• 「人事制度の7割は等級制度で決まる!」士業事務所の給与・評価をコンサルタントが解説。

    職員の定着・育成には、公平感や納得感のある人事評価制度の構築が重要です。なかでも、最も重要といえるのが「等級制度」。では、専門スキルが求められる士業事務所において、どのような等級制度が有効なのでしょうか?制度構築のポイントを、コンサルタントが解説します。 同時並行型の等級制度でキャリアを可視化する人事制度は大きく、「等級制度」「評価制度」「報酬制度」に分けられますが、7割が等級制度で決まるといっても過言ではありません。職員のキャリアを可視化し、事務所の方針に対して頑張っている人を正しく評価するためには、基準となる等級制度が必要だからです。評価制度は、あくまでこの基準に基づいて評価するための手段でしかありません。また、報酬制度は、給与の原資や昇給のルールを決めれば、あとは等級に当てはめて適正な額を決めていくだけです。私が人事制度のコンサルティングを行う際も、最も時間をかけるのが等級制度の作成です。特に士業事務所の場合、実務スキルをレベルアップしていく「ジョブグレード」と、マネジメント能力をレベルアップしていく「マネジメントグレード」の2軸を同時並行で動かす等級がおすすめです。同時並行型の特徴は、①管理職を目指す②スペシャリストを目指す③プレイングマネージャーを目指すという3つのコースを選べること。専門スキルが求められる士業事務所では、スペシャリストを望む職員が多くいます。また、小規模な事務所では、管理職をマネジメントに専念させるより、プレイングマネージャーとして活躍してもらう方が現実的です。同時並行型の等級制度は、管理職、スペシャリスト、プレイングマネージャーのどのコースを選んでも、スキルと給与を上げていくことができます。また、管理職としての職務も実務も同時にスキルアップしていくため、途中で管理職が向いていないと判断した場合も、スペシャリストに移行しやすいのです。マネジメントグレードとジョブグレードの2軸で動かす同時並行型の等級制度がおすすめ一定レベルまでは全員に同じ等級制度を適用し、途中からマネジメントコースとスペシャリストコースに分かれる方法もありますが、この場合、管理職はマネジメントスキルを重視されるため、実務スキルの向上がおろそかになりがちです。すると、管理職が向いてなかった場合や個人の事情でスペシャリストコースに移行するとなった場合に、等級が一気に下がってしまい、給与の減額幅も大きくなってしまいます。同時並行型の等級制度であれば、実務スキルも常に向上していく必要があるため、管理職を外れた場合も給与の減額が少なく、離職防止にもつながります。 等級制度の策定には、ジョブディスクリプションが有効そして、等級制度をつくるために重要なのがジョブディスクリプション(職務記述書)です。ジョブディスクリプションとは、従業員に求める職務内容や責任の範囲、難易度、業務上必要となるスキルなどを詳しく記載した書類のこと。部署や職種、職位ごとに作成することで、人事評価や人材育成、採用活動などに活用できます。ジョブ型雇用が中心の欧米の企業では、主に採用における重要な雇用管理文書として浸透しています。日本でも、働き方の多様化によるジョブ型雇用への移行や同一労働同一賃金を背景に、大手企業を中心に導入が進んでいます。ジョブディスクリプションを作成すると、職務、責任、役割という等級ごとの人事像が明確になります。すると、事務所の望む方針とずれることなくキャリアアップが可能になるのです。また、ジョブディスクリプションがあることで、職務内容を成し遂げたかの「成果」で評価することができます。あらかじめ事務所側と従業員側で求められる職務範囲と成果について共有認識を持てるため、食い違いが起こりづらく、公正な評価を行うことができるのです。ただし、ジョブディスクリプションも等級制度も、つくって終わりではありません。管理・運用することで、その意義が最大限発揮されます。職務内容は社会や市場の変化で日々変わっていきますから、その都度職務分析をして、ジョブディスクリプションや等級制度を見直すことが大切です。 2021年版「士業事務所の給与評価」好評発売中!月刊プロパートナー2021年11月号(10月20日発売)では、毎年恒例となった「士業事務所の給与・評価」にまつわる全国アンケート調査を実施。3回目となる今回は、人材の定着と最適化にフォーカスし、盤石な組織をつくるための取り組みも大調査します。さらに、従業員の成長を支援する士業事務所の人事制度の運用事例も大公開!士業業界の「給与・評価」事情から人事制度設計の仕組み、最新トレンドまですべてがわかる1冊です。月刊プロパートナー2021年11月号の詳細・お申込みはこちら  2021.11.11
  • 【ベンチャーファーム】異色キャラがSNSで話題 元国税税理士の挑戦

    2020年9月に開業したばかりのREBFLEET(レブフリート)税理士事務所。わずか5カ月で70社の顧問契約を獲得するなど、驚異の成長を遂げています。国税局出身ながら異色のキャラクターで注目を集める代表税理士の笹圭吾氏に、事務所躍進の秘訣を聞きました。 国税調査官から税理士へ仲間に恵まれ順調な船出REBFLEET税理士事務所を開業したのは、2020年9月。それまでは、大阪国税局の国税調査官として、主に法人の税務調査を担当していました。実は、大学生のときから税理士を志していましたが、会計事務所に勤めていた母から「国税OBとして開業した方が顧客を獲得しやすい」というアドバイスを受け、国税局に入局したのです。その後、2016年には税理士資格も取得していたのですが、退職して開業するという一歩が、なかなか踏み出せませんでした。資格だけでは食べていけない時代になっていたこともあり、「成長したい」「挑戦したい」というのは贅沢な欲で、それを我慢することも大人になっていくことだと自分に言い聞かせていたのです。でも、子育てを通じて「成長」や「挑戦」をしている子どもを見ているうちに、自分自身は「成長」や「挑戦」をしていないと感じ、開業することを決意しました。元国税調査官なので、決算書などを見る目は一流だと自負していましたが、営業を含めた税理士事務所の仕事のやり方はまったくわからない。それでも何とかやってきているのは、本当に人に恵まれたからです。開業時に、専門学校時代の友人とその知人の二人に入社してもらったのですが、彼らが開業から3カ月で約50件ものお客様を獲得してくれたのです。自分で言うのもおこがましいのですが、彼らは私のことをめちゃくちゃ愛してくれているんです(笑)。「お前がやると言うなら、とことんやろう」と、知り合いに声をかけたりして営業してくれました。 目的に合わせて使い分けSNSで〝キャラ〞を売る開業にあたり私が力を入れたのは、マーケティングです。「自分を必要としてくれる人に、自分を知ってもらう動線をつくる」ということ。「財務に強い」とアピールしても、そういう事務所はいくらでもありますから、差別化するためには自分の〝キャラクター〞をSNSで発信していくのが端的でわかりやすい。私自身、税理士らしからぬ見た目なので、その方が勝機もあると思いました。元国税には見えませんよね(笑)。活用しているSNSはYouTube、Instagram、Twitter、そしてTikTok。最初はそれぞれの特徴がわからなかったので、「とりあえず一回やってみる」の精神でチャレンジしました。当然、失敗もたくさんありました。私が踊っているだけの動画をアップしたら、全然再生数が伸びず、何も生まれなかったり…(笑)。当たり前ですが、見る人が税理士に求めているのは、ダンスではなく情報です。そこで、税金に関する知識をクイズ形式で紹介してみたら、再生数が上がったのです。こんな感じで徐々に見せ方を掴むことができ、現在はある程度特徴や流れが見えたので、TikTokは認知度を高めるため、YouTubeは問い合わせにつなげるためなど、用途に合わせて使い分けています。開業からSNSマーケティングを始めて、TikTokで注目されだしたのが今年の1月くらい。「元国税の面白い税理士がいる」と話題になり、紹介などにつながったことで、20件ほど顧問契約まで進めることができました。スタッフの獲得したお客様と合わせて、5カ月で合計70件ほどの顧客を獲得できたことになります。もちろん、将来的にはマーケティングの仕組み化やサービス強化をすることで顧客を呼び込む必要がありますが、ファーストステップとしてSNSマーケティングは有効です。即効性はありませんが、私のキャラクターが浸透することで、「紹介したい人」になれることを目指しています。また、私たちが提供するサービスは財務と税務調査対応、集客サポートの3本柱で、特に財務には力を入れています。私は基本的に、法人には「節税」を提案しません。金融機関は企業価値を見て融資額や利息を決めます。