを提供することに繋がるということを、今回お話をお聞きして改めて実感しました。社員研修や社内体制など、私がこれから組織をつくっていく上で、参考になる事がとても多く、組織運営方法について大変勉強させていただきました。(島根氏)※月刊プロパートナー2021年1月号より抜粋いかがだったでしょうか?『プロパートナーONLINE』は、士業のための「明日役立つ」記事やセミナー動画などオンラインのコンテンツに加え毎月1冊、士業専門雑誌「月刊プロパートナー」をお届けするサービスです。月額3,000円のサービスを今なら14日間無料でお試しいただけます。▼14日間の無料体験はこちらから▼ 2021.04.15
  • 遺贈寄付を広めて思いとお金を循環させる

    開業以来、相続専門の司法書士として活躍する三浦美樹氏。現在は、一般社団法人日本承継寄付協会の代表理事として、遺贈寄付の普及にも尽力しています。これまで士業が踏み込んでこなかった遺贈寄付に注目した理由や、遺贈寄付を広める活動について聞きました。 お客様の最期の遺志をお金に乗せて届ける一般財団法人日本継承寄付協会は、遺贈寄付を中心に、さまざまな承継方法を支援する窓口です。遺贈寄付とは、亡くなった時に残った財産の一部または全部を、遺言などによって非営利活動法人をはじめとする団体に寄付すること。遺言書に「どこどこに寄付します」と1行追加するだけで、自分の思いをお金に乗せて届けることができるのです。いわば、人生最期の自己表現です。私たちは、そのための遺言書作成や寄付先選びのお手伝い、士業の先生のご紹介などをしています。私が日本承継寄付協会を立ち上げようと決心したのは2019年7月15日。その日、たまたまお寺に行ったのですが、「私が今こうして生きていられることは、先人たちの努力の結果なんだな」と感謝の気持ちがすごく湧いてきて、「私も困っている人に何か手助けをしたい」と思ったのです。私は司法書士として開業してからずっと、相続を専門にしています。相続は非常にやりがいのある仕事ですが、お金が絡むことなので、ドロドロとした部分もあるのが現実。相談に来られるお客様のなかには、「子どもに財産を全額は継がせたくない」「子どもがいないから財産をどうしたらいいか」と悩んでいる方もいます。その方たちに遺贈寄付という選択肢を提案できれば、お客様のためになるのはもちろん、困っている人たちの助けにもなると考えました。そこで実際にお客様に提案してみたところ、お客様の目が輝いたのです。その表情をみて「これだ!」と確認しました。自分が亡くなった時のお金の行き先を決めておくことで、「誰かの役に立てる」と思いながら、残りの人生を豊かに過ごせる。遺言書をつくったことで変わる未来があるのは、すごいことだと思うのです。そこから約1年間、寄付に関する勉強や、寄付を受ける側の活動内容調査、遺贈寄付に関する市場調査を行いました。そして、多くの司法書士や税理士の先生、企業の協力のもと、2020年9月11日に遺贈寄付調査結果報告のリリースを出すことができました。 認知度が低い理由は寄付に対する誤解遺贈寄付に関する調査をするなかで、多くの人が誤解していることが見えてきました。まず一つは、「遺贈寄付はお金持ちが行うことだ」という誤解。私たちの調査では、45.7%の人がそう回答しています。また、相続の専門家へのアンケートでも、遺贈寄付の遺言書を作成する際、寄付の最低金額は100万円という人が多くいました。寄付先に聞いても、100万円以下の寄付での問い合わせは少ないそうです。ですが実際は、寄付金額は5万円でも10万円でもいいのです。