士業の『今』を知り、『未来』を見つめるWebマガジン

相続税

  • 収益不動産(建物)の法人化

     管理会社による効果アパートなどの収益不動産を相続税対策を兼ねて投資される方は多いと思います。今回は資産管理法人を設立して、節税対策も検討される場合、注意しなければならないポイントをお話します。よく、子どもの世代が法人を設立し、親所有のアパートの管理受託をし、家賃収入の20%の管理料を受け取る、もしくは本来家賃の80%で借上転貸する事例があります。この20%のさや抜き分を子どもの役員給与等とすれば、子ども世代への所得分散となり所得税の節税です。一方外部の管理会社に託せば、管理料の世間相場は家賃の5~10%です。20%は確かに取り過ぎですが、20%までなら税務署は「修正申告しろ」と強硬に言わない事例が多いようです。しかしもし調査があり、適正管理料は管理実態に合わせろと争えば、管理委託で5%、借上転貸なら10%のいわゆる世間相場で課税されることになります。 建物所有の法人化管理費をさや抜きする管理会社形態では、管理料の金額も少額で、節税効果も限定されます。そこで建物所有会社化する、つまり建物を法人名義にすることにします。ここでも高賃料立地で、かつ築古で建築借入残が極めて少ない貸ビルが効果的です。例えば家賃収入が年1億円で、当初建築費は10億円、今の帳簿価格3億円の賃貸オフィスビルを想定します。子どもが法人を設立し、親名義の建物部分を3億円(帳簿価格)で買い取るとします。帳簿価格売買なら「時価での売買」とされ親の譲渡益はゼロで所得税や贈与税はかかりません。ただし消費税・登録免許税・不動産取得税はかかります。法人が買い取る資金は、銀行借入や親からの借入とします。売買代金を分割払いで家賃収入で返済することもできます。売買で建物を法人所有に移せば、年1億円の家賃全額は当然に会社のものとなり、法人から子どもが役員給与等を受け取れます。売買するのは建物だけで、土地は親所有のままです。法人から支払う地代は固定資産税実費負担で、いわゆる使用貸借でもいいのですが、無償返還の届出を提出し、固定資産税額の3倍程の地代を授受することもできます。そうすれば親の相続時の土地評価が、8割の評価に下がります。これが賃貸収益力(賃貸物件)の法人化です。 相続税対策ではなく、所得の分散移転対策です。親が毎年1億円の家賃を受取れば、所得税率も高く相続財産が膨らむだけです。法人化することで子ども世代に所得分散し、子どもはそれを貯金して将来の相続税の納税資金に備えることもできます。親に売買代金3億円が入るので、建物の相続税評価次第では一時的に相続税が増加します。建築資金の銀行借入が残っていれば、銀行との交渉も必要となります。  2018.07.16
  • 【辻・本郷税理士法人】相続税を美術品で物納する場合について

    相続税を物納する場合、物納に充てることのできる財産には順位があります。一般的な美術品であれば第3順位ですが、特定登録美術品であれば第1順位になります。   【物納順位】相続税は原則として金銭で納付しますが、延納によっても金銭で納付することが困難な場合、一定の相続財産による物納が認められています。物納に充てられる財産には順位があり、第1順位は不動産や国公債、上場株式等で、第2順位は非上場株式等、第3順位は自動車や美術品等の動産となっています。ただし、登録美術品のうち相続開始前から所有していたもの(特定登録美術品といいます)であれば第1順位になるため不動産等と同順位になります。 【登録美術品制度】優れた美術品を鑑賞する機会を拡大するため、平成10年に美術品の登録制度ができました。文化庁に登録申請をして登録が決定すると、登録通知を受けた日から3ヶ月以内に美術館と登録美術品公開契約を結び、その登録美術品を美術館に引き渡します(所有権はそのままです)。美術館との公開契約は、5年以上の期間にわたって有効なものであり、契約期間中は、契約者が一方的に解約の申し入れをすることができません。なお、登録美術品になったら物納が容易になりますが、登録美術品になっても必ず物納しなければならないということはありません。納付資金の状況を勘案の上、物納をしないという選択もできます。 【登録の基準】どのような美術品でも登録を受けられるわけではありません。登録を受けるには、その美術品が『日本の国宝や重要文化財に指定されているもの』、または『世界文化の見地から歴史上、芸術上又は学術上特に優れた価値を有するもの』でなければなりません。具体的には美術品の種類ごとに登録基準が定められています。  2018.06.28
  • 縮小日本の「放置される土地」