でも、節税のために所得を圧縮するということは、あえて企業価値を下げているのと同じで、それによって融資を受けた際の利息も高くなってしまう。その瞬間は10万円得をしたとしても、長い目で見ると利息のほうが高くついてしまうのです。結果的に、節税をしないほうが利息も安くなるし、資金も潤沢になる。これをお客様との商談時に説明して、「財務力を鍛えましょう」と話しています。 コミュニティを構築して人をつなぐハブになる採用活動は常時行っています。開業時からいる二人のように、信頼関係が何より大事だと思うので、私の理念に共感してくれて、「一緒に仕事をしたい」と思える人がいれば採用します。先に人を入れて、その人に見合う仕事をつくっていく。資金も無ければ調達する、という考えです。また、業務委託でフリーランスのスタッフもいて、彼女が事務所のWeb周りを担当しています。彼女がうちの仕事で実績をつくれば、私は「こういう実績がある人がいるので、Webでお困りなら頼んでみてはどうですか?」と、お客様に紹介できる。そうやって、事務所を中心にさまざまなスキルを持った人のコミュニティをつくり、最終的には人と人をつないでいくハブの役割を果たしていきたいと考えています。もちろん、私たちとの仕事を通じて成長していく人が増えていけば、その人たちとも顧問契約が結べる。コミュニティのパートナーでありつつ、同時に将来のお客様でもあるわけです。結局、私は人と出会いたいから税理士という仕事をやっているのだと思います。私が最終的に求めているものは、大きな税理士事務所の所長になることではありません。死ぬ間際に、「あなたのおかげで助かった」「お前がいたから、ここまでやれた」という言葉を人からどれだけもらえるかが私にとっての価値であり、幸福の基準なのです。  2021.11.04
  • 【ベンチャーファーム】行動を変えるコンサルで創業企業を成長に導く

    2012年12月に開業した、はぎぐち公認会計士/税理士事務所は、創業企業のサポートに注力しています。顧問先を継続企業へ導く秘訣と、そのための職員育成について、代表の萩口義治氏にお話を伺いました。 創業支援に特化し、企業の継続をサポート私は、2003年に公認会計士試験に合格した後、大手監査法人に6年間勤務。その後、独立を志して起業家スクールに通い、2012年に東京で開業しました。独立しようと決めたのは、実力を高めて自分の足で立つ生き方に憧れ、監査法人の社員の一人ではなく、「萩口義治として仕事をしたい」という思いからでした。当社の強みは融資や助成金申請などを含めた創業支援や、磐石な財務体質にするためのコンサルティングです。開業当初は、企業規模を絞らずに幅広く営業活動をしていました。創業間もない企業を中心にサポートしようと決意したきっかけは、起業家スクールの仲間たちとの出会いです。起業を目指す人は、勇気のあるハートの熱い人たちです。しかし、経営の経験もなければ実績もないので、いざ創業しても先行きが不安定です。実際、経済白書では起業から3年での生存率は50%と言われており、事業の継続が難しい場合が多い。私自身、やっていけるか不安に駆られ、開業に踏み切るまでに2年かかりました。このような思いから、起業したての会社が長く継続し、世の中に需要や雇用を生み出していける支援をしたいと考えたのです。当初は朝会に参加したり、飛び込み営業をしたりしていましたが、顧客が増えたのは、創業補助金の支援を始めてからです。起業家スクールの人脈から案件が獲得でき、2014年には創業補助金採択支援件数が、東京都で1位になりました。これをきっかけに、紹介で顧客を増やすことができ、現在も幅広い業種の経営者から相談をいただいています。 数字で行動を変える! 会計視点の経営コンサル創業企業を支援するため、特に力を入れていることは二つ。一つは財政支援です。融資や助成金などで資金を確保できるようにサポートしています。もう一つは、経営コンサルティング。成長期に入った顧問先には、業績を上げるために何をすればいいか、具体的な行動についてもアドバイスをしています。創業した企業をいかに存続させるかということが、私たちの腕の見せ所。そのため、試算表や月次決算書で数字を分析し、赤字の原因を突き止めます。そして、損益分岐点がいくらで、黒字になるためにはどのくらいの売り上げが必要か、そのためにどんな行動が必要なのかを一緒に考えています。業績向上ための営業やマーケティングのサポートも、事務所のできる範囲で行います。そのほか、助成金に強い社労士、Web集客など、専門的な知識を持った企業を紹介することもあります。行動の結果が数字であり、行動を変えていかなければ業績は変わりません。だからこそ、行動に移すまでサポートするコンサルティングが重要だと感じています。コンサルティングは、私以外の職員も行っています。その際、職員自身が自分の頭で考えて、発言することを大切にしています。代表である私の意見がすべて正しいというわけではないですし、発展途上であっても入社した時点でコンサルタントです。ですから未経験で入ってきたとしても、一人のコンサルタントとして自分の考えを述べるように伝えています。また、顧問先にアドバイスをするというよりは、〝質問を投げかけること〞が行動につながるコミュニケーションだと考えています。会社のことを一番考えていて、業界のことを一番知っているのは、その会社の経営者です。私たちはあくまで、会計や数字という視点から経営のヒントとなるような質問をする。「客単価を上げるには何ができますか?」などの質問をして、顧問先に行動指針を考えてもらうように導くのです。そうすれば、実行可能性が高まり、企業の発展につながっていきます。行動までサポートした結果、当事務所の支援企業のうち95%が、3年以上継続して事業を行うことができています。 職員の物心を〝豊か〞にして、業界価値を高める組織へ事務所は現在、私を含め12名体制で、税務事業部とコンサル事業部に分かれています。二つの事業部を兼任しているメンバーもいて、これは税務とコンサルの両面から数字を見る力を養い、ハイブリットな会計人になってもらいたいという考えからです。できるだけ未経験や経験の浅い人を採用しているのですが、会計知識とコンサルスキルの両方を身に付けられるように育成をしています。最初に職員を採用したのは開業して一年経った頃。定着しない時期や、採用がうまくいかない時期もありました。振り返ってみると、職員が定着しなかったときは、職員に対する愛情が足りなかったのだと思います。彼らがこの事務所で働くことで、どのような成長が得られるのかということを、ロジカルに考えていませんでした。現在は、「職員の物心を豊かにする」という理念を最優先に掲げています。豊かさというのは、お金と時間とスキルのこと。この理念を実現するため、高い付加価値業務を受注・提供するスキルの向上が大切だと職員に話しています。現在、職員が興味を持った分野の勉強をサポートするため、研修費を会社で負担する制度も取り入れてました。また、職員との面談は定期的に行い、業務や今後の目標、家族や体調など、何でも話せる場にしています。もちろん、私の考えもしっかり伝えます。この業界でどんな人が生き残り、必要とされ続けるのか日々勉強しているつもりなので、職員が成長するためのヒントになればいいなと思っています。今後は会計業界のため、会計業界で働く人たちのために、事務所ができることをさらに進化させ、広めていきたいと考えています。コンサルティングを含めた顧客とのコミュニケーションなど、付加価値の高いサービスを体系化して、会計業界の価値を高めていきたいです。  2021.10.26
  • 危機管理のプロが教えるリスクマネジメント