次に、「老後資金がなくなってしまうのではないか」という誤解。寄付に興味はあっても、老後の医療費や生活費が不安でためらう人が多いという現状がわかりました。しかし、遺贈寄付は亡くなったあと、最終的に残った資産のなかから行います。遺言書に金額を書いたからといって、絶対にその金額を寄付しなければいけないわけではないので、老後資金への影響はほとんどありません。そしてもう一つ、遺贈寄付が認知されてこなかった要因は、「寄付をビジネスにしてはいけない」という風潮にあると思います。日本ではなんとなく、寄付が〝聖域〞になっている気がします。でも、寄付を必要とする団体にお金を届けないと、困る人が大勢います。できるだけたくさんのお金を回すためには、社会貢献とビジネスを両立して、みんなが参入できるようにすることが大事です。実際、私たちの調査では、2割の人たちが「遺贈寄付に興味がある」と答えています。一人ひとりは少額だとしても、この人たちが遺贈寄付を行えば、未来の社会に大きなお金が流れることになります。「思いやりが循環する社会へ」。これが、私たちが掲げる理念です。この理念を実現するためには、信頼性が高く、法務や税務の専門知識があり、中立な立場で相談を受けられる人が必要で、それこそが士業なのです。 士業が窓口となり思いやりを循環させる日本承継寄付協会では、遺贈寄付の相談窓口となる『承継寄付診断士』を増やすため、士業などの相続の専門家を対象に研修会や認定講座を開催しています。9月に開催した講座には、約90名もの参加者が集まりました。参加した方からは、「やりがいのある仕事が見つかりました」「自分の残された人生をこの仕事に使いたい」といった感想をいただいて、多くの方に興味を持っていただける手応えを感じました。また、私自身、この活動を始めてから感じていることは、「遺贈寄付の提案をすると経営者から〝モテる〞」ということ。経営者は、「人を喜ばせたい。社会のためになることをしたい」という気持ちが強い方も多く、遺贈寄付という方法があること、寄付を通じて次の世代に何を残すかということを話すと、とても興味を持たれます。ですから、この資格をそういった経営者と接点を持つきっかけになると思っています。経営者との接点が多い士業が窓口となることで、より多くの方の「人の役に立ちたい」という思いを叶えられるのではないでしょうか。何より、お金だけではない価値を提供できることが、私たち自身のやりがいにもつながります。実は、9月13日は『国際遺贈寄付の日』。2020年には、日本でも初めて『遺贈寄付ウィーク2020』というキャンペーンが開催されました。しかし、遺贈寄付はまだまだ知られていません。まずは認知度を高めることが必要です。私自身も積極的にメディアに出るなどして、広報活動に力を入れています。また、今後は経済界で活躍されている方たちとも連携して、教会の理念を広めていきたいと考えています。そして、私たちの理念に共感してくださる士業の先生たちとともに、思いやりが循環する社会を作っていきたいと思います。 ※月刊プロパートナー2021年1月号より抜粋いかがだったでしょうか?『プロパートナーONLINE』は、士業のための「明日役立つ」記事やセミナー動画などオンラインのコンテンツに加え毎月1冊、士業専門雑誌「月刊プロパートナー」をお届けするサービスです。月額3,000円のサービスを今なら14日間無料でお試しいただけます。▼14日間の無料体験はこちらから▼ 2021.04.08
  • 【日本経済と会計事務所の未来を考える】会計の力で企業と地域を守る税理士たちの新たな挑戦とは?