     増える所有者不明土地先月、有識者でつくる所有者不明土地問題研究会(座長・増田寛也元総務相)がショッキングなデータを公表しました。同研究会は、名義人の死亡後も相続登記されなかったり、住所が変わって名義人と連絡がつかなくなったりしている土地を「所有者不明土地」と定義し、国土交通省の地籍調査や人口動態などを加味して推計したところ、日本全国で相続未登記などで所有者が分からなくなっている可能性がある土地の総面積が、九州より広い約410 万ヘクタールに達すると推計したのです。これは九州の面積(368 万ヘクタール)を上回ります。 2018.06.18
  • 相続業務件数・年間150件超獲得。敏腕税理士が語るブランディング戦略

    平成30年度の税制改正で事業承継税制の大幅な条件緩和が発表されました。これを受け、相続・事業承継にさらに力を入れていきたい、という税理士も多いかと思います。そこで、1999年に不動産評価・相続資産税専門型の事務所を開業し、現在、相続業務を年間150件超請け負っている沖田豊明氏にインタビュー。税制改正による相続、事業承継の今、相続・事業承継案件を任せられる税理士になるためにどうすべきかについてお話を伺いました。 相続、事業承継の“今”税制改正に伴い、事業承継税制の適用要件が大幅に緩和されました。特例後継者が、特例認定承継会社の代表権を有していた者から、贈与・相続によりその株式を取得した場合、贈与税・相続税は100%猶予可能となります。しかし、事業承継税制に対応できる税理士は少ないという現状に沖田氏は、「これからの税理士は、相続・事業承継のニーズ拡大に備えて、対応できるようにしていかないいけない」と言います。相続・事業承継のマーケティング拡大に備え、準備が必要となってきているのです。 相続、事業承継案件を任せられる税理士になるには?「相続は自分と家族の財産をすべて見せる、信頼がないと受けられない業務。だからこそ、“信用を得るためのブランド”が重要」と沖田氏は言います。では、信用を得られるためには、何をすればいいのか?沖田氏は、ブランディング戦略を以下のように考えています。・セミナーを開く・本を出版するセミナーを開くというのは、多くの顧客拡大を狙う事務所で行われていますが、本の出版については「まだまだ、本まで出している事務所は少ない」と話す沖田氏。実は会計業界で本を出している人はわずか3%程度なのです。沖田氏は「本を出していれば、その分野の専門家だと思われ、セミナーでも、『本まで出している先生なんですね』とお客様から信頼が得られる」と、本によるブランディングの強みについて解説しています。 本は読まれるだけじゃない!意外な役割も沖田氏は、本が持つ意外な役割について「パンフレットは渡しても捨てられてしまうが、本は書棚に置いておいてもらえる。そこに、事務所の名前も書いてあれば、相続に関連することがあれば、ちょっと電話してみたいなと思い、連絡をしてくれる」と本が連絡ツールとしても有効であると解説しています。 自費出版、執筆時間の捻出という壁本を自費出版する場合は、費用と執筆時間が掛かります。沖田氏は「一番大きいのは時間のコスト」と話し、実務をやりながら、執筆するには相当な時間が取られることになり、本を執筆することに大幅な時間を割いて本業をおろそかにしては意味がありません。沖田氏は、インタビューの中で「私たちは作家ではない、あくまで本は相続、事業承継に詳しいことをアピールする、一つの信用力の手段として使う。本を使うことの手段と目的を間違えないように」と忠告しています。本を出してみたいという税理士は多くいると思いますが、実際に行動に移す方はごく少数です。しかし今は、自分で執筆して、本を出す自費出版以外に、アイデアを出せばプロの編集者が代行執筆・出版手配してくれる、共同出版という形があります。これは、自費出版でかかる費用を10分の1程度に抑えることができ、なおかつ代行で記事を執筆してもらうことで時間のコストも掛かりません。沖田氏も、この共同出版という形をとり、コストを抑えて、何冊も本を出しブランディングを強化しています。本動画では、沖田氏が共同出版で本を出すことのメリット(執筆時間の削減、価格が安さなど)について、また出版した本を利用したブランディングについて具体的に解説しています。ブランディング戦略にお悩みのご事務所は、ぜひお役立てください。  2018.05.29
  • 迫り来る事業承継マーケット!経営者大量引退、そのとき会計事務所はどうする?!