     第1章 天災などの緊急事態下でも危機管理対策で事業継続経営活動には、コンプライアンス遵守といった法整備や、自然災害・感染症への対策と備えが不可欠。〝何か〟が起こってからでは、取り返しのつかない場合も。そこで危機管理対策のプロである田中直才氏が、事業を継続するための危機管理対策の重要性とポイントを解説します。 危機管理対策が今後ますます重要に新型コロナウイルス感染症によるパンデミックが世界を席巻しています。2020年3月にWHOがパンデミックを宣言してから1年以上経過しましたが、これほど長期間、コロナ禍が続くとは誰も思っていなかったのではないでしょうか。2009年に新型インフルエンザが一部で猛威を振るいました。このときが感染症蔓延という災害に対する危機管理を検討する絶好の機会でした。この世界的なパンデミックという災害に際し、万全とはいかないまでも、ある程度の備えをされていた事務所はどれだけあったでしょうか。新型コロナウイルス蔓延という大災害によって、感染症対策が焦眉の急となっています。対策には万全を期すべきですが、我々が警戒すべき災害は感染症だけではありません。日本で業務をする限り、地震や台風などの自然災害に遭遇するリスクも、避けることはできません。特に地震は、日本中どこにいても被災する可能性があります。とりわけ、発生確率が高いとされている東海地震や東南海地震、南海地震、首都直下地震などで甚大な被害が発生すると予測されている地域では、特に注意が必要です。いつ発生するかわからない地震は、施設などの物的被害だけでなく、従業員や顧客などに死傷者が発生することもありえます。従業員とその家族に対する安否確認手段の整備など、応急対応に関する体制の確立が求められます。また、火山学者の間では、富士山はいつ噴火してもおかしくないといわれています。噴火に伴う溶岩の流出や火砕流などによる被害は限定的ですが、火山灰によって、大きな被害が発生すると想定されています。噴火の規模、風向きによっては、関東地方でも10㎝の降灰があると想定されており、停電や交通機関の麻痺などの被害が長期間にわたるともいわれています。 不測の事態に備えた事業計画策定が肝感染症蔓延や地震などの災害により事務所の業務が中断することは、なんとしても避けたいところです。そのような事態に陥ることがないよう、BCP(BusinessContinuity Plan/事業継続計画)を策定することが求められます。BCPとは、会社・事業所が自然災害や大規模テロなどの緊急事態に直面しても、事業を絶えることなく継続させていくための手段や手法などを取り決めておく計画のことです。緊急事態は突然発生します。策定したBCPにもとづき、有効な手立てを講じないと、事務所機能が中断し、顧問先をはじめとする関係各所に迷惑をかけてしまうことになりかねません。BCPを策定していない事務所は、ぜひともこの機会にBCP策定を検討してみてください。2020年の帝国データバンクの調査によると、BCPを策定している会社は、現在策定中も含めると、調査対象約2万2000社中26・3%です。まだまだBCPを策定していない会社が多く存在します。先生方の顧問先においても、BCPを策定されていない会社が多いのではないでしょうか。いつ襲ってくるか分からない自然災害に備え、顧問先などに対してもBCPの策定を奨励することで、顧問先を守ることができます。災害に遭遇した際、何も備えをしていない会社では、事業の復旧が大きく遅れて事業の縮小を余儀なくされたり、廃業に追い込まれたりする恐れがあります。一方、BCPを導入している会社では、緊急時でも中核事業を維持・早期復旧することがきるうえ、その間の対応が取引先などから評価され、緊急事態前よりも業績が向上したとの例もあります。このように、BCPを導入しているかどうかで災害時の事業存続や業績に大きく影響します。自らの事務所はもちろん、顧問先を守るうえでも重要ですので、ご興味がある先生は、ぜひ当事務所までご連絡ください。今回は、災害などの外部要因に対する危機管理の必要性について、BCPの策定を中心に言及しましたが、備えるべきリスクは外部要因だけではありません。所内のハラスメント、不適切なSNSの発信による炎上、重大なコンプライアンス違反などの内部要因から発生するリスクについても、具体的な危機管理策を講じておく必要があります。第2章では、内部要因から発生するリスクについて取り上げ、そのリスクに対して講ずべき対策について言及します。 第2章 規程・罰則・教育の徹底でSNS炎上を回避TwitterやFacebook、YouTubeといったSNSは、認知拡大やブランディング、ファンづくりにおいて、士業事務所でも不可欠の時代に。その一方で、何気ない投稿が命とりになる恐れもあり、「炎上」してからでは、取り返しのつかない場合も。SNS上での炎上防止策を解説します。 便利なツールだからこそ利用ポリシーを明確に第1章では、事務所経営上の外部リスクとして、地震や台風、感染症などの自然災害を取り上げて、その対応策について言及しました。安定した事務所経営をしていくうえでは、このような外部リスクだけではなく、セクハラ・パワハラなどのハラスメントや、能力や素行に問題がある従業員に対する対応など、社内に潜むリスクへの備えが必須です。内部リスクは多岐にわたるため、各種リスクに応じた対策を講じる必要があります。今回は、昨今問題視されているSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の、「従業員による発信に関するリスク」について言及します。SNSの発展は目覚ましいものがあります。手元にスマートフォンさえあれば、誰でも気軽に自分の考えを世の中に発信することができるようになりました。プライベートで差し障りのない発信をしているうちは問題ありませんが、世間から反感を買うようなモラルを逸脱した発信をすると、いわゆる「炎上」という状態になり、世間からバッシングの集中砲火を浴びることになります。特に士業業界のビジネスでは、「信用・信頼」が大事な要素ですから、SNSでの炎上トラブルは死活問題です。万が一、事務所と関わりがないところで一個人が炎上してしまい、その個人の所属先が特定されてしまうと、世間からの非難の目が所属先にも向けられることになります。また、顧客の経営数字や給与情報など、重要な個人情報を多く扱う士業事務所においては、従業員によるSNSの発信によって個人情報が流失するといった事態は、絶対に避けなければいけません。軽い気持ちでSNSに投稿したことで、これまで事務所が築き上げてきたブランドイメージが一瞬にして崩れ去ってしまうリスクが、どの事務所にも内在しています。「SNSはプライベートなことだから」と、個人の自由に任せるのではなく、危機管理の観点から、事務所として何らかの対策を講じることが強く求められます。これらの対策として、大きく二つあげられます。対策①ソーシャルメディア利用ポリシーなど規程を整備する顧客情報や人事情報など、事務所内で保有している機密情報は、事務所の公式アカウントはもちろん、個人アカウントでも発信を全面禁止とする規程を策定し、抵触する行為をしたものは懲戒処分と明示しておきます。また、ソーシャルメディア利用ポリシーなどを定めて、SNS使用に関する事務所としての考え方を明確にしておきます。対策②従業員に向けた研修の実施一昔前に話題になりましたが、某外食店のアルバイト社員が、客に提供する料理をゴミ箱に入れる動画をSNSで公開し、炎上しました。これをきっかけに、ほかの外食店でも同じような動画が次々と発掘され、投稿される度に炎上し、報道されたりと、社会的に物議を醸しました。誰が見てもおかしいと感じることであっても、人はSNSに投稿してしまいます。それは、理性より承認欲求が勝ってしまうことが大きな要因の一つと考えられます。従業員に対してリスク研修をする際には、この点も念頭におき、一時の承認欲求を満たすために行った行為が、自分や事務所にどう跳ね返ってくるか想像できるように説明することが重要です。また、研修の際には事務所が策定したSNS使用に関する規程内容について、十分な時間をとって説明します。違反した際の懲戒処分の内容についても説明し、事務所として違反者に対して厳しい姿勢で臨むことを明確にしておきます。以上、従業員の不適正SNSの発信に絞り、必要なリスク管理について言及しましたが、先述のとおり、内部要因に関するリスクは、不適切SNSだけではありません。事務所に内在するリスクをすべて洗い出し、それらに適切に対応していくことが求められます。―――――――――――――田中直才氏の著書『中小企業の危機管理がわかる本』を抽選で5名様にプレゼント!下記アンケートに回答いただいた方のなかから抽選で5名様に、リスクマネジメントのプロフェッショナル・田中直才氏の著書『中小企業の危機管理がわかる本』をプレゼント!アンケート回答はこちら↓↓https://forms.gle/rAsFxZZ8JTEa2tB59『中小企業の危機管理がわかる本』単行本:176ページ出版社:セルバ出版発行日:2021年6月9日自然災害への対応、社員の不適切SNS対策、トラブルメーカー社員に対する対応など中小会社に影響のあるリスクとその対応策を実務的に解説。机上の空論ではなく、理論と経験をミックスすることで得られた独自の見解を踏まえ、具体策を提示しています。  2021.10.22
  • 【広瀬元義の勝手に士業業界トレンド】新時代に最適な評価方法のカギは職責・職務を明確にすること