    地域の企業を活性化するため、神奈川県にある5つの会計事務所が共同出資して設立された株式会社みらい会計コンサルティング。中小企業を救う新たな取り組みについて、代表の小久保忍氏と、同社に参画する株式会社日本M&Aセンターの金子義典氏に聞きました。 会計事務所の役割は健康診断と健康管理株式会社みらい会計コンサルティングは、神奈川県内の5つの会計事務所が共同出資して、2020年10月に設立されたと聞きました。かなり珍しいケースだと思いますが、設立の目的や経緯を教えてください。小久保氏:もともとの発端は、今回参画した事務所が皆、日本BIGネットワーク(以下、Ja-BIG)の会員だったことです。Ja-BIGは、管理会計の仕組みである『未来会計』を推進しています。私たちはその一環として、8年ほど前から共同で『後継者育成塾』を開いていて、職員同士の交流もありました。そこで、「もっと連携して何かできないか」という声が職員からもあがっていたのです。未来会計は中小企業に寄り添って支援するために必要ですが、事業化できている会計事務所が少ないのが現状。そこで、「事業化できる事務所を増やしたい。そのために営業会社を立ち上げて、仕事を受けたら各事務所で業務を委託しよう」という話になりました。金子さんは、どのような経緯で参加されたのでしょうか?金子氏:実は、私も似た構想を持っていました。私は、「地域の中小企業を総合的に支援できるのは会計事務所しかいない」と思っていますが、実現できている事務所は多くない。だから、「地域に貢献したい」という使命感を持つ会計事務所が深く連携して企業をコンサルティングするのが良いのでは、と考えたのです。それを小久保先生に伝えたら、「ちょうど同じような構想がある」ということで、参加することになりました。小久保氏:運命ですね(笑)。さらに、金融庁の日下智晴さん(地域金融生産性向上支援室長兼地域金融企画室長)にもアドバイスしていただいています。金融庁は、地域の金融機関に対して、企業にお金を貸すのではなくて資本支援をすることや、経営者保証なしの融資を浸透させることなどを方針として掲げています。その際、まずは実行部隊として私たち会計事務所が企業の〝健康診断〞をする。そして、金融機関と連携して債務超過にならないようにサポートしながら、企業価値や生産性を上げる〝健康管理〞を行なっていく。そうすることで、M&Aなどの出口戦略も描きやすくなります。 今こそ、会計事務所の真価が問われる少子高齢化や後継者不足、コロナ禍と中小企業はますます厳しい状況に置かれています。これから会計事務所はどんなことに取り組むべきでしょうか?小久保氏:コロナ禍により借入れ過多になった企業は多くありますが、返済を先送りにすることを考えるだけではいけません。会計事務所が金融機関と連携し、未来に残す価値のある事業を選択してサポートしていくことが必要です。価値のある事業とそうでない事業を整理整頓し、一人当たりの生産性が向上すれば、少子高齢化でも豊かな社会がつくれると思います。金子氏:2021年は、そういう意味でも、会計事務所の存在価値が問われる年になると考えています。経営に踏み込んで、企業を守り、地域を守れる事務所になれるかどうか。そのためには、まずは会計事務所自身が収益を上げることが必要です。テクノロジーを活用して定型業務を効率化し、コンサルシフトする。金融機関や専門業者と連携して顧問先を幅広くサポートするなど、会計事務所の価値を高めることが重要だと思います。小久保氏:みらい会計コンサルティングは、経営理念の一つに「会計業界を魅力ある業界へと導いていく」と掲げています。魅力ある業界には、優秀な人材が入ってくる。 そうすれば、さらに多くの企業を守れます。私たちのような取り組みが全国に広まっていけば、きっと、日本経済を救えるはずです。※月刊プロパートナー2021年1月号より抜粋いかがだったでしょうか?『プロパートナーONLINE』は、士業のための「明日役立つ」記事やセミナー動画などオンラインのコンテンツに加え毎月1冊、士業専門雑誌「月刊プロパートナー」をお届けするサービスです。月額3,000円のサービスを今なら14日間無料でお試しいただけます。▼14日間の無料体験はこちらから▼ 2021.03.31
  • 顧客と職員に選ばれる成長事務所の人事制度とは?士業事務所の 給与・評価を徹底解説!