    経営者の高齢化や少子化の状況から、事業承継の円滑化が不可欠となっています。この状況に対して会計事務所はどう動くべきなのでしょうか。マーケットの実態を見ながら考察します。 中小企業の廃業ラッシュ!阻止するのは士業経営者が大量に引退する時代がやってきます。中小企業庁によると、中小企業の経営者の平均年齢は61.45歳で、引退する年齢の平均は69.1歳。また、日本経済を支える中小企業は382万者超。2020~2025年には中小企業の経営者の〝引退ラッシュ〞を迎えます。しかし、60代以上の経営者でも後継者が決定している割合は、全体の半分未満です。廃業を決意した中小企業の約3割は、後継者不在が理由だといいます。  1. マーケット編 ※『2017年版中小企業白書』(中小企業庁)より、プロパートナー編集部で編成後継者の選定を始めても、了承を得るまでにかかる年数は、おおよそ3年以上というのが調査結果によってわかります。たとえ、後継者の選定ができていても、了承を得たり育成するまでに時間がかかってしまうため、60代で後継者が決まっていない状況は、廃業へのカウントダウンが始まったようなものといえるでしょう。〝わが子〞のように育てて来た会社を存続させるか廃業させるか。業績が良いのなら、なおさら誰かに承継させたいと思うでしょう。しかし、廃業を決意した経営者の40%は「相談しても解決するとは思えなかった」と、誰にも相談せずに廃業という選択肢を選んでいます。この事態を回避するのは、経営のアドバイスができる顧問税理士ではないでしょうか。税理士が企業存続についての提案をすれば、また異なる結果となるに違いありません。会計事務所でも、2025年に訪れる〝引退ラッシュ〞に備えて、顧問先に事業承継について積極的に提案をしていく意気込みです。しかし、業務として手掛けている事務所は、未だ少ないのが実際のところです。事業承継に強みを発揮する会計事務所がさほど多くないのが現状といえるでしょう。とはいえ、拡大の一途をたどる事業承継マーケットの波に乗らず、顧問先のニーズに応えないとなると、どうなるでしょうか。事業承継を支援してくれる会計事務所へ乗り換えてしまう〝顧問先離れ〞が発生してしまうでしょう。そのような末路をたどらないためにも、何かしらの対応を考えておきましょう。  2. 会計事務所編 ※全国の会計事務所に(株)アックスコンサルティングが2018年1月31日~2月7日までで独自のアンケートを実施。(n=124) 2018.05.25
  • アパート建築ブームの中、空室率が急増!賃貸事業リスクとは?

    2015 年1月からの相続税法改正および超低金利、金融緩和を追い風に、アパート建築業者の業績が急増しています。しかし業者の上手すぎる話の裏には、賃貸事業リスクが潜んでいます。 サブリース、家賃保証なら大丈夫?大手業者は「30 年間、業者が家賃保証をします」という提案もしますが、家賃保証は一般に2年ごとの更新となっており、さらに貸主と借り主(保証する側)が合意することが更新の条件となっていることが多いものです。しかしこのアパート建築ブームの中、空室率が急増しています。さらに、今後の人口減少の影響も考えておくべきです。地方はもちろんのこと、東京都区部でも2020 年をピークに人口が減少に転じる見込みです。今後は、まず家賃は下がるものと思ったほうがよいでしょう。家賃相場が大きく下がれば、借り主は従前の家賃水準を支払うことに合意するはずはなく、結果として家賃保証を終了するか、保証家賃水準を下げるかの選択を迫られることになります。  2018.05.23
  • 【辻・本郷税理士法人】小規模宅地等の特例の改正

    平成30年度税制改正大綱が公表され、相続税における小規模宅地等の特例について要件が見直されることとなりました。 貸付事業用宅地等の見直し貸付事業用宅地等の特例とは、被相続人等が貸付事業の用に供していた宅地等について一定の要件を満たす場合には、その評価額から200㎡まで50%減額される制度です。この制度を利用するために、相続開始の直前に都内のタワーマンションや駐車場などの不動産を購入し、本特例を適用して相続税負担を軽減する事案などが問題視され、相続開始前3年以内に貸し付けを開始した不動産については、対象から除外されることとなりました。ただし、もともと相続開始前3年を超えて事業的規模で貸付けを行っている場合は除かれます。【問題となったケース】 2018.05.16
  • 住宅過剰社会!住宅政策で増える空き家