    リモートワークの導入や働き方の変容によって、最適な評価方法が問われています。経験をベースにした職能給を採用するべきか?それとも、業務の専門性を重視した職務給か?そのヒントについて、人事制度と生産管理のスペシャリスト・株式会社メディンの西村聡氏に、本誌編集長・広瀬元義が迫ります! 士業事務所こそ職務ベースの評価を!広瀬 昨今、職務内容を明確にしたジョブ型の働き方を導入する企業が増えています。ジョブ型は職務給が基本ですが、実際には多くの企業が年功序列による職能給に近い形の給与体系になっていると思います。西村さんは職能給と職務給についてどうお考えですか?西村 職能給とは、企業が個人の能力や経験に対して評価し、支払われる賃金です。しかし、能力の価値は目に見えません。ですから、職能給だと年功序列にならざるを得ないのが、日本企業の現状です。しかし、仕事に対する責任や実行力を理解・向上させるには、職務給がいいと私は考えています。職務給を簡単に説明すると、リンゴの値段と同じ原理です。市場における、その個体(=人材)の価値=値段、つまり給料になります。その考え方でいけば、リンゴそのものの価値(=仕事ができること)があることが前提になるため、個々の能力は関係ありません。広瀬 なるほど。では、職能給から職務給へ移行するには、何に注意して行うべきでしょうか?西村 基本的に、職務給は〝企業内における仕事の価値〞によって決まりますから、自社内における価値序列が明確であれば、合理的な職務給を導入できるはずです。しかし、多くの日本企業には明確な職務のくくりがないのが実態です。たとえば、経営陣が「誰が何をするべきか」ということを明文化していない企業では、従業員の連携不足が生じて、無駄な業務が発生したり、ミスも起きやすくなります。職務とは、あくまで「目標や目的を前提にして、そこから展開される機能が〝仕事〞として発生して、はじめて個人に与えられる」という考え方に基づいたものです。日本の製造業の生産現場では、個人に対して無駄を省いた最適な職務を割り当てている場合も少なくありません。それにもかかわらず、職能給という日本独特の文化に固執してしまっているのが実情です。広瀬 〝ねじれ〞現象が生じているのですね。しかし、業務経験のない新卒を採用する場合、3年くらいは職能給にして、仕事を覚えてきたら職務給へ切り替えるというようなハイブリッドが良いのではないでしょうか?西村 日本の社会構造からすると、ハイブリッドにならざるを得ないのかもしれませんが、私は、新卒社員などの若手であるほど、職務給のほうが適していると思います。職務給は仕事の基本構造を理解させるために有効ですから。職務給の本質は、職責の理解にあります。職責には、どれだけの量か(量的基準)、どれだけの正確さ・出来栄えか(質的基準)、いつまでにまたはどれだけの時間の範囲で仕上げるのか(時相基準)、どのような方法でなされるのか(方法基準)、という4つの基準があります。これらを職位ごとに明確にして、仕事やビジネスの基本構造・本質を理解させることで、「自分が何をするべきか」を明確にします。すると、理想と現実を埋める目標設定がしやすくなるので、プロフェッショナルが育ち、生産性も上がります。それが職務給の大きなメリットなのです。広瀬 つまり、一人ひとりの業務の可視化が重要となるという訳ですね。では、職務給を導入するために必要なことを教えてください。西村 現場の状況を見て、まずは職務分析をすることが大切だと思います。その理由は、実際の現場での標準作業や標準時間の設定ができて、はじめて改善可能な状態にできるからです。海外では、標準作業や標準時間をそのまま人事制度にあてはめるというシンプルな構造の企業が多いですね。日本でも、特に大手企業では、現場で標準作業書や標準時間を設定している企業も多いと思います。しかし、人事が現場を理解していないために、〝ねじれ〞が起きているケースも少なくありません。一方、中小企業は現場と人事が乖離しにくい環境なので、そのような規模間の企業こそ、職務分析をして業務内容やレベルを可視化することをおすすめしています。そうすれば、人員の割り振りも容易になります。広瀬 職務分析を行うにあたって、「職務記述書(ジョブディスクリプション)」の作成が役に立つと思いますが、いかがでしょう?西村 そうですね、特に給与設定や評価、教育に効果的です。もし、従業員が職責を理解していない状態で就業させているようなら、生産性の向上や企業の成長は実現できません。ですから、職務記述書作成を通して「仕事が変れば賃金が変わる」「結果を出さないと昇給や賞与がない」など、職責について従業員に教えることは重要です。広瀬 職務記述書を作成する際の注意点はありますか?西村 課業と作業、動作の3点を明確にすることが重要です。「キャベツを切る」という仕事を例に挙げると、動作とは「包丁を探す」「握る」「切る」などに当たります。そして、作業とは個々の動作の積み重ねです。さらに、課業とはタスクのことで、個人がなすべきこととして割り当てられた〝作業〞をすべてまとめた業務を指します。これらのちがいを明確にして、動作ではなく作業を書き出して、それらを課業としてくくることがポイントです。適切な職務分析による職務記述書は、目標設定やプロフェッショナルの育成、そして生産性向上のカギになります。近年、このような職務給に関する取り組みを実践する中小企業も増えたと感じています。広瀬 最近は、士業業界でも定型業務よりも付加価値業務が求められてきています。個々の仕事の幅が広がるなかでも、職務での評価は可能でしょうか?西村 職務評価を実現するためには、企業がクリアすべき二つの課題があります。一つは、従業員に対して職務や職責に関する教育を行うことです。もう一つは、職務を考えるうえで「1日8時間の仕事しか与えてはいけない」という原則を守ることです。8時間以上必要な場合は、「職務を行う人材がもう一人必要」と考えなければいけません。これらはすべて経営サイドの問題ですから、職務分析を通じて、まずは自社の職務構造やビジネスモデルなどを見直し、適切に対応することが不可欠です。職務給に関する取り組みは、小企業や、事務作業が多くて職務評価・職務分析がしやすい税理士や社労士などの士業業界で行いやすい取り組みといえます。ですから、まずは事務所で取り入れてみて、そして、顧問先にもサポートとして提案していただきたいと思っています。広瀬 働き方の多様性によって、ますます年功的な評価よりも職務をベースとした評価が主流になってくると確信しています。まずは、士業業界から中小企業へ、時代にマッチした評価制度を取り入れて生産性向上を促進させたいですね。 ―――――――――――――【2021年版「士業事務所の給与評価」好評発売中!】月刊プロパートナー2021年11月号(10月20日発売)では、毎年恒例となった「士業事務所の給与・評価」にまつわる全国アンケート調査を実施!3回目となる今回は、人材の定着と最適化にフォーカスし、盤石な組織をつくるための取り組みも大調査します。さらに、従業員の成長を支援する士業事務所の人事制度の運用事例も大公開!士業業界の「給与・評価」事情から人事制度設計の仕組み、最新トレンドまですべてがわかる1冊です。月刊プロパートナー2021年11月号の詳細・お申込みはこちら  2021.10.20
  • 全国から士業が集結! ビジョナリーサミット2021速報レポート

    「士業事務所の3年後のビジョンを描く」を目的に、 2012年から始まった『ビジョナリーサミット』。士業業界内外で注目される講師が多数登壇し、最新トレンドや成功事例、今後の展望などを紹介します。10月13日(水)に開催された「第10回 士業事務所のビジョナリーサミット2021 in東京」の模様を速報レポート! 【士業業界革命】これからの日本を士業が支える!10回目となる2021年のビジョナリーサミット。テーマは、「【士業業界革命】これからの日本を士業が支える!」新型コロナウイルスの影響で、 経済状況はもちろん、働き方や仕事観も大きく変化しました。先行きが不透明ななかで、中小企業、ひいては日本全体を支えるためには経営者のパートナーである士業が一丸となり、 より幅広く、強固なサポートをしていくことが必要です。そこで2021年のビジョナリーサミットは、東京会場を皮切りに、熊本(10/19)、名古屋(11/9)、大阪(11/11)、福岡(11/12)の全国5会場で開催。計20名の講師が登壇します。10月13日に開催された東京会場では、「いま、行うべき組織構築と差別化戦略」を切り口に、税理士、社会保険労務士、弁護士、司法書士をはじめ、いま注目のITベンダーなどが講師となり、14講演をオンラインで配信。申し込み者は約700名と、注目度の高さが伺えました。トップバッターとして登壇したのは、福岡県福岡市に拠点を置くエンジョイント税理士法人・代表社員の智原 翔悟氏と伊藤会計事務所・代表税理士の伊藤 桜子氏。智原氏はもともと、kintoneやJavascriptなどに精通しており、さまざまなクラウドシステムを活用した業務効率化に取り組んでいました。一方、伊藤氏は、製販分離体制を構築し、記帳経理代行の標準化に成功。その結果、残業時間の削減はもちろん、未経験者採用の強化などにもつながっていました。今回、2事務所それぞれの強みを融合し、kintoneを活用した業務管理システムを開発。