    今回のテーマは『士業事務所の人事評価制度設計の基本』。人事領域のコンサルティングを数多く手がける社会保険労務士法人ビルドゥミー・コンサルティング代表の望月建吾先生が解説します。 「他社水準」ではなく 自社の適正報酬単価を士業事務所の人事制度・賃金制度設計で重要なポイントは3つ。従業員に支払いたい年収額に応じた報酬単価、賃金バンドに込めたメッセー ジ、何を可視化するのかの決定です。一つ目の単価設定は非常に重要です。まず、みなさんは顧客に提供しているサービスの価格をどのように設定していますか?同業他社の価格をリサーチして、同等・もしくは単価を落とした設定にしているケースがあるかもしれません。しかし、他社水準に引っ張られすぎると、必要工数に対する単価の考え方が破綻し、従業員に支払いたい年収額を捻出できなくなるほか、十分な役員報酬を確保できない、やってもやっても法人利益が残らないなどの悪循環なリスクを孕んでしまいます。なぜなら、他社の水準が適正報酬額であると言い切れないためです。解決のポイントとしては、法人利益として確保しておきたい適正な利益率を決めて、予めその額を捻出する想定で人件費率の適正割合を設定すること。他社のサービス価格を水準にするのではなく、従業員に支払いたい年収額から逆算して、担当者のレベルに応じた単価を決めることです。例えば、売上に対する理想の割合は、営業利益10%以上、実務担当者人件費率が34%、営業マン、間接営業部門の人件費が各8%、事務所の賃料、そのほか諸経費で20%ほどという具合に、です。また、実務担当者の時間当たりの業務単価を正確に算出しておくことも重要です。これをしない限り、業務改善の成果が曖昧になるので必ず算出しておくようにしましょう。次に、賃金バンドの長さです。これは、〝どのグレードに長く滞留してほしいか〞という事務所代表のメッセージでもあります。つまり、各等級の賃金バンドの長さやほかの等級と重なる部分が、従業員に支払いたい年収額や従業員の昇格イメージと合致しているかということです。例えば、新卒からの3年間は一人前に育つ修行期間だから、その等級には3年であるとか、次の等級はより上位の等級のため4年程度で昇格してもらいたいといったメッセージを込めたバンドにするのです。また、人事制度・賃金制度の「何を」可視化するのかをよく考えて決めてください。評価の基準なのか、処遇のしくみなのか、評価のルールなのか。もしかしたら、従業員の望む可視化とは違ったものになるかもしれません。これは他社を真似てもいいとは限りません。代表の先生がよく考えて決めてください。制度設計の前にまずは、提供するサービス報酬額の利益割合を決めることが重要です。・提供しているサービス価格の設定を今一度見直してみる・他社水準に引っ張られすぎると従業員に支払いたい年収を捻出できなくなる恐れも...・入社した従業員をどのくらいの期間でプロモーションしていくか設定しておくこと・給与と評価は腹落ちすることが大切!各等級の役割責任の基準など可視化させておこう   ※月刊プロパートナー2020年12月号より抜粋いかがだったでしょうか?『プロパートナーONLINE』は、士業のための「明日役立つ」記事やセミナー動画などオンラインのコンテンツに加え毎月1冊、士業専門雑誌「月刊プロパートナー」をお届けするサービスです。月額3,000円のサービスを今なら14日間無料でお試しいただけます。▼14日間の無料体験はこちらから▼ 2021.03.25
  • すでにあるコミュニティに 〝あやかる〟ことで支持される

    withコロナ/afterコロナといわれるなか、ニューノーマルな働き方をはじめ、人びとの価値観や考え方は大きく変化しています。VUCA(ブーカ/変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)の時代を生き抜くために必要な能力を日向崇文氏が解説! キーワード①あやかる力既存のコミュニティのエネルギーを借りる現在は価値観や理念でつながり、安心感を感じられる〝集落の時代〞です。また、キャラ経済のなかでは〝ファンをつくる〞ことがポイントです。では、自分のファンが集まる集落(コミュニティ)をつくろうとするとき、どんな力が必要なのでしょうか?大きく二つに分けて考えてみましょう。一つ目が、〝あやかる力〞。