     日本の人口、最大の30 万人減!東京圏へ集中加速総務省が7 月5 日に発表した住民基本台帳に基づく2017 年1月1日時点の人口動態調査によると、日本人の総人口は1億2558 万3658 人で、8年連続で減少しました。前年から30 万8084 人減り、減少幅は1968 年の調査開始以降で最大。死亡者数は130 万人を超えて過去最多の一方で出生数は98 万1202 人で、初めて100 万人を割りこみました。この出生数より死亡者数が多い「自然減」は10 年連続で、自然増は沖縄県のみ。少子化の進行が鮮明となり、東京圏への人口集中がますます顕著になっています。 住宅政策で増える空き家-必要な住宅政策の見直し2013 年10 月1日現在における我が国の総住宅数は6063 万戸で,5 年前と比較すると,304 万戸の増加で,増加率は5.3%となりました。平成10 年からの15 年間では総住宅数が1000 万戸以上増加しています。 2018.05.16
  • 多くの人に伝えたい 負債相続の現状とリスク~この本に学ぶ~

     相続放棄の知識を蓄え、負担が残らない相続を2013年に司法書士法人ABCを設立し、今までに2500件以上の相続に関する悩みを解決してきた椎葉基史氏。取り組む専門家がほとんどいない『相続放棄』の手続きに注力し、数多くの負債相続案件を取り扱ってきました。本書には、負債相続の実態からその解決策としての『限定承認』のあり方まで、椎葉氏が自らの経験から得た情報が詰まっています。『限定承認』とは、相続する借金が相続財産よりも多いとき、亡くなった人から承継する財産の限度で、亡くなった人の借金を返済するという限度付きの相続のこと。親の資産や負債を把握できていない、など「相続で何か問題が起きそう……」と不安を感じている人におすすめしたい一冊だ。本書を出版した主な目的は〝ブランディング〞であると椎葉氏は述べる。「〝負債相続に強い事務所〞としての地位を確立したかったんです。実際に本を出したことがきっかけで、さまざまなメディアから取材を受けるようになり、自然と弊社の取り組みが広まっています。『負債相続』というニッチな分野を突き詰めているからこそ注目され、可能になるブランディングもあると思うんです」。本書に込めた〝想い〞について、椎葉氏は語る。「負債相続の現状を多くの人に知ってもらい、トラブル発生を予防したかったんです。親の債務や資産価値のない不動産を相続する人が増え続けている半面、このことがどれだけ大きなリスクをはらんでいるか、ほとんどの人がわかっていません。実際に私のところへ相談に来る人は、既にトラブルが発生してしまっているパターンがほとんどです。本書には実際の相談事例も数多く載せていますので、それを反面教師にしていただきたいと思っています。問題が起こらないように自ら対策したり、私たちのような専門家を頼ってくれたりする相続人が増えることを願ってやみません」。これからについて椎葉氏は、「問い合わせ増加への対応が課題です。お客様の満足度を保ちつつ、職員に負担をかけ過ぎない体制を構築していきます。そして今後も、負債相続のような世の中の〝影〞になっている部分に焦点を当てたサービスで、お客様の悩みに寄り添っていきたいですね。社会に大きな影響を与えられるよう、活動し続けます」と述べる。   『身内が亡くなってからでは遅い 「相続放棄」が分かる本』 単行本:205ページ 出版社:ポプラ社 発行日:2018.2.15 この本のプレゼントはこちら   2018.04.27
  • 節税対策に絶大な効果を発揮?!同族会社の役員退職金

    身内だけで会社の意思決定ができる同族会社の場合には、退職金は法人税や相続税の節税対策に、絶大な効果を発揮します。そこで同族会社の役員退職金をどう利用するかについて考えてみましょう。 法人税法上の制約ここでの退職金は同族会社の役員に限定します。税法の規定では原則的には退職金は法人の経費になります。但し、過大と認定された部分の退職金は、経費とならないことになっています。過大か適正額かの判定は非常に難しいのですが、一般的に言われている退職金の適正額は次のとおりです。  2018.04.26
もっと見る