本講演は、「ツールの活用で生産性UP! 業務管理を徹底して事務所経営に生かすコツを公開」と題し、業務管理により生産性向上に成功した2事務所の取り組みを公開しました。生産性向上のための業務管理3つのポイント アプリ同士をつなげるシステムを使うことで、問い合せから新規契約までのフローを一元管理 工数・各企業の時間単価を可視化することで、報酬の見直しが可能になる 業務管理は、仕事を効率的・効果的に実施するために、正確性の担保と期限遵守のために行う会計事務所の多くは、・各担当が顧客ごとの資料を管理しているため、フォルダ内の整理がバラバラ・引継ぎ時にどこに何の資料があるのか確認するのに時間がかかる・業務ボリュームや個々のスキルに合わせた仕事の振り分けがうまくいかず、 残業が増えてしまう・工数やイレギュラー対応の実態が見えず、適正な報酬を設定できていないといった課題を抱えています。この課題に対し智原氏は、「まずは、ボトルネックがどこにあるのかを可視化することが重要です。当事務所では、顧問先情報、職員の工数管理や生産性管理のすべてを kintoneで一元管理したことで、顧問先ごとの工数分析や作業分布などが可能に。これによって、ボトルネックの洗い出しや解決案が具体的になりました。kintone内の顧客管理のルールも社内で統一することで、引き継ぎもスムーズですさらに、社内の請求発行フローはfreeeで一括管理し、チェックが完了したタイミングで自動的に請求書が発行されるようにしているため、総務担当が請求書作成にかけていた時間も大幅に削減できました」 と話します。エンジョイント税理士法人・代表社員の智原 翔悟氏また、伊藤氏は、「以前は日報で工数だけチェックし、気になる顧問先だけ時間単価を計算していましたが、kintoneの日報アプリで常に工数や各企業の時間単価を見える化したことで、時間単価が高すぎる、もしくは低すぎるなどの課題が明確になりました。適正価格かどうか判断できるようになったことで、常に報酬の見直しができますし報酬改定の根拠が示せることで、顧問先へも提案がしやすくなりました」 とその効果を解説。「残業が増える理由は、 見切り発車で仕事を始める、スキルに合っていないなど、タイムマネジメントと業務アサインの失敗、つまり管理不足が原因なのです。実は当事務所は、10年前から日報を活用して工数を集計していましたが、分析も確認もしてなかったのです。ですが、日報は宝の山です。人を軸にした分析を行えば、育成や評価もスムーズになり、顧客を軸にした分析をすれば、報酬UPや生産性向上につながります。さらに、業務内容を軸にした分析をすれば、業務効率化につながります業務管理とは、正確性の担保と期限遵守のために行う管理、そして、仕事を効率的・効果的に実施するために行う管理です。ツールを活用することで、適切な業務管理が可能になり、 職員の定着や報酬アップも実現できます」。伊藤会計事務所・代表税理士の伊藤 桜子氏智原氏と伊藤氏の業務管理手法、 さらに、共同開発した業務管理ツール『Hello! kintone』については、12月3日(金)に開催されるセミナーで詳しく解説します。東京会場ではそのほか、税理士向け、社会保険労務士向け、弁護士向け、司法書士向けに、現在、業界内外で注目される士業が登壇。新たなサービスの構築や、組織拡大に向けた取り組みなどを解説しました。また、初の試みとして、オンラインでの士業交流会も実施。地域別、テーマ別に分かれ、参加者同士の情報交換が行われました。【そのほかの講演】ブルーオーシャン戦略“儲かる人材ビジネス”を今、事務所に取り入れよう—リモートワーク時代の人材ビジネスをサクッと解説—株式会社アックスコンサルティング代表取締役 広瀬 元義〈税理士向け〉徹底した効率化・仕組化を実現する!島根流・相続業務体制強化のためのJust Do It島根税理士事務所代表税理士 島根 猛氏内部体制構築こそ成功への一歩!規模拡大のための、採用・育成・組織作りの秘訣とはL&B税理士法人代表税理士 吉田 雅一氏“Go to 2030” エプソンが目指す税理士業界との「共創」の世界エプソン販売株式会社特販営業本部 AC営業部 AC・MD課 課長 勝俣 剛志氏〈社会保険労務士向け〉士業が中小企業に新風を呼び込む!今、取り組むべき「採用コンサルティング」とは東北ビジネスサポート代表社会保険労務士 神成 修太郎氏顧問先と事務所の未来を創る最重要キーワード『オンボーディング』2021社会保険労務士法人An-field代表 熊谷 篤氏士業事務所の未来のために—SmartHRでできること—株式会社SmartHRセールスグループ 事業開発ユニット 小杉 和明氏〈弁護士向け〉士業の枠を超えていけ!戦う弁護士が取り組む集客・実務ノウハウとは弁護士法人MartialArts代表弁護士 堀 鉄平氏業界に新しい風を吹き込む若手弁護士成功のための専門性向上の取り組みを解説弁護士法人品川国際法律事務所代表弁護士 田中 広太郎氏アンケート結果から見る法務部が求める顧問弁護士とは株式会社LegalForceセールスマネージャー 浦山 博史氏〈司法書士向け〉地域で選ばれる士業になる!日本郵便等地域連携によるLTV向上とSDGs実践司法書士法人あおばの杜司法書士法人統括代表社員 高橋 英之氏司法書士事務所を成功に導く3つの秘訣F&Partnersが実践する拡大手法徹底レポート司法書士法人F&Partners代表社員 仁井 勝之氏ーーーーーーーーーーーーーーーーーービジョナリーサミット2021はこの後、熊本、名古屋、大阪、福岡でも開催。それぞれ士業交流会も予定していますので、新たなビジネスパートナー獲得の場としても活用ください。※以下4会場は、オンライン配信はありません。●熊本10月19日(火)15:00-18:45会場:TKP熊本カンファレンスセンター はなしょうぶ【講演】連携から新たな未来がうまれる!士業連携で専門家チームを作り顧客を増やすコツ司法書士法人・行政書士あかりテラス代表 宮村 和哉氏事業承継事務所の利点を活かす!組織として士業事務所の経営を成功させる仕組み松下会計事務所代表 松下 亮氏●名古屋11月9日(火)15:00-18:50会場:ウインク愛知【講演】オンライン活用で未来を作る!しんこう流・近未来型会計事務所の作り方しんこう会計事務所 代表 新美 敬太氏2021年の最新営業手法を徹底解説!時流に沿う士業事務所の営業手法とブランディングノエル社会保険労務士事務所代表 藤井 貴子氏●大阪11月11日(木)13:00-19:00会場:グランフロント大阪北館タワーB10階 ナレッジキャピタルカンファレンスルームタワーB RoomB05+06+07【講演】山口市で急成長!「EAP」での付加価値提供方法を解説!弁護士法人牛見総合法律事務所代表弁護士 牛見 和博氏業界最大手の秘訣!時流に合わせた戦略を大公開!SATOグループ代表 佐藤 良雄氏事業承継を円滑に進めるためのポイントを紹介!司法書士法人SBCパートナーズ代表 大井 健氏経営者から頼りにされる「交渉術」の磨き方EMP税理士法人代表 あべき 光司氏●福岡11月12日(金)15:00-18:45会場:リファレンス駅東ビル貸会議室【講演】市場で選ばれる事務所になる!小規模からでもできる士業事務所の組織化を語るNo1税理士法人代表社員 藤浪 伸治氏他士業×Saasで実現!小規模事務所の業務効率化ノウハウと事例紹介はやし総合支援事務所代表 林 雄次氏詳細・お申し込みはこちら士業事務所のビジョナリーサミット2021  2021.10.18
  • 【ビジネスレポート】書面添付と不動産の対応で相続+αの業務を受注