すでにあるコミュニティのエネルギーを拝借するということです。あらゆる人が情報発信できる時代に、何のコミュニティも持たない人がSNSなどでゼロから発信しても、なかなか届きません。まずは、交流会などのリアルでのコミュニティはもちろん、SNSのグループやオンラインサロンなど、すでにできているコミュニティに属し、そのなかで認知され、支持を集めてから自分のコミュニティをつくる方が効率的です。この際、気をつけるべきは、「あやかることと利用することは違う」という点です。有名な人の名前だけを利用しようとしたり、自分だけが利益を享受しようとする人は、安全・安心を価値とするコミュニティには合いません。あやかるときには、コミュニティのメンバーにリスペクトを持って接していること、皆のメリットにつながる活動や言動をしていることが大前提となります。 キーワード②明るさは優しさ相手のための明るさが大事コミュニティにおいて必要な二つ目の力は〝明るさ〞です。コミュニティで活動する際や共同でプロジェクトを動かす際に、暗い人が求められることはあまりありません。個の時代においては、目標達成に向けて自分の役割を果たすため、スキルが重視されていましたから、「能力さえ高ければ許される」ということもありました。しかし、コミュニティで重視されるのは人柄です。例えば、暗い人と話しているとき、「もしかして、私が何か失礼なことをしてしまったのだろうか?」「嫌な思いをしているのではないだろうか?」と不安を感じたことはありませんか?暗いというのは、それだけで相手に必要以上に気を遣わせてしまいます。つまり、〝優しくない〞のです。もちろん、明るく振舞うことが苦手な人もいると思います。でも、明るさはドレスコードのようなもの。コミュニティにおいては、相手のために明るく振舞うことが必要なのです。 キーワード③自責思考と他責思考コントロール可能な部分にフォーカスする私たちはさまざまなコミュニティに属しています。会社やSNSはもちろん、大きくは自治体や国など。そこで多くの人と協力しながら物事を進めるわけですが、成果を出している人に共通するのは、〝自責思考である〞ことです。これは捉え方を間違えると、「なんでも自分のせいにした結果、精神的に疲れてしまう」という場合があるので、部下にアドバイスする際などは気をつけてください。自責思考とは、自分のせいにすることではなく、「自分でコントロールできるところにフォーカスすること」です。例えば、自分の年収が上らないことを政治のせいにして批判しても、そこに対してできることは「投票に行く」くらいです。それより、批判している時間を勉強やスキルアップに充てた方が年収アップにつながります。ただ、自責思考と他責思考のバランスは、意外と難しいものです。そこで、上記の図のようなカテゴリーで考えるとわかりやすいのではないでしょうか?①や②は自分でコントロールできることなので、勉強をしたり習慣を変えたり、相手へのフィードバック方法を変えたりすることで改善できます。自分でコントロールできないことに力を注いでも疲弊するだけで大して成果を得られない場合がほとんどです。まずは自分にできる範囲から取り組んでみるのがおすすめです。  ※月刊プロパートナー2020年12月号より抜粋いかがだったでしょうか?『プロパートナーONLINE』は、士業のための「明日役立つ」記事やセミナー動画などオンラインのコンテンツに加え毎月1冊、士業専門雑誌「月刊プロパートナー」をお届けするサービスです。月額3,000円のサービスを今なら14日間無料でお試しいただけます。▼14日間の無料体験はこちらから▼ 2021.03.18
  • 人間力の高い人材を育成 組織力で成長を目指す

    開業から6年でグループ含めて50名超規模に急成長したスタートアップ会計事務所。組織の育成とWebを活用した集客・マーケティング戦略について代表の大堀優氏に聞きました。 レッドオーシャンの分野で基盤づくりに没頭2015年に開業して6年目の現在、会計事務所だけでなく社会保険労務士事務所も設立したことで、スタートアップを中心に、資金調達、節税など税務だけでなく、社会保険や助成金申請、就業規則といった、人事労務面までワンストップで支援できることを強みに成長してきました。これも、お客様の満足度を最大限導き出すために、職員が一丸となって同じ目線で業務を着実に行ってきた結果だと実感しています。