    30年超にわたり、600件以上の相続税申告を請け負ってきた須崎会計事務所。税務調査の入りにくい書面添付と、相続後の不動産活用や売却にも対応することで顧客から信頼を得てきた須崎氏の方法論を紐解いていきます。須崎会計事務所 相続案件受任のポイント 30年以上の経験と実績に裏打ちされた高い信頼性と安心感 的確な書面添付を行うことで、税務調査が入りにくい 相続税の申告だけではなく、不動産の売却や活用も支援する 相続後の不動産売却も一貫して対応する当事務所が相続案件を手掛けるようになったのは、30年ほど前。顧問先の世代交代に伴い、相続の相談をされたことがきっかけです。これまでに、顧問先を含めて600件ほどの相続税申告実績があります。現在、案件は金融機関や顧問先などからの紹介がほとんどですが、最近増えているのは二次相続です。以前お父様の相続を担当したことがあるお客様から「母親が亡くなったので、またお願いしたい」と連絡が来ることも多くなりました。相続案件で私がこだわっているのが、書面添付です。もちろん、ただ添付すればいいわけではありません。毎年国税庁が発表している相続税の調査事績から、どういう項目が対象になっているかを確認します。そして、申告書をつくる過程を説明するのが書面添付です。そうすると税務署は税務調査をする必要がなくなります。実際にここ10年間、私が対応した相続税申告で税務調査が来たことはありません。また、相続案件に対応する際には、不動産の活用や売却についての提案も積極的に行っています。特例が使えるうちに売却するのか、それとも収益物件として保有するのか。まずはお客様にメリットとデメリットをしっかり説明します。そして、アックスコンサルティングの不動産コンサルティング部門や司法書士の先生とも連携しながら、不動産の活用や売却、確定申告まで一貫してお手伝いをしています。30年以上の経験から過去のケースに倣って助言ができるのはもちろん、相続した不動産まで一貫して任せられるのも、お客様の安心感につながっているのだと思います。 活動1:的確な書面添付の実施申告の信頼性を高めて、税務調査に入らせない相続制などの申告書を提出する際に、顧客から受けた相談や計算事項など、申告書をつくる過程を書面にして添付することで申告書の信頼性を高める書面添付。須崎氏は、この制度を正しく活用し、10年間調査ゼロという実績を持つ。「以前講師をしたアックスコンサルティングの税理士向け勉強会でも指摘しましたが、名義預金や名義株の事項は漏れが出やすいので注意してください。毎年、国税庁が発表している相続税の調査事績で、どのような財産が漏れているかを見るとわかりやすいです」(須崎氏)▲東京税理士会の理事を務めていた時期には、書面添付の「記載事例集」の共同執筆と編集を担当していた 活動2:申告後の不動産をサポート顧客の利益になるように売却や活用を積極的に提案「空き家に認定されると固定資産税が6倍になってしまいますが、このあと不動産はどうしますか?」など、不動産に関する説明をしたうえで活用や売却を提案。司法書士や不動産コンサルタントと連携しながら一貫してサポートすることで、不動産の譲渡所得に伴う確定申告なども受託している。▲親と同居していないケースも多いため、都内の物件でも空き家になる事例は増えているという(写真はイメージ) 【顧客満足度UPのポイント】お客様に徹底的に寄り添う相続も不動産も、お客様に寄り添うことが大切です。相続した不動産を活用できないのであれば売却のお手伝いをしますし、維持するのであれば、税制を活用してお客様に最大限お金が残るようにする。それが私たちの役目だと思っています。また、依頼があれば、不動産会社との面談などにも立ち会います。事情を把握している私が同席することで、お客様も安心できるようです。ーーーーーーーーーーーーーーーーーー全国規模の専門家ネットワークで、財産の「安心」をご提供します□顧問先の相続税納税のために不動産を売却したい□物納か売却のどちらが有利か悩んでいる□収益性の悪い物件をなんとかしたい相続時の不動産に関するお問い合わせは…アックス財産コンサルタンツ協会 https://www.accs-c.com/ーーーーーーーーーーーーーーーーーー  2021.10.14
  • 仕事を通じて仲間を持ち働くのが楽しい会社をつくる

    これからの事務所経営には、職員と事務所が信頼しあい、相互に成長をサポートする関係、つまりエンゲージメントが重要となります。今回は、プロジェクトチームで組織改革に挑むTOMAコンサルタンツグループの取り組みに迫ります。 新たな時代に合わせてTOMAをシフトせよ――まずは、TOMAコンサルタンツグループが目指す組織像を教えてください。陣内 昔から、「明るく・楽しく・元気に・前向き」という経営理念を掲げていて、この理念をベースにしたチームワークを大切にしています。士業は専門性が高い仕事なので、会計事務所なら一人が何十件も担当を持って、自分のやり方で仕事をしているのが従来のスタイルでした。しかし、それなら独立して一人でやればいい。私たちは、士業の枠にとどまらず、仲間として一緒に何かを成し遂げていきたい。「中小企業の経営を成功させる、社長や社員を幸せにする」という信念を共通の価値観として、共にお客様を支援していけるような組織にしたいと考えています。特に現在、中小企業は非常に厳しい状況です。そこで、「いかに新たなビジョンを持って、そこに共感してくれる社員と一緒に働きがいのある仕事ができるか」、「みんなが満足して働ける会社をつくれるか」というのをテーマにしています。 ――そういった組織を目指すうえで、課題になっていたことはありますか?陣内 近年、士業の枠にとどまらない業務を増やしていますが、従来型の業務も忙しいのが現状です。社員個人個人のマインドも、経営上の施策も、改革したくても既存事業が忙しいというイノベーションのジレンマがありました。さらに、デジタルシフトが起きて、会計業界でも若い世代の先生たちがすごく伸びてきた。ビッグと新興事務所の間で、自社のポジショニングを考え直さないといけないと感じたのです。市丸 また、これも士業事務所に多い課題なのですが、新人が入っても「仕事は先輩の背中を見て覚えなさい」という指導だったりします。当社も以前は即戦力の中途採用のみでしたから、教育の必要性はそれほど感じていませんでした。しかし、5〜6年前から新卒採用を始めたことで、育成体制を見直す必要が出てきました。TOMAのマインドや価値観の共有、上司が部下をきちんとフォローできる体制をつくらなければいけないと感じたのです。陣内 当社は現在約200名の規模ですが、コスト的な兼ね合いから、人事部や人材開発部門を置いていません。そこで、2017年に『SHIFT TEAM』(シフトチーム)というプロジェクトを立ち上げました。代表である市原和洋直轄のチームです。「TOMAをシフトせよ」というキャッチフレーズのもと、社内向けに10年後のビジョンとして『シフトビジョン』を掲げて、社内体制もサービスも、新しい時代に即したものにシフトしようと活動しています。 他部門との交流で 自社の価値を再確認―― SHIFT TEAMは、どのような活動をしているのでしょうか?市丸 大きく2つのチームがあります。1つは、人材育成の管理や新卒社員の対応などを行う社内対応チーム。もう1つは、私たちの強みを活かしたお客様向けのサービスを考えるチームです。それと並行して、社内にシフトビジョンを浸透させる活動を継続的に行っています。SHIFT TEAMで発案した企画は代表がチェックし、その場で決裁されるものもありますし、大きなものは経営会議にあげられます。 ――実際に始まった取り組みには、どのようなものがありますか? 市丸 人材育成に関しては、半年に一度、一般的なビジネススキル研修を受講し、必ず上司がフィー ドバックするようになりました。社員はそれぞれ優秀ですが、足りない部分もありますから、それを埋めるのが目的です。また、他部門の仕事に同行して体験するということを仕組み化しました。これまでも他部門の仕事を経験することを推奨はしていましたが、若手社員からはなかなか言い出しにくいようでした。ですが、他部門の仕事を知ることは、長い目で見ると役に立つはずです。陣内 当社は、税理士をはじめ、司法書士、社会保険労務士、行政書士など、士業のワンストップサービスを提供できる事務所であることが強みであり特徴です。他部門の仕事に同行することは、知識や経験が増えるだけではなく、TOMAで働くことの価値、ワンストップの価値も感じてもらえるのではないかと思います。ほかにも、IT部門と士業部門のコラボ商品なども、SHIFT TEAMが中心となって企画しています。市丸 各チームのメンバーは5〜6名で、社歴や部門、意欲などのバランスを見て、毎年違う人を選んでいます。現在のメンバーは、特に全社的な視点で意見をしてくれる人が多く、上司に聞くと、部門内での発言も前向きになったなど、良い変化があるようです。また、「管理職の人たちが、若手社員のことを一生懸命考えていることがわかった」と話してくれる社員もいます。 システムを使って社員に光をあてる――中途社員に対しては、価値観を共有したり、マインドセットをする取り組みはありますか?陣内 そこが課題なんです。同じ業界にいた人でも、やり方や価値観は全然違います。新卒は時間と手間をかけて育てていくことで変わりますが、中途は難しい。これは業界特有かもしれませんが、非常にシャイで、自分から組織になじめない人も多いんです。また、 当社のマネージャーは全員プレイングマネージャーなので、こまめに部下のケアをすることまでは、なかなか手が回らなかったのです。 そこで2019年に、アックスコンサルティングの「MotifyHR」を導入しました。特に、オンボーディングコースという機能に興味がありました。これは、例えば入社1週間したら、「他部署の人と食事に行きましたか?」というようなアラートが出るんですね。すると、上司や教育担当者が気づいて声をかけてくれます。アプリからリマインドがくるのが便利だな、と思ったんです。 ――ほかにはどのような機能を活用していますか?市丸 社内のお知らせを投稿するニュースフィードはよく使っています。特に、社員紹介が好評です。毎月、月間表彰があるのですが、受賞者にインタビューして記事を投稿しているんです。コロナ禍になってから全員の前で表彰される機会がなくなってしまったのですが、表彰は、頑張った人を褒めてあげて、みんなが「次は自分が」と励みにできる機会なので、受賞者にちゃんと光をあててあげたい。在宅勤務で社員同士もあまり会えない状況なので、インタビューでは意外な一面を引き出したり、未来の展望を話してもらうことを心がけています。陣内 共通の趣味があったりすると、話すきっかけになりますよね。当社のビジネスモデルからしても、 専門分野が違う人をどうつなぐかが大切。そのためには、気軽に相談できる風土をつくることが重要です。あとは、毎日の体調チェック機能やエンゲージメントサーベイは、社員とコミュニケーションを取る際に参考にしています。日々の言動などと合わせて観察していると、もともと性格的に低めの点数をつけるタイプなのか、本当にモチベーションが落ちているのかがわかります。何もない状態で上司に「大丈夫?」と確認しても、とりとめのない話で終わってしまうことがあるのですが、データがあることで問題が見え、SHIFT TEAMから上司に働きかけることができるのです。 会社や仕事を通じて仲間をつくってほしい――従業員のエンゲージメント向上のために、これから取り組んでいきたいことはありますか?市丸 まずはマネージャーには人に興味を持ってもらうことが大事だと考えています。まだまだこまめに部下のケアができているとはいえませんが、時間をかけなくても、日々のちょっとした挨拶や声かけだけでも変わってくると思うんです。私たちも、MotifyHRなどを活用しながら働きかけていきたいですね。陣内 業界的には資格を取ったら独立するという世界ですが、私は本気で「定年まで働いてほしい」と思っています。そのために、働きがいがあって、チームで仕事をするのが楽しいという会社にしたい。仕事を通じて仲間を持ち、いろいろな専門家と付き合って仕事の幅を広げてほしい。TOMAのビジネスのコンセプトは、社員のやりがいのためのコンセプトでもあるのです。シフトビジョンは、2029年がゴール。新卒で入った社員が、10年後にTOMAのマインドを持ったマネージャーとして活躍できるように教育しているつもりです。少しずつ前進していますが、まだ改革途中。改善しながら継続していきます。※月刊プロパートナー2021年2月号より抜粋いかがだったでしょうか?『プロパートナーONLINE』は、士業のための「明日役立つ」記事やセミナー動画などオンラインのコンテンツに加え毎月1冊、士業専門雑誌「月刊プロパートナー」をお届けするサービスです。月額3,000円のサービスを今なら14日間無料でお試しいただけます。▼14日間の無料体験はこちらから▼ 2021.10.12
  • 自立したチーム制で安心と幸せを提供する

    これからの士業事務所経営には、職員と事務所が相互に成長をサポートする関係「エンゲージメント」 が重要となります。今回は、チーム制を導入し、自立した組織づくりに挑む税理士法人アンシアの取り組みについて代表の斎藤英一氏にお話を伺いました。 ユニット制に挑戦するも一体感のない組織に......当社は開業以来、私の名前が付いた事務所名(斎藤英一税理士事務所。2009年に税理士法人斎藤会計事務所に変更)でやってきましたが、2021年4月1日に名称変更し、『税理士法人アンシア』として新たなスタートを切りました。アンシアには、「お客様だけではなく、従業員に対しても『安心』と『幸せ』を提供したい」という思いを込めています。 この新たなスタートに向けて、数年かけて準備を進めてきました。実は、私は5年ほど前に一度、組織づくりに失敗しているんです。当時、職員は約25名いましたが、いわゆる職人集団で、所長対その他25名というような構造でした。全員が職人としてのプライドを持っていて、提供するサービスの品質は良い。けれど、労働時間を含めて各自の裁量に任せていたので、個人事業主の集まりといった雰囲気だったのです。タイムカードすらありませんでしたから。だから私が、「これからは経営計画の時代だ。経営計画をやろう!」と熱く語っても、反応がない。職員からすれば、「また所長がとんでもないことを言い出したよ」という感じです。しかも、私も業務に追われていて一人ではできませんから、勢いよく宣言をしても、2カ月後くらいにはトーンダウンしてしまう。そんなことの繰り返しだったのです。そこで、ユニット制を取り入れた体制に変更しました。ベテラン職員を核にしたユニットを組み、各ユニットで業務を進めてもらうことにしたのです。経験自体は豊富ですから、業務は滞りなく進みました。でも、ユニットごとにやり方はバラバラで、横の連携もない。全体的に統一感のない組織になってしまったのです。結果、ベテラン職員を含めて数名の退職者が出てしまいました。しっかりとした準備期間もなく、ユニット内に明確なリーダーを置くことができなかったことが原因だったため、次は有資格者をリーダーにすると決めて、税理士の採用を開始。私を含めて2名しかいなかった税理士を、2年間で8名まで増やしました。 チームの経営者としてリーダーを育てるリーダー候補が集まった段階で、1年半後の2021年4月に新体制をスタートさせると決め、準備を進めてきました。前回の失敗を受け、「核となるリーダーたちがまとまっていれば、 個々のメンバーに何かあっても全体は崩れない」と考え、リーダー候補が集まる会議を月に2回、2時間ずつ開催。どういうルールでチームを運営していくか、事務所全体でかかる経費を各チームがどの割合で負担していくかなどを話し合いました。もちろん、私が主導で決めなければいけないこともありますが、それ以外はリーダー全員で決定して、進めていく。売上予算もチームで立ててもらい、 そこから利益や自分たちの給料をどう出すのかまで任せています。「チームを経営する意識」を持ってもらいたいのです。実際は、予算が達成できなかったとしても、報酬をカットするようなことはしていません。2年以内に改善できる案を出してもらい、私を含めた幹部で指導をしていきます。お客様や従業員に安心と幸せを提供するという理念のもとに、チームをどう運営して、どんな行動をしていくのか。リーダーに裁量を持たせながら、サポートしていきたいと考えています。また、営業活動や採用も、リーダーにある程度の裁量を持たせています。これまでは私が事務所の看板としての役割を担っていましたが、これからはリーダーたちが自分の責任で動いてもらう。事務所名から斎藤という名前を外したのは、そのためです。 チームとは何か?研修で職員の意識が変化組織改革を進めていくうえで、 リーダーの育成・連携とともに課題だったのが、職員の意識改革です。リーダーたちは1年半の間、 膝を突き合わせてきましたから、 共通の意識は持っています。けれど、チームのメンバーたちとの温度差が気になっていました。そこで、いま事務所で起きていることを知ってもらうため、職員向けに毎日メルマガを書きました。業務連絡や実務の内容も混ぜながら全部で210回配信したので、私の熱量は伝わったと思います。また、「チームになることで自分にどんなメリットがあるのか」 を知ってもらうため、アックスコンサルティングのエンゲージメント研修を受講しました。グループに分かれて行うワークでは、若手職員も率直に発言していて、なかなか盛り上がりました。でも、研修後のアンケートで、私のチームに所属する職員から、「チームの意味がわかりません」 という意見が出たのです。「これまでは、自分の仕事をしっかりこなせばよかった。もちろん情報共有はするが、チームの実感がわかない」と。ただそれは、反抗的な意見ではなく、「自分のチームがチームとして機能しているのか?」を前向きに考えた結果だったのです。後日、その職員から、「新しい人を採用しませんか?」という提案をされました。私のチームは特に職人的なスタッフが多く、誰かの手を借りたり、ほかの人に仕事を振るのが苦手で、それぞれがキャパ一杯に仕事を抱えています。 そのため、現状の成績は良くても、伸びしろが少ない。「だったら採用して、チームのキャパを増やしましょう」と言うんです。「みんなで人を育てて、目標の数字を達成しましょう。それがチームですよね」と。どうすればチームになれるのか、自分たちのチームが事務所にどう貢献できるかをこんなに考えてくれたのかと、思わず目頭が熱くなりました。実際に採用の面談をチーム全員で行い、内定を出しました。この採用が成功すれば、ほかのチームにも良い影響が出るのではないかと思っています。 みんなの知恵を集めて良いサービスを提供する新しい体制になったからといって、劇的に違う組織になったわけではありません。