数社を前事務所から引き継がせていただき、職員3人と私の4人でスタートしましたが、目の前のことに必死で当時は事業計画など立てられませんでした。その経験から学んだことは、創業当時に小手先の事業計画を立てたところで、軌道に乗るまではうまくいかないことのほうが多いということ。ある程度軌道に乗った段階で、その後の事業方針や成長速度が見えてくるので、そこから2年後、3年後の計画を立てるほうが実現しやすくなります。私も一年目はまず、既存のお客様の仕事を丁寧にこなしたことで紹介をいただくことができ、顧問先を100社ほどに増やすことができました。 事務所の成長の軸が職員の採用&育成と確信転機になったのは、開業二年目にある起業塾で税務部門の講師を務めたことでした。塾生からの依頼で、1、2ヶ月で顧問先が50社ほど急増したのです。また、当時は大手会計事務所の導入が少なかったクラウド会計ソフト「freee」を導入していたことも要因でした。「freee」のターゲットは中小企業だったので、スタートアップ企業支援との相性もよく、また、早い段階で実績を積むことができたおかげで、大手と競合することなく紹介をいただけて、資金繰りも潤滑に進めることができました。開業一年目で100社、二年目で200社とクライアントを順調に増やしていくなかで、私が重要視したのが「採用・育成」でした。採用に関しては、案件数が増えたことで仕事を回すことが得意な人物をもともと採用していたのですが、10名規模になった頃、スキル重視の人材ばかりが集まっては、会社として同じ方向を向いて走れないと考えたのです。とはいえ、 内面を重視し、スキルや経験の少ない人材ばかりを採用しては案件を多く持つことはできません。ですが、このタイミングで「能力より人柄」を重要視し、「事務所の変化に柔軟に対応できる」「周りを巻き込み、協力して最後まで業務を遂行できる」「お客様だけでなく、すべての人のために働ける」ことなどを採用基準に設定。採用した人材をしっかり育成していく体制をつくることで、将来マネージャーとして次世代を担う人材が育つよう改革したのです。マネージャーの育成に関しては試行錯誤の連続でした。自身が業務に忙殺されている間に職員が退職していった経験から、理念や理想を共有するために必ず月1回の全体ミーティングを実施。その場で会社の目的を達成するために「当事者意識を持つ」「他責にしない」「自己犠牲の精神」「協力して壁を乗り越える」といったことを全職員に向けて発信しています。さらに、週1回のマネージャーミーティングでは、求心力を向上させるための話や参考書籍を渡し、私の考えを共有するようにしています。そんな取り組みの表れなのか、現在では事務所の文化づくりの一環として社内にさまざまな委員会があり、チームの垣根を越えた横のつながりも生まれています。 Web戦略に注力しながら事務所スケールを拡充事務所が成長していく過程で、もう一つ重要視していたことが「集客のためのマーケティング」でした。オウンドメディアやSNSを活用したWebでの集客は、予算に余裕があれば、リスティング広告やSEO対策で自社メディアへの流入経路を確保できます。開業一年目は予算もなく、大手に勝てないと実感したので断念。しかし、三期目に突入すると、ある程度マーケティング予算を確保できるようになったこともあり、2018年7月に、オウンドメディア『カピバラでもわかる起業』をスタートさせました。その際、専属のライターを雇用し、半年間は基本的な知識を得るための研修を受けてもらいました。現在は毎月4本の記事をアップ。集客効果として、月5件ほどサイトからの問い合わせがあります。オウンドメディアの目的は集客だけにとどまりません。〝自社メディアを保有している=信頼がおける事務所〞というブランディングのほか、採用面接の際に求職者のほぼ全員が自社採用メディア『ST場(スタバ)』を閲覧してから来社してくれることで、採用のミスマッチ防止にも役立っています。組織を大きくしたうえで、スタッフ全員が理念や文化を共有し同じ方向を向いていれば、例えばコロナのような外敵要因で危機になったときでも、一丸となって乗り越えられると確信しています。 ※月刊プロパートナー2020年12月号より抜粋   2021.03.11
  • 【日本経済と会計事務所の未来を考える】今こそ会計人が中心となり中小企業を支えるとき!