組織づくりは、仕組みが2割、運用が8割。徐々にチーム力を高めていきながら、働きやすい職場をつくりたいと思っています。私たち士業を取り巻く環境は、 お客様に関与するスタイルも含めてどんどん変わっていくはずです。この激しい時代の潮流に自分一人で対応するのは厳しい。お客様に良いサービスを提供するためには、 みんなの知恵や知識を結集してつくりあげることが必要です。そのためには、組織として人を集めて、いろいろな意見を聞きながら進む集合体であることが大切です。当社は税理士を核にしたチームにすると決めました。採算性という意味では、正直難しいところはありますが、ある程度の規模があることでお客様も職員も心強さを感じてもらえるはずです。また、さまざまなタイプの税理士が増えれば、相乗効果でより良いサービスも生み出せると考えています。風通しの良い柔軟な組織で、お客様と職員の安心・幸せをつくっていきたいと思います。※月刊プロパートナー2021年5月号より抜粋いかがだったでしょうか?『プロパートナーONLINE』は、士業のための「明日役立つ」記事やセミナー動画などオンラインのコンテンツに加え毎月1冊、士業専門雑誌「月刊プロパートナー」をお届けするサービスです。月額3,000円のサービスを今なら14日間無料でお試しいただけます。▼14日間の無料体験はこちらから▼ 2021.10.11
  • 次世代幹部育成やOKRでチャレンジする組織に変革

    これからの士業事務所経営には、職員と事務所が相互に成長をサポートする関係「エンゲージメント」が重要となります。今回は、職員が経営に参加する仕組みをつくり、〝挑戦する組織〟へと変革した社会保険労務士法人アドバンスの取り組みを代表の伴芳夫氏に伺いました。 組織を縦と横につなぎ〝多能工化〞を目指す社会保険労務士法人アドバンスでは、「職員一人ひとりがプロフェッショナルになる」というテーマを掲げています。以前は、労働保険や社会保険の手続きなど、特定の分野を深堀りする傾向にありました。しかし、IT化により手続き業務はなくなる可能性がありますし、限られた分野に強いだけでは時代の変化に対応しきれません。そこで近年は、〝多能工〞なプロフェッショナル組織を目指すようになりました。組織全体を横につないで連携し、縦と横に人材が混ざり合うことで生まれるシナジーを大切にしています。創業して30年以上経つ事務所ですから、20年近く勤めている職員も多く、平均年齢も高い。福利厚生も比較的充実していますし、働き方改革も積極的に取り組んでいますので、40名超の規模にも関わらず、ここ3年間は退職者ゼロです。一方で、昔ながらの風土が根強く残っていて、変化に対応できない部分もありました。そのマインドを変えてもらう必要があったため、2015年に私が代表に就任し、拠点を統合する2017年のタイミングで、職員に求める『5箇条』を掲げました。「コミュニケーションの徹底」「変化を絶やさない」「助け合いの気持ちを持つ」など、当たり前のことなのですが、改めて宣言したのです。職員も、この5箇条をスムーズに受け入れてくれました。それぞれが問題意識を持っていましたし、私が事務所を承継したことで、「自分たちの事務所は変わっていくんだ」ということを理解してくれていたのだと思います。 参加型組織をつくりチャレンジを仕組み化組織を変えていくにあたり、一番の課題は「チャレンジ精神を持つこと」でした。その取り組みの一つが、2019年から始めた部長の公募制です。それまでは、いわゆる文鎮型の組織だったため部長職を置いていなかったのですが、「自分が部門を変えたい」「チャンジしたい」という思いがある人に立候補してもらい、任せることにしました。勤続年数に関係なく立候補できますので、なかには自分より先輩たちをマネジメントすることになった部長もいます。また、組織全体を横断的につなぐための仕組みとして、4つの委員会を設けています。そのうちの一つである「ジュニアボード委員会」は、管理職ではない職員を集めて、各現場からあがったさまざまな改革のアイデアを検討し、決定、実現していく委員会です。一定の権限を付与することで、経営に参加する意識を持ってもらうことが目的です。もちろん、ジュニアボート委員会に参加している職員以外も、全員が常に改善意識を持つことが大事です。そのため、半年に1個以上改善のアイデアを出さなければ賞与がもらえないルールにしています。このルールも、特定の人しか意見を出さない現状を受けて、ジュニアボート委員会が決定したことです。ほかにも、有給休暇とは別に、誕生日などにアニバーサリー休暇を取得したら5000円支払われる制度なども、この委員会から生まれました。毎月10個前後のアイデアを話し合うので、変化のスピードはかなり早くなりました。経営陣の会議では、現場ベースで出てくる細かいアイデアは後回しになってしまいがちなので、意思決定が早くなった効果はすごく感じます。 OKRを導入して個々の目標を見える化職員一人ひとりのチャレンジに関しては、2020年からOKRを取り入れました。お客様に人事評価制度構築のサービスを提供しているのですが、正直なところ、自社ではそれほど評価制度の必要性を感じていませんでした。それは、文鎮型の組織で、私がある程度全員の状況を把握できていたことが理由です。しかし、部長職を設けたことで、彼らが部下を評価できるようにならないといけない。評価はマイナスの部分も見なければなりませんが、そうしたものよりも、目標を立てて、その目標に向かう姿勢にフォーカスを当てたい。それがOKRだったのです。OKRを始めるために、アックスコンサルティングの『MotifyHR』を導入しました。導入の決め手は、UI/UX(※)が良かったことと、毎月のエンゲージメントサーベイがあることです。OKRは、まず私が事務所全体のO(目標)を立て、部長に共有し、部門の目標を立ててもらう。それを、各職員が自分の目標とKR(成果)に落とし込んでいきます。そして、月1回の1on1面談で部長と進捗を確認しています。部長たちは、「OKRで目標が明確になり、1on1が効率的にできるようになった」「部下とコミュニケーションが取りやすくなった」と話しています。また、職員も、日ごろ不安に思っていることや自分のやりたいことを話す場ができたことで、意見やアイデアをよく出すようになったと感じています。エンゲージメントサーベイは、働きがいに関する調査ができるため、職員がどこに不満や不安を抱いているのかを可視化できます。当社の場合、全体的に評価は悪くないのですが、これまでは年功序列的な昇進だったこともあり、キャリアップの部分を低く評価する職員が多くいました。ここはこれからの課題として、キャリアパスを整えているところです。※UI/UX:ユーザーインターフェース/ユーザーエクスペリエンス。ユーザーの視覚に触れるデザインや、製品・サービスを通じて得られる体験のこと 士業事務所自らが顧客に誇れる組織になる当社は、スーパーフレックス制度や月曜〜土曜の間で好きな日を休みにできる選択休日制度などがあり、かなり働きやすい環境だと思います。さらに現在は、教育カリキュラムを整えて、個々の成長スピードを加速しながら、多能工化を目指しています。まずは、1年間でその部門の基本的な業務を覚えてもらえるようなカリキュラムをつくりつつ、希望者は閑散期に1週間程度、他部門の業務を経験する短期留学制度を取り入れています。また、クライアントのIT支援を行う株式会社を併設しているのですが、従業員はその株を買えるようにしているほか、若手社員を役員に抜擢しています。株主は利益が出れば恩恵がありますし、役員報酬をもらうためには株主の承認が必要です。経営的な視点を養うと同時に、チャレンジ精神のある職員のためのポストを用意し、将来的な幹部を育成しています。士業事務所はお客様をコンサルする立場ですが、実は自分たちはできていないことが多い。でも、もう〝先生商売〞は通用しない。自らが体現できている事務所にしか依頼は来ないと思っています。そのためには、早く一般企業と同じ土俵に乗ることが必要です。特に、私たち社労士が関わるHR分野は、まだまだブルーオーシャンで、規制緩和されれば大手の民間企業が参入してくる可能性も高い。そこに対抗できるようにしておくには、まず自分たちがクライアントに誇れる組織をつくることが重要だと考えています。※月刊プロパートナー2021年1月号より抜粋いかがだったでしょうか?『プロパートナーONLINE』は、士業のための「明日役立つ」記事やセミナー動画などオンラインのコンテンツに加え毎月1冊、士業専門雑誌「月刊プロパートナー」をお届けするサービスです。月額3,000円のサービスを今なら14日間無料でお試しいただけます。▼14日間の無料体験はこちらから▼ 2021.10.11
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