    近年、企業の成長戦略としても活況を見せていたM&A。コロナ禍を機に、どのような変化が起きたのか?また、多くの企業の「出口戦略」に携わってきたスペシャリストが考える会計事務所の役割とは?株式会社日本M&Aセンターの金子義典氏に聞きました。 リスク分散のために多角的なM&Aが増加コロナ禍を機に、相談を含めてM&Aの件数は増えています。理由の一つは、今後の経営への不安。先行き不透明な経済状況のなか、「自分の経営力で会社を継続できるのか」「後継者にこのまま引き継いでいいのか」と考える経営者が増えているのです。一方、会社を存続させるためのM&Aにも変化が起きています。以前は、企業の成長速度を早めるため、同業や類似業種の企業をグループ化するM&Aがメインでした。しかしコロナ禍により、事業ポートフォリオの拡充、事業の多角化を目的にしたM&Aが増えています。これは、一つの事業や一つの顧客に依存していると、想定外の事態が起きたときに売上90%減のような大きなダメージを受けると実感したためです。実際に、駅前限定で出店していた飲食店が郊外でレストランを展開している企業を買収する、アパレル会社が日用雑貨を扱う会社を買収するなど、これまであまり見られなかったM&Aが増えはじめています。 出口戦略の支援はまだまだ足りない2025年には、中小企業の経営者の約64%が70歳以上になるといわれています。そのため、後継者がいる118万社に向けて、2018年から事業承継税制の特例措置が始まりました。また、後継者のいない127万社に対しても、マッチング支援の強化や第三者承継促進税制の創設など、国をあげて抜本的な改革が進められていて、10年間で60万社の第三者承継実施を目指しています。ところが、事業承継税制の特例措置を活用するために必要な特例承継計画の2019年度の申請件数は約3800件。2019年のM&A件数は約4000件。どちらも圧倒的に足りていません。株式会社日本M&Aセンターでは、日本M&A協会というネットーワークで全国の会計事務所と連携し、M&Aの支援をしていますが、会員数は約900事務所。60万社の中小企業をサポートしていくためには、まだまだ少ないのです。 中小企業を救うのは会計人のコンサルシフトここで立ち上がるべきは会計人の先生方だと思っています。もっとも経営者から信頼されていて、公平公正かつ客観的立場で経営のサポートができるのが、会計人だからです。そのためにまずは、経営者へのヒアリング、経営相談が入り口になると思います。企業がこれから先も成長を目指すのであれば、経営計画の策定はもちろん、経営通りに進めるためにはどんな手を打つべきかの選択・決断のサポートをする、経営計画のマネジメントが必要です。そして、経営者が選択・決断をするためには、管理会計に踏み込むことが重要です。どの部門、どの時期、どのサービスが利益を上げていて、どこを改善すべきかを数字で出す。コロナ禍で当面の資金繰りを支援している今こそ、会計事務所が資金繰りだけではなくコンサルティングにシフトしなければ、日本の経済は縮小する一方です。借りた資金をきちんと返済していくためには、どのような計画が必要なのか?経営者が真剣に危機と向き合ったタイミングだからこそ、今後の戦略を話しやすいと思うのです。そのコンサルティングのなかでM&Aやそのほかの専門知識が必要になれば、専門業者と連携していただく。先生方が中心となり、さまざまな専門業者と力を合わせて中小企業のサポートしていくことで、日本の経済を救えるのではないでしょうか。 ※月刊プロパートナー2020年11月号より抜粋 ★【先着20名様】「書籍」特別プレゼント★事業承継対策やM&A支援にご関心をお持ちの方に朗報です!先着20名様限定で、人気書籍『M&A思考が日本を強くする JAPAN AS NO.1をもう一度』をもれなくプレゼントします!プレゼントをご希望の方は下記の申込フォームより必要事項を記載の上お申込み下さい!↓↓↓  2021.03.04
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